第14話 「あはは、何それ。」

季節は夏が近づいてきた。


夏は正直嫌いだが。理由として夏にテストがあるのがかなり嫌いだ。


夏休みがあるのが唯一の楽しみだが…。


テストの壁がデカすぎるのだ。


まぁ他にも楽しいことなんてある。


現在授業中。席替えがあり、窓際の端になり、隣は詩織という、他の男子なら泣き叫んで喜ぶであろう席だ。


でもまぁ。

いつも一緒だしなぁ。そんなことを詩織の顔をチラッと見て心の中で思う。


授業は特に楽しくもなく、その授業は終わった。


そして、最後の授業に向けて準備する。最後の授業というのは…。


みんな大嫌いな体育である。


体育は球技大会に向けて、バレー、バスケ、サッカーなど、選んだスポーツをやる。


俺はもちろん。サッカーである。

なぜか?それはな…


「春希ー!何選ぶのー?!」

「そんな大きな声で言ったって聞こえてるから…。」

「ごめんごめん、で?何選ぶの?」

「サッカーだな。」

「おー奇遇、うちもサッカーだよ!」

「そうなのか…」


そう言いながら、詩織をチラッと見る。


「…!」


チラッと見た時、詩織と目が合い、詩織はニコッと笑った。


「…詩織ちゃんは、サッカーじゃないよ?」

「うぇ!?」

「目線、バレバレだからね?…てか、春希なんでサッカー選んだの?」

「うーん…。かっこいいからだな。」

「あはは、何それ。」


色々練習をして、授業の終わり。

俺と陽菜は誰もしないボールの片付けをしていた。


「はぁ。なんで誰も回収しないのか。自処理しろよ…」

「男子は面倒くさそうだねー。思い切りいろんなところに蹴るし。その分女子は控えめだから回収が楽だわ♪」

「くそ…。ボールそのままにしてやろうかな…。」

「そっちも面倒くさそうだからやめときなー。…ただでさえサッカー部って面倒臭いのに。」

「それもそうだな。」


そう言って、部室にボールを片付ける。


「おっ、と…。危ない危ない。」

「大丈夫かー?」

「大丈夫!ちょっと足が…。」

「…?怪我でもしたの?」

「いや…そういうわけじゃないけど…。」

「ちょっと見せて。」

「ひえ!?」


そう言って、陽菜のそばでしゃがみ、右足を見る。そして。


「ちょっと触るぞ」

「え!?ちょっと待っ…」


そんなことを言う暇もなく、俺は突っ張っているふくらはぎを掴む。左足の方も触るが、右の足の方が突っ張っている。


「…うん。ちょっと突っ張ってるから、お風呂入ったらマッサージしたり、伸ばしたりしてね。」

「…は、い…。」

「そんじゃ、戻るぞー。」

「う、うん…。」

「…?どうしたの?」

「…いや、なんでも…、ない…。」


そんなこと言う陽菜の顔は少し俯いていた。


そんなことを気にせず歩き出そうとしたが、自分のやったことを一瞬で思い出すと。


俺のせいじゃね?と思いだした。


怪我を見るとか言って、足を手で掴み、突っ張ってるかって確認するため少し揉んだんだぞ。ヤバい。殺されても何もいえない。


早めに謝った方がいいと思い、後ろを振り向いた時。


陽菜は壁にもたれかかって座り込んで意識がなかった。

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