第547話

シーラが部屋から出て行ってすぐ、本来の待ち人が待合室に入って来た。


「ルドさんお待たせしました!!」

「おっ、やっと来たかリダ。」


リダの姿も少し変わっている。着ている服が空手で使うような道着からチャイナ風の道着に変わっている。胸の部分を部分鎧で覆い、ひざ下まで垂れ下がる雲の模様が描かれた前掛けの着いた白い上着を着ている。太ももの部分が少し膨らんだ黒いズボンに茶色いブーツ。そして額を守るように金属の冠も被っているな。手には縁取りを金に染め上げた黒い手甲が装備されている。


元々猫人種で再開しているリダは頭に大きな猫耳が在る。チャイナ風に合わせたのか髪の色も変えていて、頭や耳に虎の様な模様が入った黄色い髪をしているな。ピシッとした服はリダの引き締まった肉体にマッチしているぞ。ちなみに胸部装甲は薄いがちゃんと在るぞ。無ではないと言っておこう。無いと言ったら殺されるから注意な。


「どうです!似合いますか!!」

「あぁ、凄い似合ってるな。装備を一新したのか?」

「丁度良い感じに装備の強化素材が在ったのでそのまま強化したんです!そうしたらこんな見た目に鳴りましたけど。」

「まぁリダは仙人に教えを受けてる訳だし、丁度良かったんじゃないか?髪の色と合わせて戦う寅!って感じだな。」

「えへへ~褒められましたぁ。」


ポーン♪「ルド様。リダ様。試合時間となりました。会場までお越しください。」


「おっ?丁度良いタイミングだな。今度も遅れなくて済む。」

「そうですね!久しぶりに2人での戦いですし、楽しんでいきましょう!!」

「そうだな。じゃあ早速行くか!!」


毎度の如く会場の入り口で待っていた係の人に挨拶をして舞台に向かう。俺達が出てくると会場が変にざわついた。なんでだ?


【おーっと!ルド・リダペアの入場ですがこれは一体ぃぃぃぃぃっ!!】

【ルド君に奥さんが増えてるねぇ。待ち時間の間に何が在ったのかな?今度も住人の奥さん見たいだし、もしかして係の人を口説き落したのかな?】

【そうだとしたら彼は見境の無い女垂らしだという事になってしまいますね!現に会場の男性陣からはブーイングが飛んでいます!】

【まぁそのほとんどはどうやったんだ?とか、1人寄越せ!何て言う嫉妬の言葉だけどね。これは対戦相手に取ってかなりの挑発になるねぇ。】

【すでに入場を済ませているコブシ・タツペアの額には青筋が浮かんでいるぞー!!】

【彼らは己を鍛える為にずっと山の籠って修行をしていたからねぇ。女性とお付き合いしたいと思っても必死で我慢して修行していたのに、目の前には5人も奥さんが居るハーレム野郎が居る。敵意を向けても仕方ないかな?】

【さぁ試合開始前にお決まりの舌戦です!】

【ルド君達から仕掛けた事は・・・。シチートさんだけしか無いけどね。】


「俺より強い相手に会いに来たというのに女子に現を抜かす阿呆が来たか!」

「良いじゃないかタツ。こういう奴をぶっ飛ばす為に修行して来たんだろう?」

「それもそうだな!!」


目の前には白いボロボロの道着と赤い鉢巻き、そして赤いプロテクターを付けた裸足の男と、赤い道着に金髪、そして黒いプロテクターを付けた格闘家っぽい2人が立っていた。


「好きでこうなった訳じゃ無いんだけどなぁ・・・・。」

「そうです!私達はルドさんが好きだから結婚したんです!本当はルドさんから求婚して欲しかったですけど・・・。そんなの待ってられませんでした!!」

「くぅ!女子から告白されるとは羨ましい!!」

「おいおいタツ、本音が漏れてるぞ?」

「どちらにしろ女子に現を抜かしている事には変わりなかろう!!待機している間に1人増やしている訳だしな!!」

「そう言えばいつの間にか増えてますね?どうしてです?」

「シーラが復活したんだよ。そんでこうなった。」

「本当ですか!良かったですけどルドさんと即座に婚姻している事にちょっとしたもやもやを感じます・・・。」

「無理矢理だったからなぁ。了承無く婚姻できる状態どうにか出来ないか?」

「それは運営に言うしか無いですよねぇ。」

「おいおい俺達を無視して話を進めないでくれるかな?」

「やはりこの拳でぶちのめし、男の矜持を思い出させるしかあるまい!!決して目の前でイチャイチャされてイラついた訳では無いぞ!」

「そうだな。こんなかわい子ちゃんに思われてるのにどうも思ってないこいつにはお仕置きが必要だな。」

「本当そうなんですよ!この人無自覚に色んな人を助けて惚れさせるから大変なんです!私何てリアルで生活のお世話してるのにちっともときめいてくれないですよ!」

「なぬ!通い妻とな!!やはりぶっ飛ばす!!」

「それは駄目だねぇ?僕ならそんな寂しい思いはさせないのに。どうだい?僕に乗り換えないかい?」

「あっそれは普通に嫌です。私はまも、ルドさんが良いんで。」

「あちゃー、振られちゃったねぇ。これはこの恨みを彼にぶつけるしかないね?」

「なぁ、なんで俺の事無視するの?ねぇ何で?」

「あー、双方準備完了しているみたいなので試合開始!!」


何故か俺だけが無視された会話が終り試合が唐突に始まった。まぁ俺はやる事やるだけだな。守護者と双璧を発動っと。


「喰らうが良いわ<列破>!!」

「僕の足技は痛いよ?<尖脚>」


ゴゴンッ!!


「ごふぅっ!?」

「ルドさん!?」


【おーっと試合開始早々ルド選手吹き飛ばされたぁ!!】

【あの2人は防御無視攻撃持ってるからねぇ。今のはかなり痛かったんじゃないかな?】


盾で受けた筈の拳と脚から衝撃波が飛んできて俺の体が吹き飛ばされた!くそっ!攻撃の衝撃で足が浮いたか!その所為でノックバック無効の効果が消えた!


「大丈夫ですかルドさん!!」

「まだ大丈夫だ!HPも残ってる!」

「おやおや?そんなにのんびりしていて良いのかい?」

「隙が出来たなら追撃するに決まっているだろう!はぁ!!」


迫りくる白い道着と赤い道着。まずい!このまま同じ攻撃を喰らったら次で沈む!リダにはHPが残っていると言ったがすでに残りHPは400しか残っていない。こうなったらスキル全開だ!


「遅いわ!!」

「本当にこれがあの無敵の盾なのかい?そうだとしたら拍子抜けだね。」

「ぐぶぅ!」


スキルを発動しきる前に、俺のHPはあっという間に0になってしまった。


「さぁこれで君の負けは確定だね?」

「我らが勝ったらおおおお、お茶に付き合って貰う!!」

「緊張し過ぎじゃないかいタツ?」

「・・・・・・さい。」

「ん?どうしたんだい?今更僕達の魅力に気がついたのかな?」

「おおおお、お付き合いはお互いを良く知ってからだぞ!」

「五月蠅い。そう言ったのです。ルドさんはまだ負けてませんよ?」

「あービックリした。」

「「何っ!?」」


【出ました!ルドさんのしぶとさの一員死亡からの復活!!】

【蘇生系スキルは数あれど、彼みたいに自動で発動する物はあまり見ないよね。と言うか今の所彼しか持っていない特殊スキルだね。】

【一度だけとは言え復活するのは強すぎます!しかも時間が経過するとまた復活出来るとか、チートじゃ在りませんか?】

【うーん、元々彼がALOの時に使っていたスキルが復活した物だからねぇ。ある程度当時の理が残っている所為で、僕達にはどうしようもないだよねぇ。あのスキル消そうとしたら、今の彼を一旦完全消去しないと駄目だし。】

【しないのですか?】

【彼には迷惑掛けたからね。僕達のお詫びで今の体を渡してるんだよ?不都合が出たからって取り上げる事は出来ないかなぁ。】

【おーっと!復活したルドさんにタツとコブシペアが再度襲い掛かるぅ!!これは絶対絶命かぁ!!】

【いやぁ、もうルド君は油断してないんじゃないかなぁ?あの復活の強い所は、発動したスキルが引き継がれたまま復活する事に在るからね。多分もう攻撃は・・・・。】


「復活したとして又倒せば良かろう!!」

「あっさりと僕達に倒された癖にしぶといね?まぁ良いさ。またすぐに倒して上げるよ。」


俺が立ち上がったのを見た瞬間にすぐに攻撃に移るのはさすがだな。だがもう遅い。すでにスキルは全開だ。


ガガギンッ!!


「効かーーーーーーん!!」

「なに!固い!!」

「おかしいねぇ。防御力は無視している筈なのにダメージが入ってないよ?」


何もおかしい事はない。俺はすでにスキルコンボ<巨神鎧>の効果を発動している。効果は5分間の無敵状態だ。本来使用にはHPの半分を使用するが、HPが1であれば使用コストは無い!


「ふふん!ルドさんを舐めるからそうなるのです。そして私の事も。行きますよ!<阿修羅>!!」


パァンッ!!


「ここここぶしぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」


【おーっとリダ選手の攻撃を受けてコブシ選手が弾け飛んだぁ!?これは一体どういう事でしょう?】

【実はルド君の仲間で瞬間攻撃力が一番高いの彼女なんだよね。防御力無視攻撃を持ってるし、気力を消費すれば加速度的に攻撃力は上がるし。今のコブシ選手が消し飛んだのも、一撃6700ポイントのダメージを連発した結果だしね。あれでまだ攻撃スキルを温存してるんだから怖いよねぇ。】

【確かパーティーメンバーに厄災武器を持って、走れば無限に攻撃力を上げられる人が居たと思いますが?】

【彼女はほら、準備に時間が掛かるからさ。しかも一撃の威力が高いだけで、継続戦闘能力は低いんだよ。その点彼女は同じ火力をずっと出し続けられるよ?装備のお陰で気力も常に回復してるしね。】

【それはもう倒せる人は居ないのでは?攻略組よりも強いですよね?】

【いやぁ、そこはちゃんと弱点があって搦手には弱いんだよ。状態異常攻撃や洗脳攻撃に対する耐性は持ってないからね。そんな敵が出て来ちゃうとあっさりと負けちゃうね。でもそこを補える人と組んだら?】

【それがルドさんという訳ですか。】

【そう。彼と居る時が一番彼女の火力が発揮出来る瞬間だろうね。何せ厄介な状態異常攻撃も全て受け止めてくれる訳だから、安心して攻撃出来るでしょう?】

【まさに最強タッグですね。】


「さぁ終わりです!」

「ぐぅ!こんな事ならお主の様に強いパートナーを探すのだったぁ!」

「そう簡単に出会えないと思うぞー。ここまで強くなったのはリダの努力のお陰だし。」

「いつでもずっとルドさんの傍で戦う為に鍛えましたから!」

「無念っ!!」


パァンッ!!


「勝者!ルド・リダペア!」

【今度もルドペアが勝ちましたね。】

【そうだね。あぁ早々、制限付きスキルは試合終了と共に再使用出来る様になってるから気にせずどんどん使ってねぇ。神の施しって奴だよ。感謝してね?】

【さぁ負けたタツ・コブシペアへの罰ゲームは!!】

【子供になって貰いまーす!あぁ安心して1日経ったら元に戻るから。】


筋骨隆々だった2人が短パンの似合う可愛らしい子供の姿で舞台に現れた。コブシは大人の時の面影が在ったけど、タツの方は幸の薄そうなか弱い感じでビックリだわ。なお、舞台から待合室に戻った時に、待ち伏せていたショタ好きのお姉さん達に連れ去られた模様。南無・・・・。



毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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