第636話

『事情は全て聞いた!お主らの懸念はここのボスが持っている種子の処分で在ろう?』

『だったらそんなもの、この亀事運んで火山にでも捨ててしまえば良いのだ!』


ドヤ顔で話をする2人。凄く興味の在る話をしているが、俺はそんな2人に声が聞こえる様に最大迄大きくなってから声を掛ける。


「うん、スピーカーで話してくれるのは良いけど聞き取り辛いから降りて来てくれないか?あとそんな大声で話をしていたら作戦が相手にも丸聞こえだし、相手に対策されるぞ?」

『あっすまん。』


という訳でアインが代表して降りて来てくれた。うーん、改めてみるとウィンドラがかなり大きくなって無いか?元々飛行船だからあそこ迄大きく無かったよな?かなり上空に居るのにここら辺一体の空を覆うくらいになってるぞ?


「うむ!機械龍に種族が変わったウィンドラが進化したのだ!半分生命の様な物だったからなぁ。まぁ突然進化して私達もビックリしたが・・・。」

「それで?今の種族は何になってるんだ?」

「アークドラゴンだ!」


ドラゴンは見たまんまだとしてアーク?箱舟って事か?


「うむ。この世界が滅びる時に人々を乗せて星を脱出する存在だぞ!凄いだろう!」

「ねぇアイン?それってこの世界が滅びそうになってるって事じゃないの?」

「イルセアさんの言う通りですね。いつ進化したか教えて貰えますか?」

「?イベントが始まってすぐだが?」

「あっ、これガチで世界が滅び掛かってるわ。」


世界がもしもの時の為にとウィンドラが箱舟に進化させたんだろう。マジかぁ、俺達がしくじったらこの世界滅ぶのかよ。責任重大じゃねぇか!!


「それと先ほど言っていた事は本気ですか?あの種子を火山に放り込めばいいとか。」

「うむ!今のウィンドラならこの島を運ぶことも可能だ!だから島ごとマグマの中に放り込めば良いだろう?」

「あの種って燃えるのか?」

「弱点に炎が無いから恐らく燃えないわね。旅人を吸収した事によって加護の弱点が無くなったとしたら、後は光りと神と生命よ。」

「なぬっ!?私の作戦は駄目なのか!?」


うーむ、挑戦してみても良いかもしれないが。もし実行してみて燃え残り、この星の核で芽吹いたらどちらにしろ世界が滅ぶしなぁ。ここは確実に俺達の前で消滅させておきたい。


「でもなぁ。手が無いんだよなぁ。」

「・・・・ふむ。行けるかもしれませんね。」

「おぉ!やっぱりマグマに落とすのか!それなら我々に任せて貰おう!」

「あぁいえ、違いますよ。マグマには落としません。ただウィンドラにはザーラタンを持ちあげて貰い、その間に尻尾を処理しようという事です。海中でなければ火力が出せますからね。」


種子の処理でネックだったのが、弱点である光りを使った攻撃が弱体化するからという物が在る。水の中って光りが屈折してしまうから威力が減衰するんだよな。距離が遠ければ光りは届かないし、だから手が出せない状態だった。


「その通りです。ですが処理したい部位が海上に出ていれば話は別です。スキルによっては太陽の光迄使い威力を上げる事も出来ますから。」

「なら即座に実行しよう!この世界が滅びるなんて私は許さんぞ!」

「ですが問題が在るんですよねぇ・・・・。」

「それってあれでしょ?ザーラタンを取り巻く植物が掴みかかったウィンドラを襲うって事でしょ?」

「そうなんです。そこをどうにかしないと・・・。」

「何だそんな事か。それならもう解決してるじゃないか。」


メガネが何やら真剣に悩んでいるが、そんなの一発で解決できるぞ?


「えっ!?解決してるんですか!?」

「おいおいしっかりしてくれよ。ミルバは俺が守りたい物を守れるスキルだからな?その対象をウィンドラにすれば良いだけだろ?」

「はっ!?そう言えば!?」


あの植物の攻撃は俺には通用しない。ミルバの能力を使って俺がダメージを引き受ければ、ウィンドラはノーダメージで作戦を遂行できる。なっ?簡単だろ?


「私とした事が、拠点を失った事で動揺していた様です・・・。」

「まっ、人間何事も完璧には出来ないんだから仕方ないだろ。んじゃまずは奴の尻尾に在る種子を処理するって事で良いな?」

「その間敵の妨害が考えられるけど?そっちの対応はどうするの?」

「そこはリダ達に頼むしかねぇわな。ミルバは俺かミルバ本人が視認してないとスキルの効果が発動できないから、俺がウィンドラに乗り込まないと行けないだろう。」

「という事はあまり仕事の無かった盾職に皆さんに頑張って貰わないと行けない訳ですね。」

「そうなるな。上空から見る事になるから俺のスキルは切れるだろうし。」

「そう言う事なら任せて貰おう!正直仕事が無くて困ってたんだ!」


俺達の話を聞いていた盾職の人達から口々に任せろと声が上がる。


「私のステージも役に立てますからね!」

「おう、テッタ達も来たのか。」

「はい。せっかくテッタの為に作ってくれたステージを壊されたんで、その仕返しの為に。」


ステージくらいなら生産職の連中がすぐに作ってくれると思うけどな。


「あんな心の籠ったステージを壊されて私も怒ってるんです!」

「という訳なので地上の方は任せて下さい。」


テッタの歌が在れば仲間全員にバフが掛けられるし、相手にはデバフの効果も在る。彼女達が参戦してくれるなら心強いな。


「さぁ時間が在りませんからルドさんはウィンドラに。攻撃部隊はボンさんに乗って移動ですよ。」

「そう言えばボンに頼んだ仕事って何だ?」

「ザーラタンのどの部位から植物が生えているのか、海中での活動はどれくらい可能なのか調べて貰っていたんですよ。アインさん達の案が無ければ強引に海の中で戦闘をするつもりでしたから。」

「まぁそうなったら火力不足でこっちが負けていたでしょうけどね。」

「海での戦闘にならなくて本当に良かったな。」

「さぁさっさと行くぞ!ウィンドラの力見せてくれる!」

「あっこら!まだ話してる途中だから引っ張るな!」


アインに引っ張られてウィンドラに乗り込む。昔のアニメみたいに光りの輪っかが俺達の頭に降り注いでふわりと浮くとは思わなかったなぁ。ポワポワポワポワみたいな音がずっとしていてそのまま艦内に取り込まれるように乗り込んだぞ。


船内はかなり広くなっていて、畑や動物を飼育するスペースまで増えていた。さすが箱舟。自給自足で生活出来るようになってる訳だ。


「ルドは私と一緒に頭に乗るぞ!」

「船長が指揮しないで大丈夫なのか?」

「指示は直接ウィンドラに出せば問題無い!」

『そう言う事だ。索敵や武器の仕様には慣れておらぬ故、人の手を借りるがそれ以外は我の意思で出来るぞ!』

「そうなのか。」


まぁ半分生命体とか言ってたからな、自分の体を自由に動かせて当たり前か。


『さぁ遠慮なく頭にくると良い!』

「あいよ。それじゃお邪魔しますよっと。」


という訳で艦内を通ってウィンドラの頭の上に出る。かなりデカい頭だから甲板に見えるくらい広い。これ頭動かされたら転げ落ちそうだけど大丈夫?


『そこも問題無いぞ。我の力で落ちない様になっている。』

「おかげでカッコいいポーズで登場できたのだ!」

「いう程カッコよくは無かったけどな。まぁ落ちても俺は死なんが。」

『ではザーラタンの引き揚げ作業を始めるぞ!』

「解った。ミルバ。ウィンドラとそのクルーを守るぞ。」

『了解しました主様。』

「ぬおっ!?突然女性が出て来たぞ!?」

「あー、説明は今度な?」


詳しく説明してやりたいが、地上の奴等ももう動いてるし俺達が遅れる訳には行かないからなぁ。


『いざ!ふんぬっ!!』

「おー!どんどん浮き上がって行くぞ!」


ザーラタン自体はもう死んでいる状態だからか、暴れる事なくその巨体が海から引き上げられていく。持ち上げられてもヒレを動かし続けているな。


「来たぞ!ザーラタンの甲羅から植物の攻撃だ!」

「もう保護はしているから心配ないぞ。そのまま持ちあげてくれ。」

『おぉっ!噛まれても平気だ!これならば宇宙までも持って行けるぞ!』

「大気圏で種子がばら撒かれたら追いきれないから止めれ。」


本体が浮き上がり、尻尾が徐々に海上に出て来る。もう少しで全部見える様になるな。頑張ってくれよ攻撃部隊。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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