【KAC202211】血痕の日記2022【日記】
なみかわ
血痕の日記2022
まさか自分が、戦争というものに何らかの形で関与するとは、夢にも思っていなかった。
もちろんこれまでも、僕は世界の紛争で家を追われているひとびとを助けるための募金をしたことはあったが、なぜそれらよりも、すごくリアルに戦争を感じているのだろうか。
どうしても戦争のニュースは長く扱われるから、テレビを観すぎないようにして、Twitterでも類いの単語をミュートした。中立的な外国のニュースサイトからのTwitterのほうが、腐ったワイドショーや、それになりつつある夜のニュースよりも何倍も眺めていてマシだった。
僕が子供の頃は、日本だけが唯一被害にあった爆弾をうけた人々を描いた漫画を読んで、戦争の恐ろしさを記憶に残した。子供の小さな視界でそれなりに戦争はしてはならないことだと。
近年、呉を舞台にした漫画もいい意味でヒットした。ソフトタッチな絵でありつつ、リアルに人々の暮らしを描いていた。たくさんの人が戦争に関わること、皆がみんな銃剣を持つわけではないこと、人のできることより大きなフレームが何気ない毎日の上にのしかかること……そして、近年の災害や感染症の影響をうけるたび、僕らにとって背伸びもしない普通の日々を維持することだけでも、とても大事であると気づかされた。
大人になってわかったことはあと二つほどある。
ひとつは、現代の戦争はこうやって起こり、こうして対応をするものだと。ゲームではそのプロセスが弾き飛ばされ、赤い色のユニットを狙い撃つことに重きが置かれている。教科書で読んだのは、前世紀の戦争だった。
多数決だけではなく、人道的にかんがみても、一方通行の侵略行為。ここだけは、あまたの英雄物語の冒頭にある『ある日突然、異界から侵略者が』に近いのかもしれない。
周囲は人道的支援と武器支援を行い、侵略されている国が抗う。
僕たちが子供の頃に学んだ戦争とは違う気がして、いろいろ調べたら、ハイブリッド戦争という言葉を見つけた。
21世紀の戦争とは、ハイブリッド型とも呼ばれる、と。
……ハイブリッドというとはじめて手にしたゲルインキボールペンだった気がする。
https://www.pentel.co.jp/products/ballpointpens/gelink/hybrid/
なつかしいなあ、ハイブリッドミルキーも絹物語も持ってたわ。
あと人生でたぶん2番目くらいに投資してる漫画『ハヤテのごとく!』の論考サイト(と思う)でも『ハイブリッドコメディ』とか言われてたのでなんか単語がうまく頭に入ってこない。……
閑話休題、←これが使いたいだけかも、ハイブリッド型戦争とは。物理的な戦いと、サイバー攻撃、いちはやく機密情報を得て利用する、そして経済制裁……、さまざまな手法が並行する。
遠い空の下の出来事と割りきれないのは、日本企業や日本でも有名なブランドショップや飲食店が営業をとりやめたり、あるいは物流が滞ったり、ガソリン価格が高騰して、僕たちの生活に近いところに影響が見えているから、だった。
もうひとつは、こうやって誰かが困窮したとき、精神論のお気持ちはやっぱり無駄だと。
小さい子供が、自分なりに考えた結果、であれば大人はそれが歪んでいないかをそっと見守れば良い。しかし、それなりにフラットにあらゆる情報が得られる年にもなって、1円の募金もせずに、憂いましょう、同情しましょうで『終わる』のはどうかなと思う。……きっとそういう人たちは、今回の戦争に何らかの形で関わってしまっていることに、気づいていない。
漫画かドラマかの影響かは知らないが、金持ちが札束を出す様子が、いかにも卑しいという風潮が広まってしまっていることも原因だろう。現代にとって、無言でそっと、有事に、いずれにも変換できる
また、必ずしもそのカネは、特定の場所にしか出してはいけないというものではない。自分で調べて協力したいと思った団体でいい。
そして、『お気持ち』でなにかを自粛する必要も無いと思う。最近では○○警察とか、短い言葉尻を肥やしに、文句をつけるアホも多いが、僕たちはつとめて普通の生活を続ければ良いのだ。その日々には笑いも怒りも悲しみもあるだろう。そのままでいればいい。
もうしばらく、情勢については変動があるから、腐ったコメントやアレなまとめサイトは避けて、中立的な情報をとり、表向きは自分の普通の生活を続けたい。
……これは、僕がカクヨムで2022年3月に、10本とすこしの作品を出しながら考えていたことである。
【KAC202211】血痕の日記2022【日記】 なみかわ @mediakisslab
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