第452話

「やったか!?」

「馬鹿野郎!!なんでそこでフラグ建てようとするんだ!」

「すぐにエネルギー反応を確認しろ!」

「やってやす!だけど攻撃の余波で魔素もエーテルも乱れて・・・・。」


アインのオーバードライブの効果が消失。30秒間の冷却に入ります。


バシューッ!!


太ももや両肩、腕や足に加え背中の排熱パネルが開き蒸気を吐き出す私の体。よく見ると体の奥にゆらゆらと空気を歪ませるほどの熱を持った機械部品が見える。何とか持ってくれたか・・・・。


アイン残りHP1 行動不可


こうなってしまったら私はしばらく動けない。HPは徐々に回復して行くが。最大迄回復するのに100秒掛かる。


「隊長大丈夫ですか?」

「あぁ、なんとかな。」

「無茶し過ぎやん!ウィンドラの機関部と繋がるなんて死ぬ可能性も在ったやん!」

「そうなればリスポーン地点で復活するだけだ。私達は旅人だからな。それよりも敵の撃破報告がまだだが状況は確認できたか?」


嫌らしい攻撃を繰り返して来た敵だ。フラグは関係なしに生きている可能性の方が高い。


「ちょっと待ってくだせぇ。ここをこうして・・・。レーダーを絞って・・・・よし来た!」

「高熱源反応検知!あいつまだ生きてる!」


バファッ!!


爆炎を吹き飛ばし姿を現したのは、ボロボロになりながらも空を飛ぶファンティルの姿だった。敵さんもなかなかしつこい奴だ。だがもうこちらの勝ちは揺るがない。


ファンティル HP1000


これならば兵装の一斉射で止めが刺せる!!


【気を抜くでない馬鹿者!】

「グゲェェェェェッ!!」


私が攻撃の指令を出そうとするよりも早く。ファンティルが先に動いてしまった。


ファンティルの攻撃

空ノ暴君・疫病・絶望ノ嵐・死ヲ齎ス者・乱レ狂ウ者・絶体絶命・起死回生・報復・怨敵スキルが発動

スキルコンボ!空ノ暴君・疫病・絶望ノ嵐・死ヲ齎ス者・乱レ狂ウ者・絶体絶命・起死回生・報復・怨敵発動により<雷雨往生>スキルが発動


ファンティルの羽ばたきがあの光線の様な光を宿した雲を呼び、その雲が渦を巻いて私達を飲み込んだ。


「ゲッギャッギャッギャッギャ!!」


私達の視界が闇に飲まれる直前。ファンティルが笑みを浮かべて高笑いを上げていた。嵐に飲み込まれた私達は紫の雨と雷の連続攻撃に晒される。


「雨の所為で龍麟装甲が溶け始めました!!」

「艦内に侵入した雨水が内部を破壊して行きます!」

「右翼推進機関に雷が直撃!推力落ちます!!」

「エーテル障壁展開してますが、雨と雷の同時攻撃ですぐに穴が開いちゃいます!」

「これが全部敵の攻撃だと言うのか!」


厄災と呼ばれるだけあってまさに自然災害。私達人の身では抗う事が出来なかったか・・・・。


「艦内のマジックドールとクイナ技師を非常脱出ポッドに入れろ。」

「隊長・・・・。」


これはもう駄目だ。ドラゴンには悪いが私達の完全な負けだ。油断するなと言われた時にすぐ指示を出していれば・・・・。もうそんな事を言っても仕方ない。まずは復活出来ない乗組員の安全を確保する事が先決だ。


「聞こえなかったのか?マジックドールとクイナ技師を脱出ポッドに入れて射出しろ。敵の攻撃目標がウィンドラであれば逃げられるはずだ。」

【契約者よ。もう諦めるというのか?】

「反撃しようにも攻撃目標が雲に隠れて視認出来ん。この嵐でウィンドラもすでにボロボロの状態だ。ここから逆転するなど不可能だ。安心しろ、必ず私が復活させてやる。だから今は。【諦めるにはまだ早いと言っているのだ契約者よ。】なんだと?」

「どうしたんですか隊長?」

「絶望的な状態になってとうとう隊長の頭が・・・。」

「また暴走状態に戻っちまうんですか隊長?」


ウィンドラと話をしているとどうしても独り言のようになってしまう。その所為でクルー達に頭の心配までされてしまった。ええいそんな事はどうでも良い!この状態で逆転する方法等在るというのか!!


【我はドラゴン。空の王者成。その底力見せてくれよう。】


嵐の外に居る暴君は勝ちを確信していた。あの嵐は自身の最強の攻撃。一度放てば目標が消滅するまで追従してダメージを与え続ける必殺技だった。


だからこそファンティルは油断した。自身の生み出した嵐の向こう側に在るあの目障りな物体を落とす事を優先してしまった。


「クケェーーーッ!」


鳴き声を上げながら飛び去ろうとするファンティル。そして嵐のすぐ傍を通り、後は真っ直ぐ目標に進むだけとなったその瞬間・・・。


ゴアアアアアアアアアアアアアアッ!!


嵐の中からドラゴンの骨格が飛び出して来たのだ。装甲は殆ど溶け。内部構造が見えてしまっている。先ほど自分を攻撃してきた兵器も溶けていて、火を噴いていた翼もその力を弱めていた。


まさに死に体。すでに事切れていてもおかしくない状態だというのに、頭部の眼には赤く輝く瞳を宿し、こちらの命を絶対に喰らうという殺意を持って自分に突っ込んで来た。そして。


バグンッ!

「ぐげぇ!」


執念で動くウィンドラはファンティルの喉元に噛み付く。直接肌に触れた牙は溶け始めるが、瞬時に無くなるわけでは無い。逆に歪になって良く牙に無理矢理噛まれ、傷口が酷く広がって行く。


「げぇっ!げぇっ!」

グルルルルルルルル!


何とか噛み付きから逃れようと暴れるファンティル。だがウィンドラは決してその牙を離さい。暴れ続けるファンティルは、ウィンドラの頭部に1人の人間が立ち上がるのを見た。


「これで終わりだ。空は返して貰う!」


アインの攻撃

ガンスリンガー・必中・発砲舞踏スキルが発動

発砲舞踏をパイレーツライフルで発動 装填数10発

ダメージ 600ポイント×10


ファンティルはウィンドラに拘束されて逃げられない。


クリティカルヒット!ファンティルの眼に攻撃が命中!ダメージ2倍

ダメージ12000ポイント


ファンティルの残りHP0ポイント

ファンティルは倒れた。

オーバーキル!ドロップが減少!

厄災の羽・厄災の嘴・隕鉄を獲得


「ぐげぇ・・・・・。」

「私達の勝ちだ!」

ゴアアアアアアアアアアアアッ!!


厄災の討伐を確認。変異暗黒物質の存在を検知。装備対象 飛行船ウィンドラ。

暗黒物質がこれまでの経験を元に変化を開始。飛行船ウィンドラが進化。


飛行船ウィンドラは機械龍ウィンドラに進化した。


機械龍 ウィンドラ 

耐久値 100000 

推進機関 魔空噴射機関

炉心 龍心転換炉

装甲 空帝龍麟装甲

特殊装備 空帝王の竜玉


武器

ドラゴニックロア

魔道砲

魔道機関銃

エーテルレーザー

滅龍砲

エーテルザンバー

ドラゴニッククロー

エーテリックミサイル

エーテル障壁

帝王の威圧

テンペストバリア

隠蔽雲

隕石召喚


フィニッシュボーナス アインのがパイレーツライフルが専用装備【厄縫い】に進化。


厄縫い(攻撃力5000 装填数5発 装填方法 単発装填)


MVP 鳥獣人種クイナ クイナの能力向上。運営からの調整要請を受諾。クイナを空中大陸の【英雄ユニット】に認定。クイナに魔道・エーテル技術の知識を授ける。


ファンティルがポリゴンとなって消えた後、ウィンドラと私の持っているライフルが光り輝いた。そして、ドラゴンの形をしていたウィンドラは東洋の龍の形になり、私のライフルは銃身に紫色のラインが入ったコッキングライフルに変化していた。


『こここ、これは一体どうなってるやん!?』


一番の変化はクイナ技師だった。少女の様な体をしていた筈が突然巨乳美女に変わり。何故かツナギを着て作業用ゴーグルと工作用手袋を装備していた。ツナギのポケットからは色々な工具が飛び出している。


『なっなんか一杯知識が増えたやん!これでもっともっと飛行船が作れるやん!神様ありがとうやん!』


自身の体の変化よりも知識が突然増えた事に喜ぶクイナ技師。どうやら報酬を神の力だと思った様だ。


【ふむ、この体も存外悪くない。】

「そうか。これでお前の復讐は終わりか?」

【・・・・・そうだな。我の無念は晴れた。これで心起きなく旅立てる・・・・。「それは困るぞ。」うん?】

「お前は私の契約龍だ。ここで居なくなって貰っては困る。我々クルーと一緒に又この大空を沢山飛んで貰わないとな。これから忙しくなるから覚悟しておけよ?」

【・・・・・。フハハハハハ!我がおらねば空にも上がれぬ者が何を言う!だが・・・。しばらくは一緒に居てやろう。それが契約者の願いと言うのであればな。】

「当たり前だ。後お前の声をクルー達に伝えられる様にしてくれないか?独り言を言っていると思われて辛い・・・・。」

【そういう物か?ならば声が届くようにしよう。】


機械龍の顔が笑みに歪む。その笑みが唯笑ったのではない事にアインは気が付いた。


「隊長早く空中大陸に結果を伝えに戻りやしょう!」

「ルドさん達待ってると思いますよー!」

「今連絡が在りました。お祝いの料理を作って待ってくれてるそうです。」

「俺もう腹減っちまいましたよ。早く行きましょうぜ!」

「艦長。発進準備は完了しています。」

「よしウィンドラ!空中大陸に向かって全速前進だ!」

【心得た!】

「「「「「「えぇ~~~~~~!!船が喋った(やん)ーーーーーー!!」」」」」」


ウィンドラは空を駆ける。かつてと同じ様に大勢の仲間達と一緒に。その心には喜びが満ちていた。


『ちょっと落ち着て欲しいやん!炉心の温度が上がりっぱなしやん!』

「仲間が出来て気持ちが高まるのは解るが迷惑を掛けるんじゃない。」

【今は許せ。どうしようも無く胸が弾むのだ。】

『弾ませても良いけど出力は抑えるやーん!!』


技師と契約者にだけはその心情がバレバレだった。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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