第2話〈前編〉 サクラ


久しぶりに桜をよく見た。

去年はもっと、白かった気がする。


手をのばして触れながら、ちらちらと光が見え隠れするのを楽しんだ。



3分ほど、そうして桜を眺めていた。

突然、こんなに整った花びらなら、君が欲しがるだろうなと思った。


そして、ひらひらと落ちていくそれらを、つかまえたくなった。



高校生の男子が幼い子供のようなしぐさをしているのだから、通行人にはさぞおかしくみえたに違いない。

だけど僕は、この綺麗な花びらをあげて、君の喜ぶ顔が見たいと思った。

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