第462話

門から離れ、王都近くに在る森の傍まで来た俺達は一旦そこで休憩する事にした。さてさて、まずは王妃様の話から聞こうかい?


「王妃様は素晴らしい人なのだ。決して不義理を働くような人ではない!」

「そこら辺の判断をする為に普段の話をして欲しいんだよ。」

「私達はその王妃様を知りませんから。」

「王妃様ってどんな人?立派な人?」

「(。´・ω・)?」

「王妃様はとても立派な人だ。解った、話してやろう。」


なになに?孤児院の寄付に始まり不正貴族の取り締まりに果てはだらだらと日々を過ごしたい王の尻を叩いて政務に付かせ、自分も一生懸命働いていたと?民からの意見を広く聞けるように意見の集約を行ったり、実力のある平民を城の働き手として登用したりもしてたと?


恨まれても良いからしっかりとした王様になって欲しいと、子供たちの教育も厳しく行って一切甘やかさなかったと。人の親としてどうかとは思うけど、国母としては立派なんじゃない?


「お子さん方もそんな王妃様の気持ちを察してかどなたが王になっても問題無い程に成長成されたのだ。」

「その反動で不倫したとか?」

「そのような事は絶対にない!なぜなら王妃様は国王様を溺愛しておられたのだから!」

「「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」」


イオク隊長の発言に一緒に話を聞いていた兵士達を含め一同ぽかーんとした顔になっている。いや、なんでそんな事隊長が知ってるんだ?


「私は城で唯一の近衛女性騎士だという事で、王妃様の個人的な相談を受ける事も多かったのだ。その中で胸焼けしそうなほどの王への愛情を語っておられた。」

「では、その王が見向きもしてくれなかったからという線は無いですか?」

「それも無い!国王には王妃様が付けた監視が付いているのだからな!」


この発言にも一同ポカーン。どうも王妃様、王様が好きすぎて常に監視して女の影が傍に寄らない様にしていたらしい。束縛系女子かな?


「だから不貞を働いたのが国王ならまだしも、王妃様で在る事等絶対に無いと断言できる!!」

「って事は完全に厄災の掌の上って事だなぁ。束縛され過ぎて嫌になった国王が王妃排除に動いたって考えも出来るが。」

「あー、在りそうよねそれ。」

「監視はちょっとやりすぎー?」

「(´-∀-`;)」

「なぜだ!王妃様の愛情深さが出る良い話じゃないか!」


いや、そんな意見が出るのはイオク隊長だけだと思うぞ?他の兵士達も引いてるし。


「まぁ良いか。王妃様が濡れ衣だって言うなら、処刑される前に助けないとな。」

「いつ処刑が実行されるのか分からないのが辛い所よね。タイミングが読み難いわ。」

「王都の中に仲間が居れば良いのにねパパ?」

「( ゚д゚)ハッ! m9(゚д゚)っ ソレダッ!!」

「ん?それだって、シアの言葉か?」

「(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。) ウンウン」

「私の部下はここに居る者達で全員だぞ?」

「((-ω-*≡*-ω-))んーん (*・・)σ」

「俺か?うーん?」


アイギスは何が言いたいんだ?王都の中に仲間何て居ないだろう?


「あぁなるほど!賢いわねアイギスちゃん!」

「(`・∀・´)エッヘン!!」

「イルセアは何か解ったのか?」

「察しが悪いわよルド?私達は4人でここに来た訳じゃなかったでしょ?」


ん?そう言えば今回の遠征は他のメンバーと来たんだった。それでも偶然王都の中に入ってるなんて事が・・・・。


「あら、丁度クインとバルドが王都に居るみたいね。合流して中に入れて貰いましょ。」


あるんかーい!っていうかクインとバルドってどういう組み合わせなんだ?女王様と喧嘩屋だぞ?組み分けした意図が知りたい・・・・。


「先に釈放された仲間が王都の中に居るのか?なら頼む!王妃様を助けてくれるように伝えてくれ!」

「駄目よ。助けるにしても人数が多い方が成功確率が高くなるもの。それに、中は王妃様の処刑処じゃないみたいだし。」

「情報貰ったのか?」

「えぇ、王位継承権争いが起こってるみたい。どうやら国王が倒れたそうよ。」

「なんだと!!」


ふむ、これは国が荒れますなぁ。実質的に国を導いていた王妃は不在。次に実務が出来る国王が居なくて、子供たちは王位継承争いに夢中と。いやぁ、暗躍するには絶好の状態ですなぁ。絶対狙ってやっただろコレ。今回の厄災は面倒臭いなぁ・・・・。


「今すぐ中に入らねば!」

「その準備をして貰ってるんだから落ち着きなさいな。」

「落ち着いている場合では無いだろう!」

「慌てたって準備が終る訳じゃないと思うぞ?」


そもそも準備って一体何してるんだろうなぁ。ん?何やら城壁の一部が凹んで行ってる気がするが?


ボコンッ パタパタパタ


凹んだ城壁が外れたのか、中が少し見えた。底から手が出て来て何やら旗を振っている。あれは?


「あれは王妃様の旗!つまり王妃様に関係している人物があそこに居るぞ!行くぞ皆の者!」

「あっ!ちょっと待ちなさい!あれが味方とは限らないでしょう!ってもう!全く話を聞かないんだから!」

「とりあえず止めれば良いか?」

「お願いできる?」

「任せろ。<盾の障壁>」

「シアもお手伝いするー!<精霊魔法(樹)>蔓で全員捕まえるよー!」

「ファイトォ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*!!!☆」

「ぬおぉぉぉぉぉ!何だこれはぁぁぁぁぁぁ!!」


今回の障壁は外からの攻撃を防ぐんじゃなくて内からの攻撃を防ぐように変更してある。イオク隊長が最初に障壁にぶち当たって足が止まった所を、シアの蔓で一本釣りにされたな。それを見て一緒に走っていた兵士達が足を止めた。


さて旗を振っていた人物はと言えば・・・・。振っていた旗を引っ込めて隊長達が来ていないのを確認してるな。あっ今舌打ちした。どうやら罠だったらしい。さっきの門兵が知らせたのか?


「あのまま向かっていたら全員掴まってたかもな。」

「偽情報をつかまされて一網打尽だったでしょうね。」

「もう!勝手に動いちゃめっ!」

「((乂°∀°))ダメダヨー」

「面目ない・・・・。」


うむ、反省してくれているのなら良いんだ。って言うか監視のハズの兵士が暴走してそれを止める監視対象って立場逆転してないか?


「あっ今連絡が来たわ。スラム近くの門って北で合ってる?」

「あっ、あぁ。スラムに近い門は確かにそこに在るが?」

「そこに来てくれって。あの2人も問題にぶつかってるみたいよ?」

「ならさっさと行ってその問題とやらを聞くとするか。」

「はーい!皆しっかり着いて来てねー!」

「( ´ ▽ ` )ノ」


ぞろぞろと兵士達を連れて北門に向かう。いやぁ、滅茶苦茶目立ちますなぁ。巡回の兵士にも胡乱気な目で見られたし。素知らぬ顔で切り抜けたけど。


さて、指定された北門に来たがここにもしっかりと門兵が居るな。


「でもヤル気無さそう。」

「そうね。欠伸何かしてるわね。」

「(*´з`)」

「こっからどうするんだ?まさかこのまま門を潜る訳じゃないだろう?」

「そのまさかよ。」


おっとイルセアさんや?それは無茶と言う物じゃないかね?


俺のそんな心の声は無視され、門に近づいて行くイルセア。門兵もさすがに槍を・・・・向けてねぇな。何で近づいて来るんだって顔はしてるが。


「狂犬の使いよ。私達を中に入れて頂戴。」

「合言葉は?」

「闘争の中にこそ真実在り。」

「あいよ、通って良いぞ。」


おっとすんなりと通して貰えたぞ?一体全体どうなってるんだ?狂犬って誰?


「バルドの事よ。あいつ、スラムで暴れてまとめ役みたいな事してるみたい。あの兵士はスラム出身なの。」

「俺達と別れて1カ月も経ってないよな?なんでそんな事になってるんだ?」

「暴力で解決出来る事は早いのよあいつ。」


まぁなんにせよこれで王都の中に入れたぞ。後は2人と合流しないとな。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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