第447話
ルドさんの体が切り裂かれ、霞となって消えていく一方。地上の私達はと言うと・・・。
「ルドさんごめんなさい!!」
「まさかあの場所に在ったヒヒイロカネがこの迎撃装置のジェネレーターだった何て考えもしませんでしたわ。」
「もともと壊れていたからどっちにしろ状況は変わらないと思うよ。」
「そう言う事は早めに言うてもらわんと困るでほんま。」
「システムさんに怒っても仕方ないと思うよ?」
各種砲台に辿り着いた私達は早速塔から攻撃を行おうとしました。ですが塔のモニターにはこんな表示がされていたのです。
【ジェネレーターが破損。エネルギーチャージに問題が発生。現在充填率10%】
それぞれがチャットで連絡を取り合いながら確認した所、私達がヒヒイロカネを採取した場所こそがこの防衛施設の全エネルギーを生み出す為の発電機であり、ヒヒイロカネはそのコアだったみたいなんです。その施設が何らかの要因で壊れていて、地面と同化していた為にルドさんの地面操作によって操る事が出来たみたいなんですよね。
「あぁ、これでこの大陸もお終いです・・・。」
「諦めないで下さい母様。私が結界を張り大陸を守ります。」
「駄目ですよ。あなたはまだ未熟。シアも旦那様が居ないと強力な結界が貼れない。私にはもう結界を張る力が無い。詰んでいるのです。」
「ごめんねママ・・・・。」
シーラさんが涙を流しながら皆さんに謝っています・・・・。ルドさんが消えて自由になったファンティルがこちらの様子を伺うようにゆっくりと飛んできます。
ボンッ!!
「何事ですか!?」
「報告!地下の防衛施設が利用者ごと吹っ飛びました!」
ルドさんが使っていた施設が爆発したんですね。シーラさんやシアちゃんが言うには、一回使えば爆発すると言われていたみたいですし。つまりこれでルドさんの死に戻りが確定したと。
これでは私達がなんの為にここに残っているのか解りません。何か空中大陸を守る手は無いのでしょうか?
「エネルギーが無ければ持って来ればええやん!」
「突然どうしたのお姉ちゃん?」
絶望感が場を支配しようとしたその時、ルリちゃんが突然大声を上げました。あまりの声の大きさに、シーラさん達に加えて城の兵士さんやメイドさん達も何事かとこちらに注目しています。
「当の中にはエネルギーが残っとる訳やろ?ジェネレーターを通さずに集めれば一発くらい撃てるんちゃう?」
「成程、確かに言われてみれば・・・・。」
「その方法はいけそうですわね。」
「でも一発であいつを仕留められるかなぁ?」
ベニちゃんが不安そうにファンティルの方を見ます。
「やらん後悔よりやって後悔したほうがええやん?このままやとどっちにしろ滅ぶんやし、試してみるのも手やと思わん?」
「元々脅威に対する迎撃を目的とした装置って話だし。可能性は在ると思うよ。」
「ただエネルギーを集める為の時間が私達には在りませんわ・・・・。」
「あぁ、厄災がもうここまで!」
悠長に話している暇なんか在るはずが無かったんです。すでにファンティルはこの城の上空に到着していました。そして濁った眼で私達を、特にシーラさんを見ています。
「クケケケケケケ!!」
「あかん!今まで邪魔してきたシーラ女王を狙うつもりや!」
「近衛兵!女王様をお守りしろ!!」
「駄目ですわ!そいつの攻撃を受けては!!」
パーティーを組んでいた私達にはルドさんの戦闘ログが見えます。だからこそ、相手の攻撃の危険性はしっかりと伝わっているのです。敵の攻撃を喰らえば即死。絶対に避けないと行けません!
「クキャァ!!」
ファンティルの攻撃
疫病・絶望ノ嵐・空ノ暴君・死ヲ齎ス者スキルが発動
スキルコンボ!疫病・絶望ノ嵐・空ノ暴君・死ヲ齎ス者発動により<死の暴風>スキルが発動
特殊状態異常 即死 付与
「別のスキルコンボですって!?」
「皆逃げるのよ!あれに巻き込まれたら死ぬわ!」
ファンティルの羽ばたきによって生まれた竜巻、シーラさんとシチートはその効力を看破しました。周りの物を無差別に巻き込み命を吸い上げる死の嵐。それがあの技の正体です。
「クカカカカ!」
「皆さん逃げて下さい!ここは私が!」
リダの防御
闘仙格闘術・心義夢想・気当て・道術スキルが発動
スキルコンボ!闘仙格闘術・心義夢想・気当て・道術スキルの発動によってスキル<気力旋風>が発動
消費気力 500ポイント
相手の嵐を押し返すイメージで使った技が、新たなスキルコンボを生み出してくれました!
<気力旋風>(闘仙格闘術・心義夢想・気当て・道術)
気力を消費して風を操り、辺りを吹き飛ばす嵐を生み出す。その使用用途は使用者次第。
消費気力 500ポイント 維持気力 毎秒60ポイント
攻撃時 継続ダメージ100ポイント
防御時 500秒間風属性のダメージを無効化。
これで8分ちょっとは皆さんを守れます!ただ気力ほぼ使い切ったので私自身はもう何も出来ませんが・・・・。
「今のうちに逃げて下さい!」
「リダ姉が抑えてるうちに塔を起動できるかやってみるで!」
「もしもの時の為に走ります!」
「さぁシーラさん!貴方が逃げないと他の人が逃げられませんわ!早く城外に!」
ルゼダちゃんがクリン君と一緒にシーラさんを連れて避難を始めてくれました。それにつられて兵士さんやメイドさんも一緒に逃げていきます。
「面白く無いわね。あなた程度がルドきゅんを倒す何てどんな手を使ったのかしら?」
「クケェ!!」
「五月蠅いのよ!」
シチートの攻撃
色欲・爪撃・重想・リミッター解除スキルが発動
ダメージ10000ポイント
ファンティルの防御
腐食スキルが発動
ダメージ0ポイント
「クケケケケ!」
「駄目ね。触れるだけで溶けちゃったわ。」
シチートが放った爪の攻撃は、ファンティルに触れると同時に爪事とかして無効化されてしまいました。どうやら物理攻撃は危険なようですね。
【リダ姉の後方に在る塔にエネルギーを今集めとる。充填率は50%まで来たで!】
【女王様達は無事に城外に出ましたわ。】
このまま時間が稼げれば・・・。そう思っていましたが、相手も唯ボーっとこちらの様子を見ていてはくれませんでした。
「ケェーーーーッ!!」
ファンティルが再度<死の嵐>を発動。攻撃対象は<気力旋風>。
<気力旋風>は無効化された。
「なっ!?」
「クケッ!!」
新たに生み出された嵐が私の<気力旋風>を消し飛ばしてしまいました。そして、抑えていた嵐が城壁を崩しながらこちらに向かって進んできます。
「ならもう一度!」
リダの攻撃
<気力旋風>の発動に挑戦・・・・失敗。現在の気力360ポイント
すでに何十分も経っていると思っていましたが、まだ3分しか経っていませんでした。闘仙格闘術による気力回復は毎秒60ポイント。その全てが気力旋風の維持に使われ、回復していたのは自然回復分の2ポイントだけ。回復を待ち旋風を発動させる?その3秒間の間にあの嵐は私達を飲み込んでしまいます。
【くっ!!もう少しやのに!!】
【私まだ全然走れてません!!】
【こうなったら僕が全HPを使って足止めする!】
【そんなの駄目ですわ!物理攻撃を無効化する相手ですのよ!?】
「・・・・・これはどうしようも無いわね。やっとルドきゅんと出会えたって言うのに。」
絶望感がまた、この場を支配して行きます。私も心のどこかで厄災に手を出すのが早すぎたんだと後悔していました。もっと準備をして、もっと人を呼んでから戦えば結末は違ったかもしれないのにと・・・・。だけど人の所為にしていても仕方ありません。厄災関係のクエストを始めてしまったのは私達で、その責任を取ろうと、何とかしようと勇み足になっただけ。その所為で大勢の人が死んでしまうだけ・・・・。
「・・・・そんなのやっぱり駄目です!」
私達は復活出来ても、住人の皆さんは死んでしまえばそこまでです!ここで私達が諦めたら、誰が住人の皆さんを救うと言うのですか!!
「奮い立つのです私!もう後悔しない為に!皆を守る為に!!」
「良く言った!それでこそ俺の仲間だ!!」
ドガァーーーーン!!
お城を吹き飛ばしながら現れたのは、死んだと思っていたルドさんでした。
狼の兜を被り、ガンガンと鈍い光りを放つ盾を打ち合わせて私とファンティルの間に立ち塞がるルドさん。その背中はとても大きく手、そして安心感を与えてくれます。
「さぁ、こっからは全力で抗わせてもらう!と言っても5分だけだけどな!」
私達の頼れる守護神が戻って来た瞬間でした。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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