真の正妻は誰だ!マリッジイベント!!

第509話

月日という物はあっという間に過ぎ去る物で、気が付けばマリッジイベント当日になっていた。


えっ?飛行船の試運転はどうだったんだって?飛び上がる前にエンジンが火を噴いて中止だ中止。ルリの奴張り切って魔素転換炉とエーテル機関をミックスしたエンジンを作ったんだが、調整が甘くて火を入れた瞬間あぼんだよ。


幸い船自体が爆発する前にエンジンを止めたから大きな被害は無かったが、肝心のハイブリッドエンジンが一発でおしゃかになった。泣き崩れるルリをベニと一緒に励まして、エンジンを作り直す為の素材をずっと集めてたよ。


「今度はきちんと飛ばしたる!!」


そう意気込んだルリは工房に籠るそうだ。イベント期間は住人に好かれるそうだが、クランハウスの中に引き籠って居れば大丈夫だろう。多分だけど。


さて、今回のイベントに大いに関係があるのはタンケとベニだ。2人はばっちりと厄災武器を持っている。他のメンバーも本来なら厄災の眷属武器を手に入れている筈なんだが・・・・。


「スキル捏造のペナルティで手に入りませんでしたわ。」

「僕も同じくです。」

「私は取得しているスキルの関係上。自然に仇なす存在の武器は勝手に自然に返しちゃって消えちゃいます。」

「私はそもそも厄災の“討伐戦”には参加していないもの。取得条件を満たして無いわ。」

「ゆ、友魔達が嫌がったので受け取りませんでしたぁ。」

「うち?ずっとルド兄と一緒に後方支援やったやろ?条件未達成や。」


という感じで全員貰っていないらしい。仲間だな!!


「その代わりルドさんはリダさん達と婚姻してますよね?」

「4人と婚姻するとかハーレムやんなぁ。たらしやん。」

「こらお姉ちゃん!失礼だよ!」

「バリバリのターゲット扱いですわ。」

「ルドさんが倒された場合はどうなるんでしょうね?」

「そ、その場合はスキルの欠片が手に入るらしいです。レア度の低い物しか出ないみたいですけど。」


そ、そのぉ。助けて貰う訳には・・・・。


「別に助けても良いですが、僕達に利点は在りますか?」

「私達は完全に襲撃者側ですもの。手に入る厄災武器もしくはスキル以上のメリットを提示して頂かないと。」

「あれ?クリン君もルゼダちゃんも装備変更出来ないよね?それでも欲しいの?」

「いつかは解除しますわ。その時に仕える方が良いと思いません?」

「それもそうだね。」


メリット。メリットかぁ。うーん・・・・・・。俺お手製の武器とかどう?


「ルドさんのビルダースキル。修正を喰らったでは在りませんの。」

「さすがにあれは強すぎたからねぇ。そりゃ修正されるよ。」

「スキルの名前も変わってましたよね?」


そう、前回の厄災戦後半で大活躍してくれた俺のビルダースキル。さすがに贔屓が過ぎるという事で修正を喰らう事になった。それも厄災戦のすぐ後位で。その結果がコレ。


<万能工房>

あらゆる生産活動に補正が掛かる。1アイテムにつき1つだけ回数制限付きの特殊効果を付ける事が出来る。


大分劣化した能力になってしまった。おれもこのままビルダースキルは残るもんだと思っていたから、武器や防具に加えて各種の道具をストックする前に消えてしまって焦ったよ。グルンジャ大陸の兵士に渡した武器返してくれないかなぁ・・・。


「そっちも修正済みですわよ。もうあの時の様な剣ビームは使えませんわ。」

「防具に関してだけは性能そのままみたいですけどね。さすが守りに定評のあるルドさんが作った防具。堅くて強いと評判ですよ?」

「そう言えばなんでルドさん剣が作れたんですか?攻撃力の在る物は作れない筈じゃ?」

「そりゃ俺が作ったのは柄の部分だけだからだよ。」

「刃の部分を作ったんはうちやで!だから合作やって言うたやん!」

「そう言えばそうでした!ごめんなさいルリちゃん!」


さてさて、肝心のイベントの話が全く出来てないぞ?俺はどうすりゃいいんだ?


「ルドさんは私と一緒にサンドリア大陸に渡って貰います!」

「ちょーっと待ったぁ!!そこは私達よーーーー!」

「ちぃ!面倒臭いのが!」

「さすがに私も今のリダちゃんの言い間違いは看過出来ないかなぁ?第1夫人の前で旦那を独り占めしようとするのは許せないわよ?」

「私とルドさんの間に滑り込んだ泥棒猫でしょう?私は認めません!!」

「あのー、私も居るのですが?」


クランハウスの庭に全員集合してしまった・・・・。最初に婚姻したイルセアとシチート師匠がリダに食って掛かり。リダは平然とした態度で言い返す。そんな3人を見てローズが止めるか自分も参加するか迷っておろおろしている。うん、どう見ても修羅場ですね?


「どうしてこうなった・・・・。」

「ルドさんが簡単にイルセアさんと婚姻を結ぶからですわ。」

「対抗意識を燃やして全員契約しちゃってますもんねぇ。恨むなら戦争で男女比が女性側に傾いたジャイアント王国と、重婚を許す法律を作った人を恨まないと。」

「それってシルなんだよなぁ・・・・。自分は1人としか結ばれてないのにずりぃよ。」

「旦那さんが無くなった後で作った法律だから仕方ないですよ。」

「ハイハイ!シアはママが一杯で嬉しいよ!」

「ヾ(*´∀`*)ノ キャッキャッ♪」

「えぇい!話が進まん!!いい加減にしろ4人共!!」

「「「「だってこの人達が!!」」」」

「全員大人しくしないなら今すぐに婚姻解除するぞ!」

「「「「しゅん・・・・。」」」」

「や、やっぱり凄いですルドさんは。この4人を御せるなんて。」

「まるで猛獣使いですわね。」

「こーら、失礼だよルゼダ。」


リダの言う通り、とりあえず婚姻者はサンドリア大陸で行われる祭りに参加すれば良いらしい。配偶者と一緒に祭りを回ってアクティビティに参加。ポイントを集め、最後に景品と交換するのか。その間に単身者とアイテムやスキル狙いの奴等に襲われると。これ赤落ちが出たりしないのかね?


「サンドリアでは婚姻者が単身者からの嫉妬を受け止めるのも伝統らしいですよ?」

「その代わり期間を過ぎたら一切の私怨を捨てて生活するの。意外と平和に暮らしてるわよ?」

「配偶者を守る人は自分の強さをアピール出来ますし、配偶者も自分の結婚相手がこの先も自分を手助けしてくれる人か見極められます。この祭りがあるお陰でサンドリアの離婚率は低いんですよ?」

「強い人が残るからか?」

「違いますよ。お互いが助け合ってこの期間を乗り切って、絆を深めるからです。どんな人でも良い所は在りますからね。」

「お互いの良い所を再確認する日、という訳ですわね。」


ふむ、その点で言えば俺達はクエスト攻略の為に婚姻を結んだんだから解除しても良いのでは?


「駄目よ!」

「駄目です!!」

「絶対に嫌よ!」

「やっとルド様と一緒になれたんですぅ!絶対に嫌ですぅ!!」

「ルドさん。諦めましょう?」

「なんで俺が諦める側何だろうなぁ。俺に良い所なんて無いだろ?」


そうだよ、そもそも俺に惚れる理由が一切無いだろうに。なんでこんなに好かれてるのか本当に解らん。


「ルドさんはその大きな背中でいつも人を守る為に傷付いてます。私はその背中を好きになりました!」

「自分に欠点があっても、出来る事を探して一生懸命なあなたはとても素敵なのよ?」

「不貞腐れて絶望して死のうかと思っていた所に現れてくれたのがルドきゅんなの。私にとってこの世界で生きる意味はあなたなのよ?」

「巨神様を助ける為に一緒に旅をして楽しかったです。里の皆を守ってもくれました!私はそんなあなたが好きなんです!」

「あらあら、大告白大会になってしまいましたわ。」

「聞いてるこっちが恥ずかしいね。」

「どうどう?皆の気持ちを聞いてパパはどんな気持ち?」

「(・∀・)ニヤニヤ」


どんな気持ちかって?恥ずかしいに決まってる!こんなに一斉に告白されたの何て初めてだよ!なんかこう、むずむずする!!


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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