第548話

さて、一旦これで試合は終わりだろうと待合室に戻って来た訳なんだが。


「待っていたわあなた!さぁ次は私達の試合ですよ!」

「あぁ、参加申請通ったのか。いや、もう締め切ってなかったか?」

「シアと一緒にOHANASHIをしたら許可が出ましたよ?」


それ絶対暴れるとか食い尽くすとか言って脅迫しただろう。係の人すみません・・・・。そうそう、リダの奴はいつもの如く係の人に連れて行かれた。次の試合って何か在るのかね?


「さぁ私達が一番の夫婦で在ると知らしめに行きますよ!」

「いや、婚姻結んだの一番最後じゃないか。」

「順番等関係無いのです!!」


ポーン♪「飛び入り参加のシーラ様・ルド様は会場にお越しください。」


はい、お呼びが掛ったという事は本当に参加者として受理されてたんだな。呼ばれたからには行かないとなぁ。


シーラを見て顔を蒼褪めさせる係の人に謝罪を伝えて、ついでにシーラにも謝罪させてから舞台に上がる。あんなに怯える何て何やったんだお前は。


【さぁ選手が入場して来ました!この試合は飛び入り参加枠として特別に組まれた試合となります!】

【すでに参加者であるルド君のパートナーで在る事、とても熱心に参加を表明された事で急遽参加の許可を降ろしたよ。今からでも参加したい!っていう人には申し訳ないけどここで完全に締め切りだから諦めてね。】

【シーラ選手の飛び入りのお陰で何組かは追加参加出来ていますけどね。さて空神様。あの気品を振りまきとても一般の人だとは思えないシーラ選手とは一体誰なのでしょう?】

【彼女は空中大陸。国家名で言うとエアリオンの元女王様だね。今は後任にその座を譲って引退しているよ。そもそもその引退の原因は厄災に攻められたエアリオンを救うために、精霊としての力を過剰に消費した為に眠る事になったからなんだけどね。】

【普通そこまで消耗したら消滅するのでは?精霊の友魔を酷使し過ぎて消滅させ、仲間に報復された旅人の話も聞いた事が在りますが。】

【本来であればそうなんだけどね。その場に居合わせたルド君が友魔にして、鈴の中で休ませることで一命を取り留めたんだよ。彼女が誰の友魔でも無かった事と、ユニーク個体ばかりを収めてちょっと変質しちゃったルド君の友魔の鈴のお陰だね。】

【あれ?ルド選手の友魔の鈴は変質してるんですか?】

【名前は一緒だけどね。ユニーク個体しか友魔に出来ないっていう制限が付いたけど、その分友魔の回復力と行動範囲が変わってるんだ。じゃないと友魔1人で色々と動く事なんて出来ないでしょう?】

【それはユニーク個体だからだと思ってました!違ったんですね!】

【たとえユニーク個体だとしても、昔と違って主人がこの世界に居ない状態で外に出たり出来ないからね。】

【成程ですねぇ。】

【まっそんな命の恩人であるルド君に惚れちゃっても仕方ないんじゃないかな?ちなみに彼女はルド君の友魔で在るシアちゃんの実の母親だから、彼女が本当の奥さんだとも言えるね。】

【おぉー。大勢の人があの美貌で子持ちの人妻なのかと驚いてますねぇ。】

【忠告だけど変な事考えない方が良いよ?まぁ今までの試合を見て来た皆なら変な気は起こさないと思うけど、念の為。ルド君達の報復ももちろんだけど、最近飛行船技術を復活させたエアリオンが敵に回るからね?】

【一国家相手に喧嘩を売るなんて命知らずは居ないでしょう。さぁそんなシーラペアの相手は一体誰なのかぁ!!】


俺達が舞台に上がってから少しして、反対側から選手が入場して来た。両方共樹人種。つまりはエルフだな。片方は弓矢を、片方は杖を持っている。どちらも後衛タイプか?いや、近接も行ける感じだな。2人共腰に刀剣を装備している。


そして舞台に上がって来たかと思ったら、その腰の剣を俺に向けて突き付けて来た。


「貴様ぁ!偉大なる大精霊様を拐かすとはどういう了見だ!!」

「その御方は我々樹人種に取って神の様なお方!すぐに開放し我々に引き渡せ!」

「だとさ。どうするシーラ?」

「普通に嫌です。なんで私が樹人種の神に等ならないといけないのです?」


【おーっとここにちょっかいを掛ける馬鹿が居たぁ!!】

【あー、試合後にちょっと注意しておこうかな。もし大会が終わってもしつこく粘着するなら、本当にエアリオンが動いちゃう・・・・。】


「貴方様は植物と森を司るドリアード様では無いですか!」

「我等樹人種は森と共に生きる種族!であれば我々の元に来ていただくのが常道と言う物です。その男の事は諦め、是非ご同行を。なぁに、その者よりも見目も良く強気男を紹介します故。」

「だから嫌だと言いました。樹人種は話を聞かないと聞いていましたが、ここまでとは・・・。」

「いあ、あれただのロールプレイだから。だって2人共住人じゃなくて旅人だし。」

「ロールプレイなどではない!我等は生粋の樹人種である!」

「やはり樹人種以外は下劣で下等な生物なのだ!このような者の元に精霊様を置いてはおけぬ!!」


【空神様。樹人種は本当にこの様な考えを持っているのですか?】

【老人とかの中には今だにその考えを持っている人は居るかもね。でもそう言う人はもう深い森の奥に引っ込んじゃってて俗世と関係を断ってるよ。今街とかに居る樹人種は他種族とも共生しようとしている人達だね。その人達は精霊の扱いに関しても神扱いではなく、良き隣人として接しているよ。だから彼らの言っている事は今色々な国で生活している樹人種の印象を悪くする発言でしかないね。】

【現に会場に来ている樹人種の方々からは大きなブーイングが飛んでおります!一部乱入してあの方達を捕縛しようとする動きも見えますねぇ。】

【あー、試合中だから落ち着いてねぇ。試合が終わったら君達に引き渡すから、後は好きにしたら良いよ。試合に勝っちゃったら残念だけど大会が終わるまで待ってね?】

【あの2人はルド選手の防御が抜けると?】

【うーん、方法は持ってるかな?多分樹人種が烈火の如く怒るけど。】

【その方法とは?】

【多分行っちゃったら樹人種が暴動起こすから言わない。まぁ僕が見守っているから最悪な事にはさせないって保障だけはしとくね。】

【何の事かは解りませんでしたが、空神様がそう言うのでしたら大丈夫なんでしょう。さぁ審判が出てきました!】


「双方準備はよろしいですか?」

「ふん、身の程を教えてやる。」

「精霊様、少々お待ちください。その下賤な者より今お救い致します!」

「だから頼んでませんが?」

「無駄だシーラ。あいつ等自分に酔ってるから聞く耳持たんぞ。一度ぶちのめすしかない。」

「よろしい様ですね。では試合開始!!」

「先手必勝!<樹竜の一矢>!」

「バフを乗せましょう。<樹精の祝福>」

「さて、格闘家の時に様子見して一度やられたからな。今回は最初から全開だ。<守護者><双璧><操隊盾術><金剛巨人体><純潔>。スキルコンボ<守護者の鎧>と<守護者の障壁>だ。HPも半分捧げてダメージ50%カットだ。」


これで俺は9600ダメージまで無効化出来る。さぁ抜ける物なら抜いて見ろ。


「妻として少しお手伝いしましょう。<大精霊の祝福>。これで防御力はさらに倍です。防御無効化攻撃の緩和も出来ますよ。」


俺の体を緑色のオーラで出来た蔓と花が包む。そこに敵の矢が飛んで来た。


パァンッ!!


「くっ!大精霊様のお力で防ぐ等卑怯千万だぞ貴様!己の力だけで戦え!」

「そして大人しく我等に処されろ!この卑怯者!」

「言わせておけば私の旦那様に向かって!」

「まぁまぁ、俺だけの力で防げば納得するんだな?だったらほれ、さっさと攻撃してみろ。受けてやるから。シーラはこのバフ引っ込めてくれ。」

「くくく、大精霊様の力のない貴様等我等の敵ではない!」

「さっさとこの場から消え失せろ!!」


パァンッ!


「「へっ!?」」

「馬鹿な人達ですね。この人がそのくらいの攻撃で倒れるとでも?私は少しだけ手助けしただけですよ?」


無傷の俺を見て唖然とした表情をする2人。こいつ等今までの試合見てなかったんだろうなぁ。さてと、今回は気の済むまで受けてやるからさっさと攻撃して来い。全部受け切ってやるから。



毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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