第460話

ルドがイルセアと他大陸で厄災を炙り出す為に婚姻を結んでいるその時。リダとシチートはと言えば・・・。


とある山奥の隠された寺院。


ピキューン!!


「はっ!今止めないと後々面倒な事になりそうな事態が起きている気がします!」

「ふむ、これは大分仙として覚醒してきたかの?」

「自然と溶け込んで遠くの情報を得る。千里眼の開花は間近かもですねぇ。これならもっと修行を厳しくしても良いかしら?」

「む~!このもやもやする感じは何なんですかー!!」


城塞首都に在る盾職道場内。


ピキーンッ!


「はっ!ルドきゅんの所に行かないといけない気がする!」

「はいはい、駄目ですよー。私の修行をしっかり見て貰わないと。」

「シチートさんはすぐ逃げようとするもんねぇ。僕がシッカリ見張るからテッタはしっかり修行つけて貰って。」

「ありがとうカイト君!」

「こっ、こんな事している場合じゃないのよー!!私のルドきゅんが誰かの物になってる気がするのよ!離してーーーーー!!」


お互い修行中だった為に手も足も出ない2人だった。


「で?こんなに派手にやる必要あったか?」

「仕方ない事なのだ。この女が君の妻で在ると周知させる為にはな。」

「パパカッコいい!!イルセアさんも綺麗!」

「ふふふ、ありがとうシアちゃん。次からはママと呼んでも良いのよ?アイギスちゃんもね。」

「モジ(((´ω` *)(* ´ω`)))モジ」


わーわーわー!


今俺達が何をしているのか教えよう。天井の無い座席が高い場所に在る馬車に乗り、純白のスーツの様な衣装を着せられて街中を練り歩いてる。あれだ、偉い人とかが良くやるパレード、あれをなぜか俺達でやっている。


もちろん俺の横にはウエディングドレスを着たイルセアさんが居るぞ。こちらもなぜか俺と腕を組んで周りに手を振っている。なんでそんなにノリノリなんだ?


「あら、こうしないと本当に夫婦になったのかと疑われるじゃない。あなたも手を振ってみたらどう?」

「あー、こうか?」


おめでとう!

悪女とお幸せに!

ハズレくじ引いたなブ男!せいぜい苦労しやがれ!

お前等何て酷い目に遭って死んじまえば良いんだ!


祝福の言葉の次に罵詈雑言がかなりの量飛んでくるんだが?祝福1割、恨み言9割って感じだなぁ。よくこんな中でニコニコしてられるなイルセアさんは。


「イルセア殿の偽物が暴れていたのでな。民の悪感情は仕方ない。だがこれでイルセア殿は魔法契約した事を民は知った。もし色仕掛けを仕掛けてもペナルティが発動しなければ偽物とすぐに解る。」

「そう言う事。これで私は晴れて無実なのよ。後はルド君の無実を証明するだけよ。あっ違ったわあ・な・た・の無実を夫婦で協力して証明しないとね。」

「とうとう主様が人の物になってしまいました・・・・。まぁ良いです。奥様に在る事無い事吹き込んで折檻される主様を観察するとしましょう。」

「いやいやディアさんや?俺がこうなった理由知ってるだろ?」

「おめでとうパパ!ママ!」

「お(・∀・)め(・∀・)で(・∀・)と(・∀・)う!」


なんでシア達まで祝福モードに入ってるんだよ。しかしこれだけ騒いでるのに厄災は手を出してこないのか?人の不幸を喜ぶあいつが騒ぎを起こさないはず無いんだけどなぁ。


「我々もそれを狙っている。だが今の所連絡は無いな。」

「兵士に化けられたら手、出せなく無いか?」

「私が偽物かどうかを確認してから4人1組で組ませている。1度チームから離れた味方は信用するなとも伝えているから問題無い。」


それならまぁ、大丈夫か?


そんな事を考えていたら馬車の前に1人の女性が飛び出して来た。うーむ、どっかで見た事在る人だなぁ。だれだっけ?


「酷いにゃ!私との事は遊びだったのにゃ?訴えてやるにゃ!!」


思いっきり俺の事を指さしながらそんな事を叫ぶ獣人の女性。クラシックなメイド服の様な物を着て、猫耳と尻尾が不機嫌そうに揺れている。あー、ここまで出てきているのに名前が思い出せん!絶対会った事ある人なんだ!


ざわざわざわ


おい今の聞いたか?あいつあの女捨てたんだとよ。

結婚する前に遊び歩いてたのかしら?

あの子の発言を聞いてずっと黙ってるわ!何か負い目が在るのよ!

自分の都合の良い様に使ってから捨てる何てサイテー!


突然の乱入者の発言にギャラリーが勝手な憶測を話し始めてしまった。しかも目の前の女がそれを補足する様に語り始める。


「私と彼は幼馴染にゃ!彼が生まれてからずっと一緒に生きて来たにゃ!将来は結婚の約束もしていたにゃ!だけどそこの女に奪われたにゃ!」


やっぱりあの女は悪女なんだな!

おいおい兵士達は何してんだよ。早くそいつら捕まえろよ!

犯罪者と裏切り者の夫婦かよ。けっ、お似合いだな!

このまま黒歴史を衆目に晒して行き恥を晒してください。


おっとここに来て偽イルセアの被害者達が騒ぎ始めたぞ?後そいつの言ってる事全部嘘だからな?俺は旅人だから生まれてすぐ何て無いし幼馴染など居ない。


そもそも俺が最初にこの世界に来たのは、今のジャイアント王国が在る大陸の開拓村だし。そこの知り合いも全員・・・・・・あっ!思い出した!


だけどここに居る筈無いんだよなぁ。これはカマかけてみるか?うまく引っ掛かってくれれば周りにも偽物だと解りやすくなるし。


「おまえミーニャか!」

「そうにゃ!ミーニャにゃ!」


ふん!掛かったな馬鹿め!!っていうか割とあっさりと引っ掛かったな。こいつもしかしてそこまで頭良くない?話し方も子供っぽいしそう言う奴なのか?まぁいいか、ここは追い詰める方が先だ。


「80歳の婆にしては若作りだな?」

「にゃっ!?」


ミーニャとは最初の開拓村で冒険者ギルドの受付をしていた獣人の女性の名前だ。俺も今の今までまったく思い出せなかった。それくらい全然関わって来なかった人なんだよなぁ。


なお横に居てずっと杖を構えていたイルセアさんも、あっあの人かーという顔をしている。多分ALOをやっていた人で、あの開拓村をスタート地点としていたら必ずお世話になってるんじゃないか?たしかあの時点で20歳ぐらいだったはずだ。あんなに若い訳がない。


「という訳でシア、あいつは厄災だな?」

「うん、間違いないよ!ねっアイギス!」

「( ¯•ω•¯ ) ジトー ‘’`ィ (゚д゚)/」

「確保!!」


俺達の指摘を受けてイオク隊長率いる兵士達が厄災に殺到する。俺の発言に困惑する観客を避難させて、厄災の周りを瞬時に囲う連携は見事だった。


「ちぇ~。もうちょっと引っ掻き回したかったのにぃ。」

「なぁ~んで俺達しか知らない筈の人に化けられる?そもそもお前が変身する姿は全て“過去の姿”なのはなぜだ?」


諦めたように頭の後ろで腕を組む厄災。あいつの変身する姿がずっと気になってたんだよなぁ。巨双盾神の時の俺だったり、イオク隊長が調査結果として見せてくれた姿絵が俺と会った頃のイルセアさんの姿だったり、だからこの際本人に聞いてみようと思った。


「教える訳無いじゃーん。掴まりたく無いしここは逃げるよー。」

「逃がすか!」

「残念でしたー。」ボンッ!

「なっ!?ドラゴン!?」

「ガオー!なんつって?じゃあねぇー。」バッサバッサ!


うむ、今度は空神の眷属だと自称していた黒龍に変化して逃げた。空を飛ばれたら今の俺達に追う術はない。えっ?ディアが居るだろうって?さっき観客に混じって俺に罵詈雑言投げつけてたぞ。走って合流しようとしてるけど間に合わんわ。まったく肝心な時に何やってるんだよあいつは・・・。


「すまん、逃がしてしまった・・・・。」

「あれは仕方ない。それよりこの後どうする?」

「ルド殿の無実がまだ証明されていない以上、このまま我々と一緒に動いて貰う事になる。最近王都で偽物被害が増えているとの報告も在る。君達を連れて行けば厄災もまた姿を現すだろう。一緒に来て貰うぞ。」


はいはい、元々俺には拒否権在りませんからついてきますよっと。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る