第466話
その頃、タンケとモッフルは何をしているのかと言うと?
ワンワン!
にゃ~。
コッチ!コッチ!
クルゥ~!
「み、皆早いよ!ま、まってぇ~!」
「1人で行動してはいけませんよ。」
2人は破壊されたという精霊郷跡地を目指して移動していた。なぜならば、ジャイアント王国やスートタ王国で聞かされた情報と、実際に森に来てから調査した結果に差異が在ったからだ。
「ルドさんの偽物に踏み潰されて精霊郷は潰えた。そう聞かされていましたが。」
「ぴ、ピーちゃんとクーちゃんが見て来てくれたけど、あ、足跡何て無かったって。」
そう、精霊郷の破壊原因が踏み潰しであれば必ず在るであろう巨大な足跡。それが郷の在った場所に見当たらなかったのだ。この事に疑問を感じたタンケは、友魔を複数所持し偵察や戦闘、さらには偽物判定まで出来るモッフルを相棒に選んで調査に出ていた。
「ここら辺が精霊郷の跡地という話でしたが・・・・。」
ピィーッ!!
バウバウバウ!
「き、気を付けて!敵が来る!」
「キーッ!!」
飛び出してきたのは黒い毛を持ち、赤い瞳をしたサルの様な魔物。タンケはすぐに敵の情報を得ようと鑑定する。
カラミティモンキー 厄災眷属の一種。厄災から与えられた命令をこなす忠実な奴隷。サル型の眷属は、その器用な手先を使って様々な工作に用いられる。主に罠の設置や小型生物の捕獲が得意。
HP500ポイント
攻撃スキル 爪使い 血爪術 麻痺唾液 弱点看破 罠作成 罠設置 罠看破
防御スキル 剛毛 血毛術 油汗腺 俊足
弱点属性 炎・熱・打撃
無効属性 闇・血・斬撃
「弱点は炎と熱に打撃です。防御スキル的に回避よりも攻撃を受けてから反撃するタイプですね。斬撃は無効化されるみたいです。」
「あ、あの手!」
モッフルがカラミティモンキーの握っている物に気が付き指を刺す。そこには、ぐったりと首を項垂れた小さな人の姿が見えた。
「っ!?助けます!人質が居るので炎は無しで!」
「な、殴れば良いならおねがいゴリさん!」チリーン♪
ゴアアアアアアアアアアア!!
モッフルが鈴を鳴らして呼び出したのは、腕が6本あるゴリラの魔物だった。
ゴリさん(阿修羅ゴリラ)満1歳
所属 モッフル動物園 副園長
HP 1000
攻撃スキル 剛腕 連撃 オーラパワー 憤怒 紅拳 蒼拳 黄拳 破拳
防御スキル 剛毛 針毛 オーラガード 身代わり 硬化 魔スキュラー
「キキッ!?」
「ゴアアアアッ!!」
「キキィーーーー!」
突然現れた巨体のゴリラに驚き、カラミティモンキーは即座に気に登って背中を向けて走り出す。
「あっ逃げますよ!」
「逃がさないでホーさん!」チリーン♪
ホーッ!
再度ならされた友魔の鈴。するとモッフルの傍に灰色の羽を持ったフクロウが姿を現す。
ホーさん(サイレントオウル)満1歳
所属 モッフル動物園 園長
HP 300
攻撃スキル 暗殺 爪撃 嘴撃 暗闇眼 麻痺眼 毒眼
防御スキル 隠密 消音 飛翔 障壁眼 恐怖眼
特殊スキル 詳細鑑定 英知
ホーさんの攻撃
麻痺眼スキルが発動
カラミティモンキーは麻痺状態になった。
「ホーッ!」
「きぎっ!?」
「動きが・・・止まった?」
ホーさんの大きな黄色い瞳がキラリと光る。すると、逃げようとしていたカラミティモンキーが枝から足を滑らせて地面に落下した。
「今ですゴリさん!」
「ゴリのこの手が真っ赤に光る!相手を倒せと五月蠅く叫ぶ!必殺ゴリ百裂拳!ゴーリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリィッ!!」
「今喋りましたよね?確実に喋りましたよね!?」
「?ゴリさんは喋りませんが?」
ゴリさんの手が紅に染まり、腕の残像が見える程の速度で6本の腕が振るわれる。カラミティモンキーの体が、攻撃を受けた場所から徐々に赤く染まって行く。
ゴリさんの攻撃
剛腕・連撃・オーラパワー・紅拳スキル発動
剛腕・オーラパワーの効果により攻撃力300ポイント
10連撃達成 ダメージ+100ポイント
紅拳スキル発動により攻撃に熱属性付与。
カラミティモンキーの防御
剛毛・血毛術・油汗腺・俊足スキル発動
カラミティモンキーは麻痺状態の為移動できない。俊足スキルは不発
剛毛・血毛術によりダメージ-100ポイント
熱属性攻撃により汗腺より生まれた油が熱せられる!
カラミティモンキーに火傷の追加ダメージ!
クリティカルヒット!弱点属性の攻撃によりダメージ+100ポイント
ダメージ400ポイント
火傷の追加ダメージ 100ポイント
ジャストキル!!カラミティモンキーは倒れた!
厄災猿の毛皮 厄災猿の爪 厄災猿の牙 厄災の小種 水の精霊 を手に入れた。
「ゴリィッ!!」
「ぎ・ぎぃ・・・・・。」
ゴリさんの最後の右ストレートを受けカラミティモンキーはポリゴンになって消えていった。その場に残ったのはドロップ品と、今だにぐったりとした状態で倒れている精霊だけだ。
「ありがとうございますゴリさん、ホーさんも足止めご苦労様です。ご褒美ですよー!」
ウッホウッホ!
ホー!
モッフルは活躍したゴリさんにバナナを、ホーさんには生肉を手に持ったバケツから取り出し放り投げる。2匹は嬉しそうに空中でそれらをキャッチし、すぐに食べ始めた。
ワンワン!
にゃーっ!
ズルイ!ズルイ!
ギューッ!!
「はいはい、皆にも上げますからねぇ。」
「人命救助が先では無いんですかねぇ・・・・。まぁ其方は私がやりますか。」
友魔達に餌を与えるモッフルの様子を見ながら、タンケは倒れている精霊に近寄って行く。先ほどのログにはしっかりと水の精霊と書かれていた。
「大丈夫ですか?動けますか?」
「み・・・・・みず・・・・・・。」
「喉が渇いているのですね。こちらをどうぞ。」
タンケが冒険服のポケットから取り出したのは5リットルは入りそうな巨大な水筒だった。その傍にはいつの間にかコップも取り出している。タンケはコップの中に並々と水筒の中身を注ぎ、精霊に差し出した。ちゃんと飲めるようにストローまで刺さっている。
「おみず!」どぽんっ!
「はっ!?なぜ飛び込んだのですか!?」
タンケがコップを置いた瞬間、倒れていた精霊が起き上がりストローを登ってあっという間にコップの中に入って行った。精霊の体が小さい事も在り、すぐにコップの底に姿を消す精霊。突然の行動に驚いたタンケは水音がしてからやっと動き始めた。
「さっきまで動けていなかったのに、このままじゃ溺れてしまいます早く助けなければ!」
ザパーンッ!「このおみじゅあまじょっぱーい!」
「ぶ、無事でしたか。良かった・・・。」
コップの中から頭を出した精霊を見てホッと胸を撫で下ろすタンケ。心配を掛けている事等気にもかけず、精霊はニコニコと笑顔でコップの中の水を次々飲み込んでいく。
「んく、んく、んく。ふつうのおみずじゃない?」
「経口補水液ですからね。砂糖と塩が入ってます。美味しいですか?」
「おいしーい!」
水色のワンピースを着た、青い髪の精霊は背中に在る透明な2つの羽を元気にバタつかせながらコップの中を泳ぐ。
「貴方はどうして捕まって居たのですか?」
「はっ!そうだった!たすけをよばないと!みんながつかまってるのよ!」
「あなた以外の精霊も捕まっているのですか?」
「すごくおっきなひとがきてね。みんなおどろいてにげたのよ!おっきなひとがいなくなって、むらにもどったらしらないひとがいたのよ!なにしてるのかなぁってみてたら、みんなをつかまえてたのよ!どこかにつれていってうっちゃうっていってたから、わるいひとなのよ!!」
幼い感じの話し方で聞き取りにくかったが、どうやら精霊郷は破壊されていなかったらしい。厄災によって偽の情報が流されていたのだ。しかも戻ってきた精霊達を捕まえている人物迄居るという。
「う、売っちゃうって言うのは穏やかじゃないです。」
「おや、ご褒美タイムは終わったのですか?」
「み、皆満足してくれたよ。」
ワンワン!
にゃー!
マンプク!マンプク!
「ほわー。どうぶつさんいっぱい!やさしいひと、みんなをたすけて!」
「わ、私ですかぁー?」
「私も手伝いますから、放っておけませんからね。」
こうしてタンケとモッフルは精霊郷の問題を解決する事になった。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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