第544話
さてさて、イルセアの時と同じように双璧と守護者だけ発動させて様子見をしますか。
「しゃーっ!行くぜぇ!!」
「始祖の実力、見せて貰います!!」
おっと!さすがに俺の事を始祖だなんて呼ぶだけあるな。全部の攻撃を俺が受け止めると知っていて、最初から俺一人を先に落とす作戦に出たか!
「あら?私の事を無視しないで欲しいわ。」
「カナちゃん先に行って!この人の相手は私が!」
「おう!痴女の相手は任せた!」
「痴女だ何て酷いわぁ。これでもこの人一筋なのよ?初体験もこの人だしね。」
「「えっ!?」」
あー、ちみ達?今試合中なんだから興味を惹かれた!みたいな顔して止まらないでくれるかな?仕方ない、注意して上げるか。
「試合中ですよー!!」
「ぐはぁっ!何て大きな声なんだ!」
「ダメージが入る程の声なんて!!」
「もう、ルドきゅんったら放って置かれて寂しいのは解るけど。女子会の邪魔しちゃ駄目よ?」
「さっきも言ったが試合中なの!女子会じゃねぇから!!」
まったく!解っててさっきの話題振りやがったな?ここで話を広めて自分の妻の座を確固たるものにするつもりだったろう!その表情が全てを物語ってるぞ?
「くっ!先手は取られたが今度はこっちの番だ!オリャーッ!!」
ガギンッ!!
「おぉ!!良い攻撃だなぁ!!ちょっとビリっと来たぞ!」
「かかか、かてぇーっ!!」
【空神様、今の攻撃が防御無効化攻撃何でしょうか?】
【いやぁ、今のは違うねぇ。普通の攻撃で彼にダメージを与えたみたいだ。それでもポイントとしては10ポイント位かな?もう回復しちゃってるね。】
【じゃあこの後使うのでしょうか?】
【このまま攻撃して埒が明かないと判断してから、かな?結構慎重みたいだね彼女。】
「このっ!このっ!このっ!このっ!」
ガインッ!ゴインッ!ギィンッ!ガギンッ!
「段々太刀筋が鋭くなって来てるな!良いぞ良いぞ!その調子その調子。」
「お前は私の師匠か!!」
両手に持った両刃斧を何度も叩き付けて来るカナちゃんと呼ばれた方。最初は勢い任せの攻撃だったが、今は俺の防御の隙を突こうとフェイントを入れたり、立ち位置を変えようと動き回っている。何とかしようと必死な事で、段々とこちらが受けるダメージが増えて来た。と言っても金剛巨人体の自動回復を上回る程じゃないけどな。
さて、師匠の方はどうだろう?
「あら凄いじゃない。私の攻撃を受け流す何て。」
「あなたの事も調べましたから。初代双盾師範代のシチート様?あなたの戦い方も私は取り入れてますよ!」
「嬉しいわねぇ。ルドきゅん以外に後継者が居るなんて。あなたこの試合が終わったらジャイアント王国に来なさい。私が直々に戦い方を教えて上げるわ。」
「負けたら考えます!」
「ふふふ、その意気よ。さぁもっとスピードを上げるわよ!!」
師匠は伸ばした爪でナナちゃんと呼ばれた方を攻撃していた。だがバックラーと言う鳥回しの良い盾を両手に装備した彼女は、その師匠の攻撃を巧みに受け流している。攻撃しようとしたら俺の方に攻撃が向いてしまい、隙を晒す事が解っているのか攻撃は一切していないな。それだけ俺の目の前に居る彼女を信頼しているって訳か。
さて、そんな彼女を開いていしている師匠はと言えば。かなり余裕をもって戦っている。そもそも今は相手に防御の仕方を教える様にわざとゆっくり攻撃しているからな。あれは確実に師範代としての血が騒いじゃってるな。それだけ彼女が実力の在る盾使いなんだろう。直接勧誘するくらいだし。
【戦闘は膠着状態になりましたね空神様。】
【そうでも無いかな。ルド君ペアは余力が十分残ってるけど、相手側はかなりギリギリだね。盾職としての力量差はルド君ペアが圧倒的に上だし。このまま時間が経つとかなり厳しい状態になると思うよ。】
【では彼女達に勝ち目は無いんですか?】
【それは彼女が切り札をいつ切るかで変わって来るかな?】
【彼女と言うのは斧使いの方ですよね?】
【うんそうだね。おっ?その切り札を今切るみたい。攻撃職の人は良く見ておくと良いよ。師匠に師事出来たら覚えられるスキルで結構有用だからさ。】
「えぇいこのままじゃ駄目だ!使うぞナナ!」
「やっちゃえカナちゃん!」
「だぁぁぁぁぁぁっ!<鬼人化>と<破砕>だぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「うおっ!?」
ガイィィィィィン!!
目の前の彼女の皮膚がいきなり真っ赤に染まったかと思ったら、額から2本の角が生えた!?体の一回りデカくなってる!そして振り下ろされた斧のダメージでHPが半分持ってかれた!?
【今のが空神様が行っていた彼女の切り札何ですね。】
【そうだね。彼女の師匠は鬼人種の住人で、鉞の鬼兵太って言う人でね?斧系統の武器を使えばかのハルバードの英雄ルバートと匹敵する人物なんだよ。で、僕が行っていた防御無効化攻撃って言うのが<破砕>だね。相手の堅い防御を砕いてダメージを与えるスキルだね。】
【<鬼人化>と言うのはどんなスキルなんですか?】
【鬼人種の住人と杯を交わすと覚えられるスキルだよ。鬼の身内になって自身を鬼に変化させるスキルだね。身体能力がとても上がるんだ。だけど簡単に覚えられると思わないでね?鬼人化を覚える為の杯は彼等にとってとても重要な物で、試練を乗り越えるか特に気に入った人にしか振る舞われないからね。人に寄ったら求婚の為に振る舞う人も居るよ。】
【えっ?それじゃあカナさんは鬼兵太さんに求婚されたんですか?】
【いや?鬼兵太さんは既婚者で娘も居るからないよ。愛妻家で有名だしね。どっちかと言ったら養女として一族に加えたんじゃないかなぁ?】
【なる程ですねぇ。おーっと!カナさんの猛攻が続いているぞー!!】
ガンガンガンガンガンガン!!
「壊れろ壊れろ壊れろ壊れろー!!」
「そう、簡単に、壊れて、堪るか!!」
双璧と守護者だけでは持たないと判断して万想の鎧と操盾体術を発動。常時発動している純潔と合わせてスキルコンボ<守護者の鎧>を発動させた。
お陰で相手から受けるダメージは再び0になり、さっき減った体力も守護者の鎧の効果と自動回復ですでに全回復している。時折カウンターやパリィを入れて相手の姿勢を崩したりダメージを与えているが、ダメージを与えるごとに相手の攻撃の威力が増している気がする!
「良いの彼女?完全に暴走してるわよ?」
「カナちゃんはあれで良いんです!それにあれは一度発動させると時間切れまで止まりませんから!」
「あらそうなのね。まぁルドきゅんなら大丈夫でしょう。」
「カナちゃんを舐めないで下さい!」
「そちらこそ、ルドきゅんを舐めちゃ駄目よ?もちろん私もね。」
「きゃっ!?」
【おーっと!ここに来て双方が激しく動き始めましたぁ!!】
【切り札を切ったカナ・ナナペアは鬼人化が時間切れになるまでにルド君を落とさないと負け。逆にルド・シチートペアは時間切れまで耐えられれば勝ち。耐久勝負になったね。でもこうなると逆転は難しいかな?】
【切り札の切り時を間違えたと?】
【耐久力お化けのルド君に耐久勝負を挑む。それはもう無謀だよね。彼女達の勝ち筋は、ルド君が様子見をしている時点で即座に切り札を切り、妨害してくるシチートを無視して2人で押し切る事だったんだよ。でももうがっちりと1対1の状態を作り上げちゃってるでしょ?】
【そう言えばいつの間にか1対1になってますね。もしかしてこの状態は?】
【シチートが作り上げたんだね。さすが盾職の師範代。ルド君よりも敵視を稼いで動かさないのもお手の物って訳だね。】
【そう言えば彼女は元々双盾の使い手でした。】
【城塞のシチート。彼女が彼だった時に二つ名だよ。この試合、実は盾職2名VS攻撃職と盾職の試合だったんだよね。】
【耐久勝負に持ち込んだ時点で負けていたのですね。】
「このっ!はぁはぁはぁ・・・・このっ!」
ガンッ!・・・・・ゴンッ!!・・・・・。
ふぅ、大分疲れて来たみたいだな。鬼みたいになっていた姿も大分人に戻って生きている。それに、彼女が使っている斧ももう限界だ。俺の盾は耐久無限のグロウウェポン。いくら攻撃されても壊れないが、彼女の方は違う。すでに罅も入り刃も欠けている。
「がぁぁぁぁぁぁ!!」
ゴインッ!パキィィィィン!!
「あっ。」
そしてとうとう斧が壊れた。刃の部分が砕け、柄の部分だけが彼女の手に残る。それを見たカナちゃんは、呆然と壊れた斧を見ていた。そして・・・・・。
「うぅぅぅぅぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁん!壊れちゃったよぉぉぉぉぉ!!壊せなかったよぉぉぉぉぉっ!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「カナ戦闘続行不能!」
その場にへたり込んで大号泣するカナちゃん。その様子を見て審判が戦闘続行不可能と判断して退場させた。審判に宥められながら舞台から降りるカナちゃん。ちょっと悪い事しちゃったかなぁ?
「この試合で壊れた装備は試合終了後に復元されるのでご心配なく。」
「あっそうっすか。」
それなら一安心かな?さて、師匠の方に加勢しないと。
「ほら脇が甘い!バックラーは小さいのだからもっとフットワークを生かして!その上で機動力の要である足元には注意する!相手の攻撃から目を逸らさない!」
「がっ、ごふっ。げふぅ!!」
「今日の授業はここまでね。やっぱりあなた筋が良いわ。絶対に家の道場に来なさい。もっと強くしてあげるから。」
「うわぁ・・・・。」
【・・・・・最後のは何ですかね?リンチでしょうか?】
【ちょっと指導に力が入り過ぎちゃったんじゃない?ルド君の方も決着が着いたし、最後に教えられる所を教えて置こうとしたんじゃないかな?傍目には一方的に殴っているように見えたけどね。】
【えー、ここでナナさんも戦闘続行不可能で敗北。勝者はルド・シチートペアとなりました!!】
【敗者には罰ゲームが在るよー。さて今回の罰ゲームはどんなのだろうね?さぁ勝者は舞台から降りてねぇ。】
「最後のやり過ぎじゃないか?」
「しょうがないじゃない。もし家の来なくても今後成長する為に必要な事を教えたかったんだから。」
審判に勝ちを宣言して貰った俺達は舞台から降りて待合室に戻る。後ろではなぜかバニー姿の2人が観客に手を振っている光景が在った。罰ゲームは1日バニーの刑だそうだ。恥ずかしそうにするカナちゃんと、格好等気にせずに手を振るナナちゃん。この2人にファンが付いたのは言うまでもない。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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