第7話 「私が制裁しておきました」

家に入り、凛を温めるため、お風呂に入れる。あの後、雨が降り出し、何が何だかわかっていない凛は雨に襲われた。


そして、その間。詩織にことの経緯を話す。


「…で、女の子を連れてきて何をするつもりで?」

「…それはですね、深海より深いわけがあって…」


さっきのことを俺の口からベラベラ話すわけにはいかない。だって彼女が一回言い籠ったのだ。


それほど言うには覚悟がいると言うことなのだ。


「深海より深い理由?そんなのあるわけ?」

「えぇ、ありますとも。」

「じゃ、それはどんな苦しい言い訳なの?」

「それは…」


「…本人に聞いてくれないか?俺の口から話しちゃいけないことだと思うんだ。」


そう、見苦しい言い訳を展開した。


「まぁいいけどさ。君はじゃ、聞かないようにこっちの部屋で終わるまで篭っててね。」

「え?なんで??」


はいはい文句言わないと押されながら、部屋に監禁される。


タオルで少し濡れた頭を拭く。


まぁ、長くなる気がするので、飲み物を飲んで喉を癒やして、空になったペットボトルを適当に置いておき、横になる。


ちなみに飲んだ飲み物はあの時買ったサイダーである。炭酸なんて微塵もなくただの甘めの液体だった。



今。冬稀 凛が目の前にいる。そんでもって、彼女の話を聞こうとしたのだが。


彼女は佐野 春希の方を心配している。


「大丈夫ですよ。彼は私が制裁しておきました。」

「制裁…?」

「はい。家に勝手に女の子をあげようとした制裁です。」


すると、凛さんの顔がみるみる曇っていき、いきなり泣き顔になってしまう。


「ごめんなさい‼︎私が…私が…巻き込んでしまったせいで!」


と、涙を流しながら謝り始める。


「え、なんで君が謝るの、違う違う。大丈夫だから、泣き止んで…。」


自分はなんか地雷を踏んだのかもしれない。

凛さんの背中をさすりながら、なんで春希あいつがこの子を連れてきたかを考える。


でもいくら考えても浮かんでこない。


「ねぇ、凛さん。よかったらでいいんだけど、なんでここにつれてこられたのか、話してくれる?」

「…は、はい。だ、大、丈夫です。」


そう言って、彼氏に付き合っていること、彼氏が今日いきなり豹変したこと、そこで春希が割って入って助けてくれたことを話してくれた。


春希あいつそんなことできるんだ。


そして、話終わった後は、なにかと疲れた顔をしていた。


そりゃそうだ。今まで尽くしていた彼氏がほとんど身体目的であったのは相当精神にくる。


だから私は男が大嫌いなのだ。


「ねぇ、凛さん。」

「…あ、はい、なんですか…?」

「今日さ、泊まって行かない?」

「…え?」


それは凛にとって一番気が楽になる提案だった。

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