第9話 「きっしょ。」
「すんませーん、うちの彼女いるんですよねー?開けてくれますー?彼女返してくださいー?」
そんな声がドア前から響いている。
「
そう、凛が震えながら言う。ということは、昨日の凛の彼氏。ていうか、凛はかなりのトラウマになりそうな雰囲気だ。
「凛、別れを言うなら今じゃないの?」
「そ、そうですね…。で、でも、もうちょっと、待とう。まだ、何か理由があったり…」
「…おい!早く返せってんだよ!何回言えばわかんだよ?少しはこっちの気持ちを考えろよ!?」
そう言って、ドアを蹴ったり、叩いたりする、バカ猿。あ、間違えた。良弥だっけか。
「どうすんの?凛がでなきゃ部屋違いで帰られせるけど。」
「…いや。けりをつけます。もう、ダメですねこれじゃ。」
そう言って、玄関に行く俺ら。
いや、女3人だから、私ら?まぁどうでもいいか。
そして、凛は意を決したのか小さく息を吸って吐いて、口を開いた。
「良弥さん。」
「お、なんだいるじゃん。早く帰ってきてよー。そんな男のとこにいないでさー。」
「え?男?」
そう言いながら、ドアのU字ロックをかけ、ドアを開けた。
「男なんていないんですけど。」
「…え?あれ、なんで?」
後ろの方で二人と話をしている。こいつらも良弥の仲間なのかな。
「はぁ。あの、良弥さん。」
「は、はい。」
「私は失望しました。あんなに頼もしかったのに、こんなに落ちぶれるなんて…。別れましょう。もう顔も見たくないわ。」
そう言ってドアも鍵も閉めた。
でも、そいつらは全く動く気がなさそう。
開けろ開けろとうるさすぎて、開けたところ、ついに開き直り、ヤらせてくれと一言言った。
「きっしょ。」
それが3人の感想だった。
挙句の果てに、こっちは男3人でそっちは女3人だから、一回だけでもヤらせてくれとドアの前で言いやがった。ここ、住宅街だぞ。
「だからぁ、それがきしょいって言ってんだよおー!?!?」
その発言で詩織がキレ、包丁をむけていったのは言うまでもない。
良弥たちは恐れ慄き、逃げ帰っていった。
詩織は一回切れると手をつけられないほどになる。男関係になると尚更だ。
それを俺がゆっくりなだめて、落ち着かせるのも、昔と変わらない。
「ごめんね、うちのクズ彼氏が。いや、クソザルが。もうあんなのと付き合わないようにしないとなー。」
「そうだよー。いい人を見つけられるように手伝ってあげるから。」
そう言う詩織は泣きそうな顔だったが、涙は一切流れてなかった。
でも、過去にあんなことがあって、トラウマがあるのに、あれだけ反抗できたってことはかなり向き合えてる…のかな。
そして、私(?)達3人はやっと、服を買いに外に出れた。
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