第12話

 五十嵐たちは田舎町から引き揚げた。

「それで、どうするつもりなんだ?」

 五十嵐は蓮宮に質問した。

「私が会いに行きます」

「あんた一人でか?」

「ええ、もちろんよ」

「九条は殺人犯で、少女は人間じゃない。一般人を危険な目に遭わせるわけにはいかない」

「そうね。あなたは警察官ですもの。私を守る義務があるわ。でも、私の行動は自己責任よ。それに、これはあなたと須藤さんしか知らない。黙って行かせてほしい」

「五十嵐さん、だめですよ」

 二人の会話に須藤が割って入った。

「あら、私の事を心配してくれているのかしら?」

「あなたの身勝手な行動を、許せるはずもないでしょう。これ以上犠牲は出せません」

 須藤がいつになく強く反論した。

「犠牲が出ると決めつけるな」

 五十嵐は須藤をなだめ、

「あんたが上手くやってくれさえすれば、穏便に事が運ぶ。どうやって奴を掴まえる?」

 蓮宮の戦略を聞いた。

「あら、掴まえるなんて誰が言ったのかしら? 私はジャーナリストよ。話しを聞いて真相を掴んで、それを記事にするのが目的なのよ。そのついでに、彼の犯行を阻止出来たら一石二鳥でしょ? 九条を掴まえれば、今度は怪我では済まないわよ。少女は九条のために人を殺さなかった。でも、彼女を本気で怒らせたら、犠牲者が出るわよ。そうならないように私が話をしに行くのよ。お分かりかしら? 刑事さん」

 腕組みをして、鼻をツンと上に向け、絵にかいたような高飛車な態度で言った。須藤は苦虫を嚙み潰したような顔で蓮宮を睨んだ。

「それじゃ、俺たちはあんたの行動を黙認する。お手並み拝見だな」

 五十嵐も挑発的にそう言った。蓮宮の言うように、これで、蓮宮に何が起こっても自己責任。上手くいけば、九条の犯行を止めて、終止符を打つことが出来る。


 

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