第500話
帝国兵士達は動揺していた。占拠された街を奪還しに来た所、戦闘は旅人達に任せて今まであまり姿を見せて来なかった王国兵が大部隊を連れて街から出て来たからだ。
防衛線を狙うのであれば街の防壁を生かして戦えば良い物を、帝国兵と同じ様に布陣する王国兵。しかも今日はその装いさえ違っていた。
その身には全身を覆う真っ白いフルプレートを身に纏い。カイトシールドと呼ばれるこれまた白く王国の紋章を施された盾を持っている。腰に下げている剣からもほのかに光りが漏れているように見える。
「き、今日の王国は気合入ってるな。」
「ふん、あんなのは見た目だけに決まっている!それに態々向こうから出て来てくれたのだ!我が帝国の力思い知らせてやれ!」
「今日はあの厄介な旅人の姿もすくねぇ!これなら勝てるぞ!」
帝国1万5000対王国5000の戦い。旅人であればこの数で戦力が均衡するが、今回は住人の兵士が殆どで旅人は1000人程しかいない。今まで押され気味だった帝国側はここで挽回しようと意気揚々と進軍した。
「進めー!!進めー!!王国のゴミ共を血祭りにあげろー!!」
「「「「「「「「「「「「「うぉおおおおおおおおおおおお!!」」」」」」」」」」」」」」」
武器を手に王国兵達に向かって突き進む帝国兵。それを見た王国兵達が起こしたアクションは、ただ剣を頭上に掲げ振り下ろす。それだけだった。
「ぶはははは!!奴等あんなところで素振りしてやがるぞ!!」
「ビビったんだったら帰ってママのおっぱいでもしゃぶってなぁ!!」
「ヒャッハーーー!そのままも俺達で回してやるがなぁ!!」
王国兵の奇行に笑い声を上げながら突き進む帝国兵。だが、王国兵の行動が唯の奇行では無かった事はすぐに証明された。
ズバァァァァァァァァン!!
薄っすらと光り輝く王国兵の剣。その剣が振り下ろされた時、剣身から光の刃が発射され直線状に居た帝国兵達が切り裂かれた。
「「「「「「「「へっ?」」」」」」」」」」
「第2陣、構え!!」ザッ!!「放て!!」ズバァァァァァァァン!!
王国指揮官の号令に合わせて、まるで畑を耕す鍬の様に振り下ろされる直剣。そして放たれる光りの奔流は、あっという間に帝国兵の命を狩り取って行く。
「おおおお、おかしいだろ!なんでこんな武器持ってるんだよ!!」
「お、おれは死にたくない!だから逃げるぞ!!」
「あっこら待て!敵前逃亡は死刑だぞ!」
「ここに居ても死ぬだけだろうが!!」
突然の事に混乱する帝国兵。恐怖に掛れ逃げ出す者、何とか敵を倒そうとする者、剣を振り回して錯乱する者。帝国軍はあっという間に瓦解した。
「快勝みたいよ?」
「なんでだろうなぁ。俺はアイテム作ってるだけなんだけどなぁ。」
「うちとルド兄の傑作なんやから当たり前やんか!」
今回あんまり時間が無くて一部の兵士達にしか装備を支給できなかったんだけどなぁ。それで勝てるって帝国兵どれだけ弱いんだ?ちなみに作ったアイテムがこちら。
白銀鉄のフルプレート:白く輝く金属はは鍛え抜かれた鉄の証。不純物を含まない鉄は無類の強さを誇る。ダメージ-10000 耐久値 10000/10000
付与
微浄化
身体能力UP
HP自動回復力UP
魔法抵抗力UP
白銀鉄の剣:白く輝く金属はは鍛え抜かれた鉄の証。不純物を含まない鉄は無類の強さを誇る。 ダメージ1000 耐久値 10000/10000
付与
MPチャージ
浄化
列魔漸(聖属性)チャージ30秒
白銀鉄のカイトシールド:白く輝く金属はは鍛え抜かれた鉄の証。不純物を含まない鉄は無類の強さを誇る。 ダメージ-5000 耐久値 10000/10000
付与
バリア チャージ30秒
リフレクト
硬化
うん、我ながらチートアイテム過ぎると思う。だけど出来ちまったもんは仕方ない。今もどんどん作って兵士達に装備して貰っている。旅人も同じので良いから欲しい!っていう奴が居たから、兵士の分が終ったら同じモデルを作る予定だ。
「でもなぁ、剣での特殊攻撃にチャージ時間が必要なのはすぐにバレると思ったんだけどなぁ。」
「そこは信長の鉄砲3段撃ちじゃないけど、スートタの列魔5段斬りで対応したらしいわよ?」
「パパの作った物凄い!!」
「(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル」
「ルド兄だけやなくてうちも手伝ったんやけど?」
「ルリちゃんも凄い!」
「(゚д゚)(。_。)ウン」
「ドヤッ!」
この戦いでさらに前線が伸びたらしい。俺達にもそろそろ最初に占領した街に来てくれないかと打診が来ていた。まぁ街と言っても廃墟だったらしいんだけど。住人の姿は見えず、ただ破壊された街が在ったんだとさ。ゴーストタウンって奴だな。まぁその原因も解析班が突き止めてくれた。
「敵兵の死体を調べたら、魔物が変化した奴って解ったんだよな。」
「住人全員を魔物にして戦う兵士にしてるのよね。人としての形を保つために、定期的に人体を取り込まないと行けないらしいけど。」
「魔物だから寿命が無い。人型を取るのに人が必要。その結果が体を挿げ替えて生き永らえる超医療国家の誕生って訳か。」
「王妃様達も実際に見た訳じゃないし、医療支援をお願いしても無しの礫だったから原因が解ってすっきりしたって言ってたわ。」
さてさて、これで前線も押し上げられたしこのイベントも地味に長くなって来たからな。さっさと終わらせて別の事をしたい物だ。
「さすがに嫌がらせ第3弾は無いだろう?」
「あるわよ?」
「在るのか。」
「最後はルド君お得意の建築よ!前線が押し上げられた今だからこそあなたの力が必要なの!」
「なぁ、最近俺良い様に使われてる気がするんだが気のせいか?」
「き、気の所為よ?」
「なぁイルセア?正直に答えてくれ。お前、王国から報酬どれだけ貰ってる?」
「・・・・・・。ちゃんと店の運営資金に入れてるから許して?」
「そう言うのはちゃんと俺に相談してから決めてくれ!!」
テヘペロじゃ無いんだよまったく!!んで次は何したら良いんだ?
「道路の敷設と選挙したゴーストタウンの復興よ!!」
「1人で出来るかぁ!!」
どれだけ時間が掛かると思ってるんだまったく!!
「そこは前線が遠くなったお陰で生産職の人も安全に移動できるようになりましたから。手伝ってくれる人は沢山居るわよ!」
「道作るだけでも何十年も掛かるわ!!」
「そこはルド君の地面操作で、ねっ?」
「道路敷設は俺1人かよ!?」
「出来るのがルド君だけなんだから、おねが~い。」チラッ
「パパおねが~い。」
「(人∀・)タノム」
くおー!!俺が嫌がるのを解ってて先にシアとアイギスを手懐けたな!なんで解ったかって?今2人共手にお菓子を持っているからだ!
「報酬はしっかりと貰えよな!!」
「さっすがルド君、頼りになるぅー。」
「こういう風に頼りにされるのは何か違うと思うぞ?」
だがまぁ、王国としても道を作りたいってのは解る。前線が伸びた事で物資の補給路が長くなって運搬に時間が掛かり始めたからな。飛行船や旅人のインベントリを使って何とかしているが、旅人達がいなくなったら自分達でどうにかしないといけない。その布石を打ちたいんだろう。布石っていうか思いっきり解決策だけどな。
「戦闘出来ない分生産で活躍したらぁ!!」
「よっルド君!この世界1の生産職!」
「パパカッコいい!!」
「°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°」
「あかん、ルド兄うまい事乗せられてしもうとる。」
『主様はお調子者ですから。』
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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