第432話

「良いですか?魂の繋がりを感じながら<スキルコネクト>のスキルを発動するのですよ?」


始めての合体技に緊張しながら、シーラにスキルの使い方をレクチャーして貰っている。シアと繋がっている感じはずっとしているから、これを使って技を発動させれば良いらしい。


「σ(゚∀゚ )」

「ん~、アイギスちゃんにはまだ早いわね。その時が来たら私が教えて上げるわ。」

「(´・ω・`)」

「そう落ち込まないの。いつかは使えるようになるわよ。ルドきゅんの事、好きなんでしょ?」

「(〃ノωノ)」

「その反応が答えでしょ。」


シアと合体技の使い方を教えて貰っている横でアイギスと師匠がこんな話をしていた。アイギスとはまだ合体技が使えないのか・・・。使えたら俺も攻撃出来るんじゃないか?とか考えていたんだがなぁ。


「ほらっ!集中する!初めての発動が一番大事なんですよ!」

「パパしっかりして!」

「すまんすまん。」


さてと、シアとの繋がりを意識しながらスキルを発動するっと。それじゃあ行くぞ!


「「<ソウルコネクト>!!」」


シアとルドのソウルコネクトが発動

ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!エラー!!エラー!!

大罪スキルと元徳スキルの存在を検知!セーフティ起動・・・・エラー!個体名ルド内部の想定外データがセーフティの起動を阻害。


個体名シアの<暴食>が暴走。個体名ルドの捕食を開始。

個体名ルドの<純潔>が反発。個体名シアの<暴食>を阻害。


なんだなんだ!?何が起こった?スキルを起動したと思ったら頭の中にエラー音が鳴り響いて凄い勢いでログが流れ始めたぞ?


そんでもってシアの暴食と俺の純潔が勢力争いを始めちまった!シアの暴食が俺を喰おうとして、俺の純潔がそれを阻止してるのか?


ん?体が何かに締め付けられている気が・・・・はぁ!?シアが樹になってる!?俺の体がその樹に飲み込まれちまってるぞ!おいしっかりしろシア!・・・・・駄目だ返事がねぇ。


「あわわわわ、どうしましょうどうしましょう!?」

「何慌ててるのよ!こうなったのもあんたの所為でしょうが!あぁルドきゅんしっかりして!!」

「。・゚・(ノД`。)・゚・。うわぁぁん」


シーラは慌ててるし師匠はそんなシーラを怒鳴ってる。アイギスに居たっては泣いちまってるな。うーむ、これ本当にどうすれば良いんだ?


「ルドさん無事ですか!?」

「ヒヒイロカネを取って来たと思ったら凄い事になってる・・・。」

「意識は在りますの?返事をしてくださいまし!」

「ルド兄、こんな変わり果てた姿になって・・・。」

「シアちゃんは立派に育ちましたねぇ。」

「いや、育った訳じゃないからな?」


リダ達が帰って来た。とりあえずこの状況を説明しないとな。


「エラーが出たんですの?」

「大罪スキルと元徳スキルが反発したんですか。そんな事在るんですね。」

「セーフティが止まったのってルドさんに原因が在るんですか?何が原因なんだろう?」

「それでシアちゃんは大丈夫なんルド兄?」

「分からん。返事が全く無いんだ。」


さっきから呼びかけたりしているが全く返答が無いんだよなぁ。チャットも送ってみたが反応なし。意識が無い状態だと思うぞ。


「ん~。その繋がりを辿ってシアちゃんの意識をサルベージしたら戻りませんかねこれ?」

「その可能性は在ります。シアもスキルの暴走でこうなっているでしょうから。意識が戻れば暴走が抑えられるかも?」

「そう言う事だからちゃっちゃっとやっちゃいなさいルドきゅん。」

「(´Д⊂グスン」


おっと、そんな無理難題を言われてもやり方が分からんぞ?どうやったら良いんだ?


「こうすれば良いのよ!」ゴンッ!

「ゴフゥッ!!」

「あっシチートさん酷い!」

「こういう時は気絶させるのが一番なのよ。後は私がちょちょいと夢を弄れば良いの。」

「そう言えばシチートさんってサキュバスでした。」

「サキュバスじゃなくて悪魔よ悪魔!それじゃあ行くわよ!!」


皆の会話を朧げに聞きながら、俺の意識はどこかに引っ張られて行った。


「はっ!?ここは何処だ!?」


目が覚めると不思議な空間に居た。虹色に輝く雲に覆われた場所で、時折何か浮いているのが見える。ん~、あれはカレー?


パフェにシュークリームにかつ丼にステーキに・・・・。ははぁん?ここはシアの頭の中だな?見事に食べ物しか浮いてねぇ。


さて来たは良いけどこれからどうすりゃいいんだ?シアの意識をサルベージするってどうやるんだろうな?


ドシーンッ!


そう思っていたら俺の真上で何かが衝突する音が響く。あそこら辺だけ雲が黒いな。ちょっと様子を見に行ってみるか?でもどうやって動けば良いんだ?


何て考えていたら勝手に体が動いて居た。どうやらあっちに行きたいと思えば移動してくれるらしい。思念だけだから思いの力が体を動かす事になるのかね。


スーッと滑るように移動しながら黒い雲の中に入る。雲の中ではかなり激しい戦いが繰り広げられていた。


黒くて赤い目をした体の大きな狼が大口を開けて突撃し、反対側に居る銀色の盾と剣を持ち、白い翼を持った女神がその攻撃を防ぐ。どう考えても暴食と純潔ですなこれは。


そんでもって狼の額に目的の人物を見つけちまった。シアが狼の額に半分埋まるようにして存在している。うーん、こういう時上半身だけ出てたりしない?なんで左半身が飲み込まれている形なんだ?まぁ良いけどさ。


さて、どうやってシアを助ければ良いんだろうか?


『あれを抑えて下されば私が助け出しますよ。』


おっと女神さんが突然話しかけて来たぞ?その間も狼が噛み付こうとするが、盾でしっかりとガードしている。うん、良い盾使いだ。いやそうじゃなくて。


「スキルが話出来るのか?」

『私達は特殊ですから。』


それは何の説明にもなっていないが?考えるな感じろってか?


「シアが半分埋まってるし、あの狼が暴食で間違いないんだよな?」

『えぇ、暴食が具現化したのがあの狼です。そして私は純潔が具現化した者。初めましてマスター。』


女神さんにマスターと呼ばれる事に非常に違和感が在るが今は良いか。で、あいつを押さえたらシアを助けられるんだよな?


『えぇ、必ず助けますよ。』

「んじゃやるか。ってかここでスキルは使えるのか?」

『普段と同じ様に使えますよ。それにマスターに助力したいと願う者も居ます。』

「だれだそれ?」


そう思っていたら光りの玉が俺に向かって突っ込んで来た!そして俺の周りをフヨフヨと漂いながら回る。一体全体なんだこりゃ?


『それは昔のあなたの残滓。ずっと眠っていた力です。』

「それってALOの時のクラッシュしたキャラデータの事か?新規データと統合して消えたんじゃないのか?」

『残っていたのですよ。そしてあなたの力になりたいとここに来たのです。まぁこの問題を起こしたのもその子ですが。』


それって問題が起きたからその解決を手伝って、自分の罪を軽くしようとしているだけじゃ無いか!!


『許してあげて下さい。ずっとあなたの力になるのを待っていたのですから。』

「許す許さないは後で決めるとして、こいつは何が出来るんだ?」


ヒュンッ!!


俺が女神さんに質問した時に、光りの玉が俺の体に入っちまった!ほわっと体が光ったかと思えば、いつもの通知音が頭に響く。


ピコン♪ルドは<身代わり>のスキルを覚えた。


<身代わり>

対象のダメージを代わりに受けるスキル。その際スキル発動者の防御スキルを参照して受けるダメージを減らす。


『それであの子、シアが受けているダメージを肩代わりして下さい。今も暴食にその身を削り取られていますので。』

「まじで!?」


じゃあこのままだとシアは暴食に食われて消えちまうってか!?それは急いで助けてやらないと!


「とりあえず<身代わり>発動!」


ルドの<身代わり>スキルが発動 対象はシア

シアの状態異常【身食い】がルドに移行

【身食い】の条件を満たしていません。スキルは不発に終わります。


【身食い】なんて状態異常も在るのか。文字通り自身の体を喰らうって異常なんだろうな。そんでもって他人の俺がその状態異常を肩代わりしたから条件を満たせなくなって状態異常が勝手に治ったと。


状態異常が止まった所で暴食の動きも止まった。どうやらシアの体を喰いながらじゃないと動けないらしい。とまった暴食に対して純潔が持っていた剣を突き刺した。おっ、シアがコロッと出て来たぞ。うっし、しっかりキャッチ出来た。


「大丈夫かシア?」

「うーん、あっパパ!ここどこ?」


寝ぼけている感じだが大丈夫そうだな。そしたらあの暴食を止めて貰わないと。


『もう大丈夫ですよ。暴食が暴走する事はもうありません。<ソウルコネクト>で繋がっていますので私が抑えて置けます。』


純潔がそんな事を言いながら俺達の傍に降りて来た。その後ろでは耳が垂れ、尻尾を股に挟んだ暴食が見える。こう見ていると大人しい犬だな暴食。


『さぁもう戻りなさい。ここは本来貴方達が居るべき場所ではありません。』

「あっちょっ!もうちょっとここについて説明してくれよ!他の大罪スキルや元徳スキルに純潔達みたいな形が在るとかさ!」

『それはそのうち解りますよ。さようならぁ~。』

『ワンワン!!』


いや大分軽いな!結構なピンチだったと思うんだけどさっくり終わってさっくり返されたんだけど!?もうっちょい情報プリーズ!!あぁぁぁぁぁぁぁ!!


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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