第11話 「俺は女嫌いだよ。」
「はい、もしもし、李乃ですけどー、どちらさんですか?」
「あぁ、李乃先輩かよ…」
「お、その声は春希くんじゃないか。なんのようだい?こんな朝早くに。」
「おととい、先輩媚薬置きっぱにしたじゃないですか。」
「あれ、そうだったっけ?」
「はい。それで…その媚薬、事故で俺が飲んじゃ…たんすけど。」
「…へぇ。それで?どうなったんだい?」
?なんか違和感を感じた。
「それで、昨日の1日だけ、体が女の子になったんす。…あの、なんでですか?」
「あぁ…。そうなるんだね。」
「そうなるって?」
「その媚薬、無理矢理女性ホルモンを流し込むものなんだよね。だから、ちょっとしか飲んでないんでしょ?だから1日だけ女の子になった。…ちなみに女の子に飲ませたの?」
「いや、飲ませてないっす。」
「やけに淡白だね?女の子の話題には?」
「やめてください本当に。」
やめてくれ。それ関係の話題は本当に無理だ。
電話を切った。
そして、安堵をする。突然女の子になる病気じゃないってことだ。こんな心配するのも変だが、病死なんてしたくないんだ。昔のあの子みたいに。あんな辛そうな顔を見せられると、こっちまで辛くなってしまう。
…また昔のことを思い出してしまった。やけに思い出してしまう。
…幼馴染。それは一人とは限らない。
一度深呼吸をする。
時計を見ると、6時20分。…朝ご飯でも作るか。
ご飯を作り終わり、詩織と朝ごはんを食べる、俺たちはご飯を食べる時はテレビをつける派なのだが、これは普通なのだろうか?
まぁ。どうでもいいか。朝食を食べながら、朝のニュースをみる。
『ここで臨時のニュースです。上本町の医療研究施設で火事が起きました。現在、消防が消化を迅速におこなっています。中には関係者が40名ほどいるらしく…』
ん?上本町って俺らが住んでる地域の近くだ。火事なんてあったのか。
「うぁ…ねむぃ…」
ちなみに詩織は朝に弱い。なので、昼では美人さんだったとしても今はゾンビみたいだ。
そして、学校に行けばあの人気者の沖田 詩織に戻る。(男は大嫌いのままだが。)
本当にいつ頭を切り替えているのか…?
「ねぇ?聞いてる?」
「あぁ、すまん聞いてなかった。」
「本当に男どもは詩織に釘付けよね。…好きなの?」
「…ありえない。あいつが男嫌いなら、俺は女嫌いだよ。」
「…え?私も?」
「いや、お前は男勝りだからノーカン。」
「はぁ!?」
と、朝っぱらから陽菜とコントを繰り広げる。
つくづく、ずっと女の体にならなくてよかったと思う。
そんで、部活の時間。科学部に行き、李乃先輩に媚薬を返しに来たのに。肝心なその先輩はいなかった。
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