第542話
【さぁ試合が始まりました!実況は私ヘルプさんと。】
【ちょっと様子を見に来ただけなのに・・・・・。はい、何故か捕まった空神がお送りするよー。】
【さぁ空神様。この試合どう見ますか?】
【うーん。普通に考えて勝つのはルド君達の方だと思うよ?】
【その心は?】
【彼ってこの世界じゃすでに1番堅い盾職だからねぇ。それに、防御無効化攻撃って言うの?そう言うスキルを実は実装してるんだけど、彼に対して使ってもさほどダメージ出ないんだよねぇ。】
【それは運営側の不手際という事ですか?】
【いやいや。単純に彼の堅さが化け物なだけ。彼の持ってる元徳スキルは上位スキルだけあって、防御力無効化攻撃を無効化するんだよねぇ。で、そのスキルを内包したスキルコンボはもちろん無効化攻撃を無効化する特性を持ってる訳。それに彼ってダメージ受けても即座に回復して行くんだよ。今は確か・・・・。1秒で160ポイントだったかな?10秒も在れば全回復するっていう驚異の回復力で、もしダメージを貰ったとしても相方が牽制してくれるだけでHPはフルになっちゃうんだよねぇ。】
【それってもうバグキャラと化しているのでは?】
【家の姉が色々優遇しちゃったからねぇ。もういっそこっち(運営側)に引き込んじゃおうかなぁ?】
【おーっと!色々とお話を聞いている間に試合が動き始めましたよ!】
【お互い準備が整ったみたいだね。】
闘技場の上の方に在るボックス席に、見慣れた人と見慣れない人が居た。1人は何時もお世話になっているヘルプさんらしい。女性だったんだな。スレンダー秘書って感じ。後は小さな鯨が隣に浮かんでる。空神様そんな所で何してんですか?ちなみに実況しているっポイが音声は聞こえない。
「ほら!ぼうっとしてないで来るわよ!」
「おっと、それじゃ早速<守護者>!」
「ふっはははははぁ!!バフ全開だぁ!!」
「私の式術を見せて上げましょう!!」
あっ、陰陽師っぽい人はやっぱり陰陽師っぽい技を使うんだな。扇子に書かれていた文字が光ってそこから何か出て来た。あれは鬼火?
隣の大男の方は体の筋肉が盛り上がった上で赤いオーラを纏っている。攻撃力を上げた感じなのかねぇ?どんなスキルか知りたかったけど、試合中はお互いの使用スキル名は解らない様になってるらしい。まぁ切り札を知られたくないって人に配慮したんだろう。
「ぶっ飛べおらぁ!!」
「デートの前に傷付けるのは心苦しいですがこれも試合です!彼女を牽制して下さい!」
大男は拳を握りながらこっちに突っ込んでくる。陰陽師はイルセアに向けて鬼火を飛ばした。が、守護者を発動してる俺がそんな事許す筈がない。
「よいしょっと。」ガインッ!ゴインッ!
「なっ!?俺の拳を受け止めただとぅ!!」
「何をしているですかオニちゃん!狙いはそっちじゃ無いですよ!?」
自慢?の拳を受け止められて驚く大男。それと、鬼火がこっちを狙った事に驚く陰陽師。うん、オニちゃんって名前なのね君。あっよく見ると可愛らしい目が付いてるわ。
因みに今発動しているスキルは守護者と双璧だけだ。装備と合わせてダメージ-1900ポイントだな。つまり、彼等の攻撃はそれ以下だという事だ。最初の試合だしなぁ。
「このこのこのこの!!」
「くっ!では次はギュウちゃんです!行きなさいギュウちゃん!」
「こっちゃこーい。」
今度はシャウトを乗せながら守護者を発動してみた。あっ、オニちゃんが消えてしまった!130ポイントのダメージで消えるんだなぁ。消える時に涙目だった事にちょっと罪悪感を感じてしまった。
「ぐふぅっ!」
「勇太郎!?」
「お前そんな名前だったの?」
俺の声を聞いて血を吐きながら崩れ落ちる大男。名前がなんかアウトっぽいから呼ぶの止めとこう。
「盾職の癖に良い物持ってんじゃねぇか!」
「だが!盾職ゆえに火力が無かった訳ですね!残念ながらこれで彼はさらに強化されますよ!」
「一発逆転発動じゃーーー!!」
あっ違います。呪いの所為で止め刺せないだけです。だって呼び出されてすぐの牛鬼っぽい牛さんが後ろで密かに昇天して行ったから。
【空神様?確かルドさんは相手に止めを刺せないですよね?なんで式は消えているんですか?】
【それは式がスキルで生み出された技判定で、スキルの相殺っていう現象だからだーね。式はMPを使えば何度でも呼び出せるから、殺した判定じゃないんだよ。まぁ陰陽師の彼はもうMPすっからかんみたいだけどね。】
【彼らはどうするんでしょうね?】
【もうどうにもできないんじゃない?大男の彼、拳闘師に師事してれば覚える筈の防御無視攻撃持って無いし。それに今起動しているスキルは食いしばりが発動したら一度だけ攻撃力が2倍になるんだけど。彼の攻撃力はせいぜい200くらいしか無いからルド君にはかすり傷1つ負わせられないよ?一発逆転じゃなくて起死回生だったら食いしばり発動中はずっと効果が続くからチャンスは在ったんだけどねぇ。彼らは多分この世界に来てあんまり時間経ってないんじゃないかな。後はそうだね。ルド君に注目し過ぎて彼女の事忘れてるみたいだし。もうすぐ終わるよ。】
【あっ!イルセア選手がゆっくりと杖を掲げましたよ!】
【様子見してたけど、盛り上がりそうも無いし試合を終わらせてくれるって感じでしょ?観客が飽きる前に動いてくれて良かったよ本当。】
【最初からさっくり終わらせて欲しかったですねぇ。】
「そろそろ良いかしら?」
「良いんじゃね?もう終わりみたいだし。」
「ぐおぉぉぉっ!俺の一発逆転が!俺の腕が!!」
「このっ!このっ!なんで式が出ないんだ!!」
何やらキラキラ輝くエフェクトを出しながら拳を突き出して来たんだけどな?盾にぶち当たった瞬間逆に相手の手首が折れたらしい。ずっと手を抑えながらしゃがみ込んでしまった。陰陽師君は、一生懸命扇子を振るんだけどもう何も出て来なくなってる。半分泣きそうな顔になってるな。
「魔法使い系ならちゃんとMP管理はしておきなさいな。ガス欠で戦えない何て恥も良い所よ?」
「くっくそう!!」
「はぁ、新技をお披露目したかったけどこれじゃ駄目ね。サクッと終わらせちゃいましょ。じゃあね坊や達。」
イルセアが掲げた杖から炎が走る。相手は防御行動を取る事も出来ずに炎に巻かれ。あっという間にHP全損して消えて行った。ちょっと可哀そうだったなぁ。
「これでもルド君と一緒に行動できるように鍛えてますから。それにあなたのシャウトの所為で殆ど彼等のHP残ってなかったわよ?」
「初心者狩りみたいになっちまったなぁ。」
「攻略を目指す人の実力を知れるいい機会になったんだから良いんじゃない?それにこれからの目標も決めやすいわ。」
「勝者!ルド・イルセアペア!!」
ワーワーワー!!
【予想通りルド・イルセアペアが勝ちましたね。】
【相手が弱すぎたんだよなぁ。あっちなみに抽選は完全ランダムだからね?実力で忖度しないから参加者は気を付けてー。】
【それは参加募集の際に注意しておくべきではなかったんですか?】
【いやいや、僕達も忙しいからねぇ。ついうっかり?】
【うっかりで済む問題ではないと思うのですが・・・・。そう言えば敗者には罰ゲームが在る筈ですが、今回の罰ゲームはどんな物でしょう?】
【なんか大勢の人が願っている事が在るから、それが叶う感じだねぇ。僕には良く分からないんだけど。】
【・・・・。そこはかとなく嫌な予感がするのですが?】
【あっ、始まるみたい。舞台上に注もーく!】
俺達が舞台から降りた後、空に罰ゲーム!と表示が浮かんだ。そして、ボウンと音を立てながら白い煙に包まれる舞台。煙が晴れた後現れたのは・・・・。
「なななっ!なんで裸で覆いかぶさってるんですか勇太郎!!」
「そんなの知るか!なんでお前も女っぽい恰好で横になってるんだよ清明(きよあき)!」
「僕だって知りませんよ!早く退いて下さい!」
「体が動かねぇんだよ!!」
きゃーきゃーきゃー!!
・・・・・・・。一部の腐った方々が大熱狂しておられる。鼻血を吹き出している人も、一心不乱にスクショ撮ってる人も、一生懸命手を動かしている人も居る。
武士の情けじゃ。見なかったことにしよう。俺達は舞台から視線を外してそそくさと待合室に戻るのだった。
【あー、スクショとかはちゃんと残らない様にしてるからねぇ。記録に残したいなら手書きで頑張れー。】
【一応個人の尊厳を損なわない様に配慮してますので~。彼らは好きでやってるんじゃなくて罰ゲームで強制的に動かされてるだけですよー。拡散は禁止ですからねぇ。】
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます