第428話

ダンジョンに行く途中にドッグの方をちらっと覗いてみると、メガネ達も造船ドッグの様子を見に来ていた。どうやらドッグに在ったアームやその他の魔道具の材料を集めたのはメガネ達らしい。そりゃ自分達が集めた素材がどう使われてるのか気になるよな。


俺はそのまま声を掛けずに1人で枯れたダンジョンに向かう。もう中には敵が居ないからな。攻撃出来なくても何とかなる。フィールドの敵は道場を思い出しながら弾き飛ばして対処した。まぁそのお陰でスキルを1つ覚えたが。


<プッシュ>

相手を弾き飛ばすスキル。侮るなかれ、このスキルは相手に一切のダメージを与えずに相手と距離を取れるのだ!!(タイミングにより飛距離が変動 3~10メートル)


これが結構面白い。ジャストガードが出来れば10メートル吹っ飛び、それ以外だとコンマ1秒単位で飛ぶ距離が変わる。タイミングゲーをしている感じがしてしばらく遊んでしまった。


「さて、やっと着いたな。」


目の前には丘の麓にぽっかりと口を開ける洞窟が在る。そう言えばここに師匠が居たんだよなぁ。何かと色んなイベントに使われてる気がするが気のせいか?隠されたお宝が在ったりして?


「まぁそんなの関係ないな。さっさとこいつを中に持って行こう。」


なぜかインベントリに入らない金属の板を持って中に入る。敵が出ないもんだからすいすいと進み、最奥の部屋に辿り着いた。途中の真っ黒な部屋は一体何だったんだ・・・・。


「さてと、持って来たぞ村長。一体どうすれば良いんだ?」


板を壁に立て掛けて変化を待つ。あの村長なら条件が揃ったら変化が起こるようにしているハズ・・・・・。ホラ来た。


条件が整ったのを感知したのか、金属表面の文字が変わって行く。


『やぁルド君久しぶり。いや、君がこの文章を見ている時にはすでに僕は死んでると思う。だから久しぶりと言うのは違うのかな?まぁそんな事はどうでも良いか。


このメッセージを見つけてくれてありがとう。そして改めて、世界を救ってくれてありがとう。君は毎回人の為に体を張って何かから僕達を守ろうとしてくれる。あの戦いの時もそうだ。君は自分の命を顧みずに僕達を助けてくれた。君には感謝してもし切れないよ。あの後君が死んだと思って色々と大変だったんだからね?神々から直接君が無事と聞いて本当に安心した。


だから僕達はそんな君に感謝の品を送りたいと思ったんだ。これは君と関わった人達の総意と受け取ってくれていい。本当に皆感謝しているんだ。


その感謝の品なのだけれど、このメッセージを読み終わったら最後のおわりを触ってくれれば現れるよ。君なら喜んでくれると思う。好きなように使って欲しい。


沢山書きたい事は在るけどスペースの問題でこれ以上は難しそうだ。君のこれからの幸運を祈るよ。


追伸:このメッセージを見ている時にはすでにゴーレムダンジョンは枯れていると思う。それは僕が内密に神々に頼んで封印して貰ったからだ。この先資源を巡って争い合う未来もあり得たからね。遠くの国が旅人の技術を狙って怪しい動きもしているし。無限に金属資源が取れるこのダンジョンはかなり危険だと判断したんだよ。


だけど永久に封印しておくのももったいない。そこで、君にこのゴーレムダンジョンを復活させるカギを譲ろうと思う。もし、君が必要だと思ったら解放してくれ。


多分君は面倒事も押し付けられた!と思うんだろうね。まぁ判断は任せるよ。名誉市民の君にね。それじゃあ元気でね。


城塞都市初代代表 リク・ラカー』


プレゼントと一緒に面倒な事が起こった!これで良いか村長?しっかしゴーレムダンジョンは神々が停止させたって聞いたけど、村長がお願いしてたのか。その判断は良かったんじゃないか?戦争で利用される事も無かった訳だし。


さて、村長の伝言通り『おわり』を押してみますか。ポチっとな。


ピコン♪ 『おわり』→『お帰り』


うおっまぶしっ!!


終わりの文字が変わったかと思ったら金属板が光り輝き始めた!強烈な光はすぐに収まり、板の在った場所には2つのアイテムが転がっている。1つは凄く見覚えのあるアイテムだなぁ。


双盾強化アイテム:武器種双盾にのみ使用できる強化アイテム。1段階盾を進化させる。その際に耐久値も回復する。(譲渡・売却不可)


うん、久しぶりに見たなコレ。ALOの時はチョコチョコお世話になった奴だ。今回は鍛冶屋とかに頼まなくても強化できるらしい。見た目は白い金属のインゴットになっている。押し当てて使えば良いのか?


さてお次のアイテムは青い水晶玉だ。占い師が良く使ってる奴だな。


復活の宝玉:特定のダンジョンを蘇らせる為の水晶玉。一度使えば壊れる。復活したダンジョンは攻略される毎に強化される成長型ダンジョンに変化する。


これがゴーレムダンジョン復活の為の宝玉かぁ。成長型って事は沢山の人に攻略して貰えば希少金属も取れるようになるか?まぁ今回の飛行船修復には間に合わないんだろうなぁ。


さてと、強化アイテムは早速使って・・・・よし、盾が進化したぞ!


アイアンシールド(レベル2)耐久∞ ダメージ-50ポイント


強化としてはしょぼいけどな。盾が成長する為の経験値を貯める事を思えばサクッと上がってくれて良かったよ。これに関しては何時進化するか全く読めないからなぁ。進化まであとどれくらい戦闘が必要なのか位見せてくれても良いと思うぞ運営さん?


ゴーレムダンジョンもさくっと復活させるか。おっと!ここでやったら確実に巻き込まれる!入口付近でやるとするか。シルにも連絡しておいて・・・・。あっこっち来る?兵士を連れて来るからちょっと待ってて欲しいってか。うーん、暇だし新武器の慣らしがてら魔物相手にプッシュの練習でもするか。


1時間後・・・・・・。


「ルド兄様?一体何をしているんですか?」

「シルか!やっと来てくれた!助けてくれぇ!」


そこには森中の魔物が集まっている中心で、必死になって襲い掛かる敵を吹き飛ばし続けるルドの姿が在った。


「今のナレーター誰!?」

「あっお久しぶりですルドさん。」

「メガネ達も来たのか!丁度良いからこいつ等倒してくれ!!」

「貴方達も手伝いなさい。まったくどうしてこんな事になったのですか?」

「スキルの練習してただけだぞ!吹き飛ばした相手が別の魔物にぶち当たってヘイトを稼いじまっただけなんだよ!」


不幸な事故の連続だったんだぞ!飛ばしては敵に当たり、さらに襲い掛かる敵を吹き飛ばしたら別の敵に当たり、そうこうしていたらこれだけ集まっちまったんだ!


「はぁ、まったく兄様らしいというかなんというか・・・・。」

「丁度良いですし初心者プレイヤーを呼んで道場復活させましょう。ダンジョン復活をセレモニーにして大々的に宣伝すれば、攻略速度も上がるでしょうし。」

「その案は良いですね。兄様の報告では成長型のダンジョンらしいですし、希少な金属を生み出す様になる迄さくっと攻略して貰いましょう。」

「俺そろそろ集中力の限界なんだって!早く処理してくれよ!」

「「ルド(さん)(兄様)はそんな雑魚の攻撃ではダメージ無いでしょう?」」

「それはそうだけども!!」


殺意マシマシで迫って来る魔物の群れは怖いんだよぉ。うひぃぃぃぃぃっ!


その後メガネが知り合いに声を掛けて1日限りの道場&ダンジョン復活のセレモニーが行われた。初心者の旅人達はイベントだと思って張り切って参加してくれてたが・・・・。すまん、報酬はなんも出ない。ダンジョンが復活するくらいか?


あと何人か俺がイベント用のNPCだと思っている奴も居た。極楽島の動画でNPC説が浮上してから時折間違えられるんだよなぁ・・・。ネーム見てみろちゃんとプレイヤーだぞ?


そして今は最後の締め。ダンジョンの復活だ。


「さぁルド兄様。早速ダンジョンを復活させて下さい。」

「どうなるんでしょうねぇ。どうやるんでしょうねぇ。記録はバッチリ撮って置きますよ!」

「おっおう・・・。それじゃ失礼して・・・。」


宝玉をダンジョン内に入れて復活する様に祈りを込める。使い方は・・・・適当です。だって何も説明が無いんだぞ!解るわけが無い!


だが使い方は合っていたみたいで、宝玉の中心から青い光りが迸りダンジョンの中を明るく照らしていった。そして宝玉から色が失われて砕け散った時。


ゴゴゴゴゴゴゴ!


地面が揺れ、ダンジョンの入り口に変化が訪れる。何と洞窟の入り口が七色に輝く靄に覆われてしまったのだ。これ誰か鑑定できる?


「鑑定ならお任せを!さぁ記録を取りますよ!」


メガネが名乗り出てくれてダンジョンの鑑定が行われた。その結果をドーンッ!!


石巨人の洞窟(Lv1)

石で出来た巨人が徘徊する洞窟。時たま石の中から宝石や金属が露出している事が在るが、品質は最低の物しか出ない上に鉄と水晶しか出ない。

※このダンジョンは攻略されるとゲーム内時間で1週間後に強力になって復活する。その際に生成される貴金属やドロップ品の質と量が上がる。


ゴーレムダンジョンから名前が変わっている。しっかりと成長する事も明記されているな。よしよし、最初は実入りが良く無いだろうが攻略して行ったら確実に今の資源不足を解消できるぞ!


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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