第437話

ピロン♪<自然体><調和>のスキルを覚えました。


うむ、スキルをきちんと覚えられたな。今は一回ログアウトして再度ログインした修行2日目だ。結構早かったなぁ。


「はいルドきゅん合格。さすがね。」

「ルドさんもう覚えたんですか!?」

「早すぎますわ!!」

「何かコツとか在るんですか?」

「コツかぁ。無心になる事?後は自分も自然の一部だと思う事くらいか?敵に見つからないように自然に溶け込む訓練した経験が生きたよ。」

「はいはいそんな事じゃいつまで経っても覚えられないわよ!さっさと瞑想に戻る!!」

「「「はーい。」」」


さてと、<自然体>と<調和>はどんなスキルなんだ?


<自然体>

気負いのない自然な態度の事では無く。自然と一体となった体の事。自然界からのエネルギーを受け取れる体になる。

MP+100ポイント

MP自然回復  10秒毎に1ポイント


<調和>

外にあるエネルギーを変化させ自身のエネルギーとして使うスキル。エネルギーの吸収効率が上がる。

MP+100ポイント

MP自然回復 10秒毎に1ポイント


ふむふむ、どちらもMPが上がるスキルだな。外部から魔力を補給する関係上、MPも自然回復するんだな。今まであまり気にしてなかったが、普段の自然回復ってどんなもんなんだ?


「スキルを持っていない人は寝ている時しか自然回復なんてしないわよ。この2つのスキルが覚えやすくて使い勝手の良いスキルね。」

「もしかしてスキルが進化したら<精霊体>になるか?」

「正解よ。<精霊体>スキルにするにはまだ前提スキルが足りないのだけれど。」


つまりシアは俺達の先を行くスキルを持っていた訳だな。その割にはMPの強化率が悪い気がするが?


「シアちゃんは精霊だからすぐに<精霊体>のスキルを覚えていたけど、それ以外のスキルを覚えてないのよ。だから真価を発揮できなかった訳。」

「そのスキルの名前は何なんだ?」

「<特化>なんの精霊になるのかを選ぶスキルね。」

「ドリアード何だから植物の精霊じゃ無いのか?」

「<特化>スキルを覚えるまで不安定なのよ。だから他の精霊魔法を覚えたりもするの。<特化>を覚える事で種族進化も起こるはずよ。」


うーん、スキル名からして属性に偏った種族になるんだろうな。でもシアには伸び伸び育って欲しいなぁ。


「まぁあの子自身が選ばないと<特化>は覚えないし、精霊の王なんて言う属性に特化しなかった存在も居るから安心しなさい。すべてはシアちゃんの選択次第よ。」


そうだよな。まぁ何を選んでも俺はずっと一緒に居る事に変わりは無いし。シアの成長を見守るか。


「さぁ!そんな事より次のスキルを覚えるわよ!<生命力増強>と<オーラシールド>今ならMPを使ってたっぷり練習できるわ!」

「<生命力増強>はHPが増えて、<オーラシールド>は防御力強化か?」

「その通りよ。<生命力増強>も<オーラシールド>も自己バフスキル。スキルと言っても魔法に属する物ね。今時自己強化の魔法を覚えないなんて時代遅れですからね!付きっきりで教えて上げるわ!」


ふむ、確かに自分で使うバフ魔法は覚えた事無かったな。そもそもMPが少なすぎて魔法が覚えられなかったし・・・。盾強化?あれはバフスキルだから魔法とは違う。


それにしてもこの2つは使い勝手も良さそうだ。だが師匠よ、付きっきりの部分でなぜ手をワキワキさせる?リダ達の方は見てやらなくて良いのか?


「あの子達はしばらくあのままよ。スキルを覚えるまではね。」

「うーん、そんなに覚え難いスキルじゃないと思うだがなぁ。」

「・・・・さすがにその発言はあの子達が可哀そうよ。<自然体>も<調和>も普通は覚えるのに年単位で時間が掛かるんだからね?スキルを覚えやすい旅人でも半年はかかるのよ?あなたがおかしいのよ?」


そう言われてもなぁ。覚えちまったもんはしょうがないだろ?さっ、早くバフスキルを教えてくれ。


その頃地上では・・・・・。


「3番装甲はそこじゃねぇ!!もっと奥だ奥!!」

「12番伝達回路は何処に持って行くんだっけ?」

「第34区画だろ。」

「65番回路の素材足りません!」

「今持って行くちょっと待て!」

「武装チェック良し。」

「良しじゃねぇよ!!武装の取り付けは最後だって言ってんだろうが!!早く外せ作業できねぇ!!」

「皆さんお疲れ様です。魔法人形製で申し訳ありませんがお食事を用意しました。是非ご賞味下さい。」

「「「「「「やっほう飯だぁ!!」」」」」」


飛行船ドッグでは今。急ピッチでウィンドルの修復が行われている。竜骨や内部構造の配置がやっと決まり、今はその組み立てを行っている最中だ。その飛行船ドッグの奥に在る最重要機関を組み立てる為に作られた区画で、丁度クイナという飛行船技師が浮遊機関の組み立てを終えた。


「ふぅ、やっと終わったやん。」

「お疲れ様だな。おい!浮遊実験の後組み込みを頼む!」

「へい姐さん!」

「姐さんって言うな賊みたいだろ!!」

「そんな事は良いやん。それよりも最大出力での実験をして欲しいやん。残った浮遊機関とのバランスを調整しないといけないやん。」

「わかりやした技師の姉さん。ちょっくら実験してきまさぁ。」


完成したばかりの浮遊機関を持って外に出ていく私の部下達。すぐに外で大きな歓声が巻き起こった。どうやら浮遊機関は無事に稼働した様子だ。これでウィンドルの修理に又一歩近づく事が出来た。


「ふぅ、調整終わりやん。これで今出来る事は終わったやん。」

「後はルド達がヒヒイロカネを持ってくるだけか・・・・。大丈夫なんだろうか?」

「ちょっとしか一緒に居なかったけど信頼できる人達やん。ちゃんと持って来てくれる筈やん。それより今持って来られても良い様に培養液を作って置くやん。」

「使わなかったグレートドラゴンの骨から骨髄を取り出し、鱗から抽出した力を混ぜるんだったか。何とも手間が掛かるな・・・・。」

「本当なら水にヒヒイロカネを混ぜるだけで良いやん。でもドラゴン素材を大量に使ってるからこの方が相性が良いやん。」


今組み上げている飛行船はドラニア地方から取り寄せたドラゴン素材が多分に含まれている。その素材達になじむ魔力にする為にこのような手間が掛かるのだそうだ。ドラゴンの心臓が手に入ればもっと簡単らしいが出力は元の結晶の方が上らしく、手間は掛かるが完成すれば元の出力の3倍は出せるようになるのだとか。その話を聞いて完成が本当に楽しみだ!新しい名前も考えておかないとな!ふふふふふ。。何が良いかな・・・・。


「戻ったで~!」

「ヒヒイロカネ、持ってきました!!」

「「「「「「「おぉ~っ!!」」」」」」」」


ルド達の仲間の声が外から響いて来た。どうやらきちんとヒヒイロカネを持って来てくれたらしい。すぐに部下がここに連れて来てくれた。ん?2人しか居ないのか?


「ちょっと精錬に失敗して2人だけ死に戻ったんや。」

「でも安心して下さい!ほら、ちゃんとヒヒイロカネを持ってきました!!」


ルリとベニと言ったか。その2人がインベントリから赤く輝く金色のインゴットを取り出した。おぉっ!これがヒヒイロカネか!これでやっと心臓部の修復に取り掛かれる!


「本当に在ったやん。実はほとんど信じてなかったやん。」

「空中大陸では鉱石素材が取れないって話してましたもんね。」

「あったのはこれだけやで。結構貴重なんやから失敗せんでね?」

「そこは大丈夫やん!お爺ちゃんの技術を信じるやん!」


クイナはすぐに培養液の準備に取り掛かり始めた。材料を混ぜ、赤く輝く液体を作りだしたクイナはヒヒイロカネのインゴットを徐にその培養液の底に沈め、最後に賢者の石と呼ばれる結晶を中に入れた。


「これで後は放置で良いの?」

「違うやん。魔力を込めながら修復を促すやん。」

「ならば私がやろう!何て言ったってこの船は私のだからな!」

「1人じゃ絶対無理やん。皆で交代しながらやるやん。」

「どれくらい魔力が必要になるんや?」

「数値化は難しいやん。あえて言うなら100万くらいやん?」


MP100万!?そんなに必要なのか!?


「だから交代でMPを注ぐって言ったやん。修復具合で前後するやん。」

「まぁ良い!これで飛行船が直るならやってやる!行くぞ!!」


培養液の入った器からは魔力を注ぐための管が出ている。私はそこに自分の持っているMPの全てを注いだ!


「あっなんかヒヒイロカネから泡が出て来た!」

「おー、ヒヒイロカネが少しだけ溶けて結晶に流れ込んどる。」

「大きめの欠片はくっ付いたやん!でもまだまだ必要やん!」

「ぬぉーーーっ!まだまだ行くぞー!!」


MPポーションを使って魔力を回復しながらどんどん管にMPを流し込む!多く魔力を流し込んでこの結晶の持ち主は私だと主張するのだ!!


「だからMPポーションありったけ持ってこい!」

「解りやした姐さん!」

「休憩中の奴は街中のMPポーション買い集めるぞ!」

「自前で作れる奴は材料も買い集めて来い!」

「組み立て班は引き続き作業に取り掛かれ!姐さんの修復に後れを取るなよ!」


号令により動き出す部下とマジックドール達。さぁ修復作業も大詰めだ!


「だから1人でやらなくて良いやん!!絶対に無理な量やん!!」

「あかんでクイナはん。この人全然話を聞いてないわ。」

「本当に1人で結晶を修復しようとしてるね。」

「ぬぉぉぉぉぉぉっ!この船は私の物だぁぁぁぁぁぁぁ!!」


国にも、相談役にも誰にも渡さんぞ!!この船は私の物なのだぁぁぁぁぁぁ!!


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る