第426話
「ふと思ったんですけど、ヒヒイロカネを一度見ているのなら今居るこの場所でも探せるんじゃないですか?」
「リダお姉ちゃん頭良い~。」
「(・∀・)ソレダ!!」
リダが唐突にそんな事を言い出した。だけどその言葉を聞いて確かになと納得してしまった。あの限定された大陸である空中大陸にもヒヒイロカネが在るのなら、今いる場所に在っても不思議じゃない。なんせ元々はこの大陸が空中大陸の元になったんだからな。
「ルド兄はやっぱりどっか抜けとるんよなぁ。」
「まぁまぁ、それがルドさんの可愛い所なんですよ。」
「なんでこんな反応されてるのに気が付かないのかなぁ?」
「完全にフィルターが掛かってるんだと思いますわ。」
「ルド兄さん早速やってみて下さい!」
「おう!<地面操作>!!」
何やらコソコソと皆が話している気がするが、そんな事は気にせずに早速スキルを発動する。今回は炉の形にはせずに半円形の金属の塊を作る。なんで半円にするのかと言うと、棒状にすると武器判定になって消えちまうからだな。まぁ集めたとしても地面から切り離せばどっちにしろ消える。今回は金属分布を調べる為に行う調査って訳だ。
ボコボコと地面が動き、俺が手を付けた地面の先から金属のドームが次々と出来上がって行く。今回はオリハルコンも見つけられないかと思って干渉できる範囲で取れる金属を取り寄せてみた。干渉範囲に制限が在るなんてスキルには書いて無かったが、どうやら今居る大陸くらいの幅しか干渉出来ないらしい。それでも結構広いがな。さて、お目当ての金属は出て来ただろうか?
「・・・・・ないやん?」
「あっほんまや!あの金属があらへん!!」
「ほんとだ!どれも不思議な光は無いよ!」
「ルド!貴様手を抜いたな!」
「抜く訳無いだろうが!」
これでも効果範囲内に含まれる金属全て抜き出したんだぞ!結構神経使った事やってるんだからな!
「ルドさんのスキルに問題が無いとしたら理由は何でしょう?」
「最初の大陸だから?でもよくあるパターンだと最初の大陸に探している希少金属が眠っているって事もあるよね?」
「クリンの言っているパターンも在りますわ。それに大陸から削り取った土地で作られた空中大陸にヒヒイロカネが在って、元になったこの大地に無いのはおかしくありませんこと?」
俺が作りあげたドームは鉄・銀・銅・金・ミスリル・グラビタイト・錫・アルミ他雑多な金属・謎の金属3種類の分だけ出来上がっていた。だけどその中に虹色に輝く金属も、赤く輝く金属も見当たらない。
「どこかにちょこっとでも無いのか?そういえば修復にはどれくらい必要だ?その分だけ在れば良いんだろ?」
「粉々になっている部分もあるやん。インゴット1つ分は必要やん。」
「駄目~。見つからないよパパー。」
「_| ̄|○」
希少金属なのだから大きなドームではなく小さいのが出来ていないかとメンバー全員で探してみたが、どこにもそれらしい影は無かった。岩くらいは在るだろうと思っていたんだがなぁ。全然見つからないとは思っても居なかった。こうなって来ると何か原因が在ると思うんだが・・・・・。
「それはすでにこの大陸にある希少金属は使い尽くされているからよ。お帰りなさいルドきゅん。」
「正確には全て採掘され何らかの道具に加工されているから。ですね。空中大陸はどんな感じでしたか?」
突然俺達以外の声が響いて驚いた。振り返るとそこにはシチート師匠とシルの2人が立っていて俺が作り上げたドームを興味深く繁々と眺めている。ふむ、2人が言っている事が本当なら俺の地面操作で出てこない理由も解るな。なんせ地面操作は“地面に含まれている”物しか操れないのだから。全部掘りつくされてたら当然オリハルコンもヒヒイロカネも集まって来ないわ。
「つまりもうこの大陸にはこのコアを修復できる金属が1つも埋蔵していないという事か?」
「そう言う事になるわね。」
「じゃ、じゃあその加工した道具を譲って貰えば!」
「アインさん、貴方ならもう知っているでしょう?現存している希少金属製の道具は全て国で管理しています。たとえそれが飛行船修復という国益に添う目的であっても。そう簡単に許可は降りません。何せすでに作り出せないと言われている品も在りますから。」
あらら、シルの言葉が止めになったのかアインの奴ががっくりと肩を落としちまった。しかし本当にどこにも道具は眠って無いのか?どっかに在りそうなもんだけどな。俺と同じ事を思ったベニがシルに質問した。
「どこかに希少金属製の道具が在ったりしませんか?個人所有していたりとか、代々受け継いでるとか!」
「残念ですがベニさん。その可能性も無いんです。希少金属で作られた道具はその効力が絶大です。ですから隠し持っている事を重罪として全て国に提出させたんです。もちろん違法組織や隠し持っている人が居ないとも言い切れません。しかし、国の調査を潜り抜けて所持し続けている人達がそう簡単に道具の所在を漏らす事は無いでしょう。探すにしても手掛かりが全くありません。」
「くっ!つまりこの大陸で誰の手にも渡っていない希少金属はゼロと言う事か!!」
アインからしたらウィンドルが再び空を飛べるという可能性が遠くに行ってしまったように感じたんだろうな。地面を叩きながら悔しがってる。この3つの謎の金属が使えないのかね?
「ん~。軽く調べてみたけど使えそうにないやん。とっても固くて魔法を通さない金属と、逆にミスリル以上に魔法を通しやすい金属と、良く分からない金属やん。」
「ん?3つ目の金属はクイナさんでも分からないんですか?」
「そうやん。ずっと組織が変化している不思議な金属やん。これじゃ不安定過ぎて使えないやん。」
それはそれでマロの強化に使えそうだから興味あるぞ?とりあえずこの3つの金属の名前がハードメタル、神鍮、万化金になった。さてと、呑気に未発見金属の名前を決めてる場合じゃない。こうなったら最初に見つけた空中大陸に戻ってヒヒイロカネを探すしか無いな!
「という訳で空中大陸に戻らないと行けなくなったが。残念ながら俺の無敵技は品切れだ。一旦ログアウトして使えるようにしないとな。」
「その前に使えそうなパーツを墜落現場から探すやん!他の部分も修復に希少金属が必要かもしれないやん!」
「そう言えばまだ機関部の重要パーツしか見てませんわね。」
「浮遊機関の1つでも無事なら修復が早まるやん!だから手伝って欲しいやん!」
「クラメンに連絡して拾ったパーツを全て集めさせよう。もちろんパーツ探しも手伝うぞ!!」
「一杯探すぞー!」
「(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!」
1から作るよりは残ってる物を再利用した方が確かに修復は早くなるか。結構大きな残骸も在ったし、俺の力も必要か。まぁログアウトは制限時間が来てからすれば良いな。そう言えば師匠とシルは何でここに来てるんだ?
「言ったでは無いですか。飛行船を修理する知識は在るのですよ。そしてウィンドルは過去の重要な遺産であると共に飛行船技術復活の象徴。その修復にジャイアント王国としても大いに興味が在るのです。」
「私はルドきゅんの修行の為ね。一緒に行くって言ったのに置いて言った事、許して無いんだからね?」
おっと、そう言えば空中大陸に行く時有耶無耶にして置いて行ったんだった。これは修行がいつもの倍は厳しいぞ・・・。
シルの奴は自分も修理に関わって持っている知識が正しいかどうかの答え合わせがしたいって感じか?万魔図書の知識だけじゃ実際に飛べるかどうか分からないしな。
「飛行船修理の為のドッグも何とか再建したんですよ?褒めてくれても良いと思うのです。」
「本当かシル?資源が不足していて再建は難しいって言ってなかったか?」
「えぇ、ですが金属素材に拘らなければ何とかなる物ですよ?先に案内しましょう。」
「今度は離れないからねルドきゅん!」
どうやらドッグにこれから連れて行ってくれるらしい。ヒヒイロカネが空中大陸に在る訳だから修復は向こうでする事になると思うんだが?
「残念ながら向こうに飛行船が丸々入る場所は無くなったやん。」
「つまり空中大陸とここをもう1往復しないと駄目って事か。」
あと2回無敵技を使うとしたら時間も掛かるな。すぐに修復に入れない事に変わりは無いし、そのドッグを先に見せて貰うか。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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