第510話

「それで?返事はどうするんですかルドさん?」

「へ?」

「へ?じゃなくて返事ですわよ!これだけ言って頂いてるのに返事をしないのは失礼でしてよ?」

「き、きちんと気持ちを伝えた方が良いと思いますですぅ。」


気持ち、気持ちかぁ。うーん、俺としては。


「全員遊び友達なんだよなぁ。」

「まぁ今はそれで良いんじゃない?ここはゲームでリアルじゃ無いんだし。」

「ちょいちょいその事を忘れそうになるんだけどな。」

「ふふん。ならリアルのルドさんを知っている私は一歩リードですね!」

「あら、私も知ってるのよ?」

「なっなんですと!?」

「くっ!異界の話になるとついて行けない!」

「悔しいですぅ!!」

「うまい事言って逃げましたわねぇ。」

「まぁ、今のルドさんの正直な気持ちだろうし仕方ないよ。」

「なぁ、そんな事よりそろそろ移動しないか?ディアの奴が痺れ切らしそうなんだが?」

「いえ?そんな事はありませんよ?」


いやそんな事在るだろう。なんせいつの間にか庭にティーセット用意して自分だけ紅茶飲んでるし。椅子の下でものすごい高速で貧乏ゆすりしてるじゃないか。手に持ったカップもガチャガチャ揺れて紅茶こぼれてるぞ。額に青筋出てるし。


「そ、そうですね!!この決着は今回のイベントで付けましょう!」

「えぇ!ルド君を一番楽しませた人が正妻よ!」

「負けないわよ!ルドきゅんの事を一番知ってるのは私なんですからね!」

「私も負けませんよ!同じ種族同士通じ合う物が在るはずです!」

「僕達ものんびり参加しようか。」

「出来れば婚姻側で出たかったですわ。まさか年齢制限に引っ掛かるとは思っても居ませんでしたわ。」

「パパ早く行こ!シアお祭り楽しみ!」

「((o(´∀`)o))ワクワク」

「うっし!待たせたなディア!それじゃあサンドリア大陸に向かって出発してくれ!」

『まったくやっとですか?痴話喧嘩は私に関係ない所でやって下さい。それと、主様に一番最初に嫁入りしたのは私ですよ?全員頭が高い。』


はい?誰が誰の所に嫁入りしたって?


「あぁ!ディアちゃんをルドさんが使う為に正式に手続きしたのは確かに一番最初です!」

「つまり最初に嫁入りしたのはディアちゃんで間違いない訳や。」

『ドヤァ。』

「いや、その時まだマロだったろうがよ。」

『マロを吸収して私になったので事実は変わりません。ですので醜い正妻争いは止めなさい。正妻は私です。』

「「「「ぐぬぬぬぬ。」」」」


いや悔しがってるけどこいつ唯のバイクだからな?唯の乗り物に悔しがってどうするよ。


「ねぇ~。まだ行かないの~?」

「マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン」

「そうだな、それじゃあ全員さっさと乗ってくれ。サンドリア大陸に行くぞ!」


こうして俺達はやっとサンドリア大陸に移動を始めた。同じようにイベントに参加するであろう人達が乗った飛行船も沢山飛んでいる。ウィンドラの姿も在るが、アインは婚姻してたっけか?


「それで、サンドリア大陸ってどんな所だ?」

「ルドさん公式ホームページ見てないんですか?」

「行ったことのない人に為におすすめスポットとか紹介されてたわよ?」

「いやぁ、見る時間が無くてなぁ。」


ゲームをしていない間は執筆活動が忙しくてなかなかホームページなんか見る暇がない。暇が出来てもちらっと見るだけで参考資料の検索に時間を使っちまうしな。


「サンドリア大陸は砂と情熱の国ですわ。政治は王政政治で今は女王様が統治しています。厄災騒動の折に前国王が崩御した為に即位されて、大陸の名前と共に国の名前も変わってサンドリアと名乗っていますわ。」

「その女王様の名前がサンドリアさんなのか?」

「そうですわね。」

「大陸1つが丸々王国の領土みたいですね。まぁその大半は砂漠地帯で人が住めず。独自進化した魔物達が生存競争を繰り広げているみたいです。その魔物達の素材は他の大陸で手に入らず高値で取引されている様ですよ?」

「その分食料や水なんかも輸入しとるんやで。特に水や氷なんかは大層喜ばれるみたいや。」

「俺の地面操作で井戸とか掘ったらどうなるかねぇ。」

「最悪国に監禁されて井戸掘りしかさせて貰えませんわ。」

「まじで?」

「それだけ水資源に困窮している大陸でも在るのよ。」


監禁されて井戸掘りに転職するのは嫌だな。極力地面操作は使わない様にしておこう。


「他の皆も水とか氷が出せる事は秘密にしておいた方が良いのか?」

「魔法で水を生み出せる人は王宮で囲われるみたいね。私は注意しないとだわ。」

「あら、良い事聞いたわね。王宮にチクっちゃいましょう。ライバルが減るわ。」

「そんなことしたら師匠も同じことが出来るって俺が報告するからな。絶対止めろよ?」

「ぶー!」

「ブーじゃない。」


まったく、仲間を売ろうとするなんてひどい師匠だ。いやまぁ本気じゃ無いのは解ってるんだけどな。


「それなら期間中私がずっと大陸に雨を降らせましょうか?」

「絶対にやめた方が良いですわ。生態系が崩れますし、参加者全員が混乱に陥ってお祭りどころでは無くなりますもの。」

「リダさんはそんな事出来るんですか?」

「道術のレベルが上がって出来る様になったんですよ。」


自然災害起こして世界の半分滅ぼせる奴だよ?ずっと雨を降らせるくらいリダなら簡単だろう。本当にこの子は何処に行くんだろうか・・・・。


「現地に到着したら私達は別行動ですわね。」

「そうだね。独り身の人は別の場所に集まるようにクエストマーカーが出てる。」

「た、タンケさんはどうするんでしょう?」

「多分あいつはどっかでひっそりと参加してると思うぞ。」


武者修行するって言ってたからな。向こうから敵がどんどん出て来るこのイベントは格好の修行場だろう。いや、あいつは婚姻してないから襲撃者側か?


「い、一緒に回りたかったです・・・。」

「それならチャットを送っちゃいなさいよ。一緒に回りましょうって。」

「は、恥ずかしいですぅ!」

「初々しいわぁ。」

「おばさんが出てますよおばさん。」

「誰がおばさんよ!!」

『私の上で喧嘩するなら降ろしますよ?』

「「御免なさい。」」


今ディアは海の上を飛んでいる。こんな所で落とされたら海に居る魔物に食われて終わりだ。今も海面には鯨並みにデカい影が見えているからあれに襲われるんじゃないか?そうなりたく無かったら大人しく座っとけ。


「あっ、ウィンドラが影に突っ込んだ。」

「うわぁ!大きな鯛だよお姉ちゃん!」

「鯛言うよりかは島喰いって言われた方がしっくりくる顔しとるなぁ。」

「あ、あれはタイストロです。ルリちゃんの言う通り島も食べる巨大な鯛で、普段は群れで活動してますです。その身は淡白ながらしっかりとした甘みと噛み応えがあってお刺身で食べると美味しいのです。性格は温厚ですが、近くで音を立てる物は何でも飲み込むです。」

「ほえー、ウィンドラの乗員はそれを知ってて襲ったのか?」

「今聞いてますわ。・・・・・・。ウィンドラ自身があれはうまいって言って捕まえたみたいですわね。モッフルさんの言う通りみたいですわ。」


さすがモッフル動物園のオーナー。動物に詳しいな。あっモッフル動物園って言うのは友魔の鈴の名前な。課金アイテムで名前が変えられたらしい。友魔は所属を好きに変えられるから、モッフルは鈴の名前にしてるんだろう。


「アインさんが射し身一緒に食べないかと誘ってくれてますよ?どうしますルド兄さん?」

「モッフルの話では結構おいしいみたいだし、分けて貰いに行くか。何なら俺がタイ茶漬けや炙りにしてやってもいいぞ?」

「あっアインさんから連絡来ました。是非ルド兄さんを連れて来てくれって言ってます。何か鱗が固くて捌けない?らしいです。」


魚捌ける奴が居ないのか?しょうがないなぁ。手伝う代わりにたんまりと身を頂くとするか。


「そうと決まったらウィンドラに乗り込むぞ!」

「「「「「「『おー!』」」」」」


タイストロの身は絶品でした。

 

毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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