第5話 「実験に付き合ってくれるかな?」
次の日。
遅刻はせずに学校に着いた。詩織は先に行ったらしい。
いつも通りの学校が始まり、終わった。
そして。地獄の科学部の時間である。
では何故地獄なのか…
「やっときたか…春希…。」
そう言ったのは、科学部の先輩。
「はいはい。きてやりましたよ。李乃先輩。」
「きてやりましたとはなんだ!せっかく先輩が歓迎してやってるのに!」
「…はいはい…。」
そう適当にあしらいながら、椅子に座る。
「今日は?白秦先生いないの?」
「いないというより居なくなったわ。授業終わった後すぐさま帰っていったわ。」
「…そうなんだ…。」
あの先生は結局人に言うだけ言って自分は来ないんかい。
ちなみに他に部員はいたのだ。が、この横暴な先輩のせいでいなくなってしまった。所謂、幽霊部員となってしまった。
そして気づくとこの激ヤバ先輩と俺と顧問の先生しか部活の時間に出入りしなくなった。
しかも先生今日いないし。
そして。この激ヤバ先輩のヤバいのはどこなのか。それは___
「さて、春希君。実験に付き合ってくれるかな?」
「え?」
三十分後。机の上には生成物が入った小瓶がある。先輩はその小瓶を持ち、何かが書いてある紙を貼っつける。
そこには…『媚薬』と書いてあった。
「先輩…何か悩み事でもあるんです?あるなら話くらい聞きますけど…。」
「そんな憐れみを向けた目をするなぁ!?というか悩んどらんわ!?」
そんな叫びを受け流しつつ、小瓶を持ち上げる。色は透明。何に混ぜてもわからない。
「ふっふっふ。どうだ、私の渾身の作品だぞ?使う気になったか?」
「いや、全く。」
「うぇ…ばっさりだぁ…。」
「というかなんでこんなもの作ろうと思ったんです?いつもは“体から熱が出て学校を休める薬”とか“自分の知能をあげられる薬”とか、自分に得があるものばっかり作ってたじゃないですか。」
「それは…秘密といえばいいだろうか。」
「秘密…ですか?」
「あぁ。言いたくない…というより言えない。」
「??」
そんなこんなで。その後、面倒臭い処理やらを任され、この部屋でたった一人になってしまった。
そして片付けを全て終わらせて。気づいてしまった。
「こいつ置きっぱにしやがったな…。」
小瓶が置きっぱなしだったのだ。
それに気づいたときだった。廊下の方から先生が歩いてくる音が聞こえた。
しまった。もう、巡回の時間だった。
咄嗟に小瓶を鞄に隠し、帰る準備をしているふうに振る舞う。
そして、巡回している先生に後はお願いし、すぐに外へ出た。
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