第502話

目の前に現れた巨双盾神。その姿に能力を知っている私達は攻撃を躊躇してしまいました。ですが、その中でも一切躊躇わなかった人が1人。


「ふははははは!!さぁ行くぞウィンドラ!神狩りだ!」

【うぬ!神を屠れば我は神龍となろう!!】


そう、上空で待機していた筈のアインさんとウィンドラが影が変化した巨双盾神に組み付きました!


【機関出力60%やん!まだまだ余裕やん!!】

【各部サーボモーター異常なし!】

【龍麟装甲【棘】の起動確認!敵方にダメージ在り!】

「神話にいつまでも縋っていては人の進歩は無い!次あれば我等が世界の困難を打ち破る!」

【その試金石としての神狩りよ!我等の礎となり眠るが良い!!】


うわぁ・・・・。めちゃくちゃノリノリですねあの人達。


「ぶはははは!なにやってるんだ影!そんな奴等引き剥がせ!」

『んー、無理!』

「はっ?」

「ふん!我々がなんの策も無く突っ込んで来たと思ったか?」

【元々巨双盾神は“守る”事に特化した神様やん!だから攻撃力は大したことないやん!し・か・も。元々は巨人種だった人が神様になったやん。だから弱点がそのまま有効やん!!】

「ぶはははは!神に弱点何か在るはず無かろうが!」

「ありますよ?」


うえっ!?なんでローズさんがここに居るんですか!?巨人の郷で引き籠っている筈じゃ!?


「私が愛するお方の姿を悪用されているのです。里に引き籠っている場合では在りません!!」

「それで巨人種の弱点って何ですの?」

「この大陸のみに自生するその名も巨人殺し。その毒草を使った薬をあの龍様の体に塗りました。」

「そんな弱点が在ったんですか!?」

「大人であれば効果は無いんですけどね。子供が誤って口に入れると最悪死ぬ草です。予想通り効いてくれましたね。」


予想通り?なんの予測を立てていたんでしょう?


「あの影と言う方は“巨人種として”活動し始めてそんなに時間が経っていないのでしょう?姿形は大人だとしても、その中身は子供のまま。であれば効果が在るのではと思ったのです。そして。」

『『『『『『『ぬおーーー!姫様の為にわいら頑張るだー!!』』』』』』


わっ!?巨人さん達が大勢武器を手に走って来ます!


「援軍をお願いしました。もちろん精霊さん達も一緒ですよ。」

「わたしたちもがんばるの!!」


ローズさんの肩に乗った青い髪の女の子が気炎を上げています。これは何とも頼もしい援軍ですね。


「さぁ!あの龍様が偽の神を抑えている間に攻撃を!!一気に攻め落としますよ!」

「ぬはははは!させん!者ども対巨人兵装の出番だぞ!」

「スレーブニール発射準備!!」

「精霊と組んだ私達はそのような物では止まりませんよ?」

「がはははは!やってみれば解らんだろう?発射!!」


帝都の城壁から黒い輪っかの着いた矢が放たれます。あれはローズさんを操った魔道具では?本当に大丈夫なんでしょうか。もし巨人さん達が操られたらこちらは壊滅的な被害を受けますが・・・・。


「きょじんさんはわたしたちがまもるの!」

「させないよ~。」

「灰にしてやる!!」

「私達の怒りを思い知れ!」


巨人さん達の体に乗っていた精霊さんが、飛んでくる輪っかを全て魔法で叩き落し始めました!!


「ぶはははは!なら魔素を阻害するまで!」

「魔素妨害の対策ならこちらが準備していますわ!」

「準備したのはうちのクイナだがな!」


笑が手に持った魔道具を起動させますが、こちらも魔道具を動かします。敵の持っている物は真っ黒い箱ですが、こちらは真っ白い箱に青い線が走っています。これは魔素を妨害する装置を妨害する装置。マジックジャマージャマーとでも名付けられる代物です。


「ぬぅ!いつの間にそんな物を!」

「旅人の英知と空中大陸の知識で作りました!」

「万魔図書にも無い新たな魔道具ですよ!記録が捗ります!」

「ジャミング範囲と効果をしっかりと記録して次につなげますよ!!」


ウェスタンな格好をした人たちが起動した魔道具の効果を必死に紙に書き込んでいます。メガネさん達のクラン『英知の図書』の面々ですね。


「そちらが対策しているようにこちらも対策させて貰った!」

「なら私達にも教えて下さいまし!」

「間者が紛れ込んでいる状態で情報等流せる訳無いだろう!!クランメンバーをしっかり管理出来るから作れたのだ!」


確かに私達は王国ぐんと旅人の混成部隊です。中にスパイが紛れ込んでいても解らない状態で戦っていました。逆に飛行船部隊や解析班は機密情報を扱う事も多かったので、身元が確認出来るクランメンバーだけで動いていましたね。


「さぁこれで思う存分攻撃出来るぞ!攻撃開始だ!!」

「ぐはははは!応戦だ!その命尽きるまで戦い続けろ!」

『た、助けてよ笑!僕全然力が入らなくて抜け出せないんだ!』

「がははは!何をしている!早くそのガラクタを破壊しろ!」

「こちらの攻撃が効きません!砲撃の効果もなし!」

【ふふん!砲撃の効果は先の戦闘で見せて貰ったやん!なら耐えられるように改良するのは当然やん!】

「飛行船部隊攻撃開始―――――!!」

「地上部隊も攻撃開始しますわよ!」

「自分の失敗は自分で取り返します。全員あの巨人を抑えなさい。奪われた力、取り出します。」


うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!


戦闘は激しい物になりました。暴れる影とそれを押させるウィンドラ。笑の指揮の元こちらを撃退しようとする魔物兵と地上部隊の私達。飛行船部隊の援護が在る分、王国側が有利に戦況を進めていますが敵の抵抗もかなり激しいです。


「絶対にここに入れるな!」

「矢を持って来い!」

「準備出来たらどんどん砲撃しろ!」


「飛行船部隊は城壁に在る砲台を優先的に攻撃!砲撃に当たったら落ちるんだから当たるんじゃないぞ!」

「地上部隊は門を目指して攻め込め!誰でも良い!一発でかいのぶっ放してブチ破れ!」

「ジャミングの効果範囲から出ない様に!スキル発動が阻害されますよ!」

「巨人部隊も城壁に攻撃を開始して下さい。敵の砲台を潰す事を優先して。」


用意していた物のお陰で押し込めています。影が自由に動けていたらこうもうまく行かなかったでしょう。ウィンドラを温存する案を出したアインさんのお陰です。


「退きなさい!」

「へぶぅ!!」


私も一刻も早くルドさんに力を取り戻して上げたい一心で目の前の敵を殴り続けます。気が付けば1人、門に到着していました。


「リダさんやっちゃってくださいまし!」

「門を壊せばこっちの勝ちが確定する!」

「た、頼みますぅ!!」


最近は全然全力を出せていませんでしたからね。ここは全力の一撃をお見せする事にしましょう!!


リダの攻撃

闘仙格闘術・心義夢想・破戒連撃・仙道スキルが発動

スキルコンボ!闘仙格闘術・心義夢想・破戒連撃・仙道スキル発動により<嵐撃破戒掌>が発動!ダメージ100000 全気力消費


この攻撃は連撃を集めて一撃にするという訳の分からない理屈から生まれたスキルコンボです!1撃の威力に重点を置いたこの攻撃は、ダメージ10万ポイントになります!まぁこの技を使えば気力が尽きてしばらく私は行動不能になるんですけどね。


「ふんっ!!」ガゴーーーン!!


城壁に備え付けられていた鉄の扉が、一部拳の形に凹みながらも原型を留めたまま帝都の中に飛び込んで行きました。


「城門を破ったぞー!全員突撃―!」


「城門が破れらた!撤退!城迄撤退―!!」

「がはははは!これはしてやられたわ!撤退するぞ影!」

『抜け出せないんだよー!力が抜けて体の大きさも変えられないしぃ。』

「絶対に逃がさん!」

「てめぇら良くもその姿を悪用しやがったな!」

「大恩在る方の姿で行った悪事、許せません!」

「そう、とてもシンプルだ。シンプルな話なんだ、お前等は触れちゃいけない物に触れた。」

「てめぇは俺を怒らせた!」

「「「「「「「「「だから絶対にぶっ殺す!!」」」」」」」」」」」

「・・・・。すまんな影。尊い犠牲になってくれ、ぶははははは!!」

『そっそんなぁ・・・・・。』


ウィンドラに捕まったままの影を残して笑は、私達旅人の殺気に諦めたのか撤退して行きました。影の元に辿り着いたローズさんが儀式を行うと、影の中からあの赤い結晶が姿を現してローズさんの手の中に納まります。これでルドさんの力を取り戻す事が出来ました!!


2日間に渡って続けられた帝都攻防戦は、こうして私達王国側の勝利で幕を下ろしたのでした。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る