第424話
シッカリ休憩も取ったし、マロの補給と洗車も終わった!バフの効果もしっかりと延長する事が出来たし、これで最初よりは安全に地上に戻れるだろう。
「という訳だから早速地上に戻るぞ。」
「地上に戻るのは良いのですけど、城塞首都の場所は解ってるんですわよね?」
「マップに表示されてるから問題無いぞ。」
マップにしっかりと城塞首都の場所が示されているからな、迷わないで済むぞ。
「マロちゃん又ガンバって下さいね。」
「きゅっ!!」
「ほえー、これが兄さんの飛竜やん?なんか他の奴と違う感じやん?」
今俺達が居るのは城の中庭だ。俺達は空中大陸の端から飛び立つつもりだったが、どうせ飛び立てば目的地まで一直線なのだからとシーラが中庭から飛ぶ事を許してくれた。
その中庭でクイナがマロと初対面だ。まぁ今は飛竜の形を取ってるから解りずらいが、元々マロは飛行用のバイクだからな。クイナはその違和感に気が付いて居るんだろう。
「嘘やん。飛行用の魔道具が飛竜になるなんて聞いた事が無いやん。うちを騙そうたってそうは行かないやん。」
「本当だって。マロ、メタモルフォーゼだ。」
「きゅっ!」ぐにょ~ん「ブルンッ!」
「・・・・・・・・・。」
飛竜状態だったマロがバイクに変わるとクイナが目と口を大きく開けて固まった。どうだ凄いだろううちのマロは!バイクの他に飛行機や潜水艦っぽくもなるんだぞ!しかも変身を後3つも残しているのだ!ふふん、驚きすぎて声も出ない様だな!
「・・・・そんな、嘘やん。これが残ってるはず無いやん・・・・。」
「ん?どうしたんですかクイナさん?ずっとマロちゃんを見つめて。」
「何か気になる事でもあったんか?」
「大丈夫です?」
「・・・・これ、爺ちゃんが作ってた単独飛行魔道具やん!最後の交易に乗せた目玉商品やん!」
そう言いながらバタバタと背負っていたバッグから何かを探すクイナ。どうでも良いがそんな小さなリュックにどれだけ資料を詰めてるんだ?どんどん紙が宙を舞うのにリュックの質量がまるで変っていないぞ?
リュックの中から飛び散る資料を拾い集めていると、目的の物を見つけたのかクイナが1枚の紙を持ってこっちに詰め寄って来た。
「これ!これやん!!爺ちゃんが飛行船技師としての生涯を掛けて、培ってきた技術を全て注ぎ込んで作り出した最高傑作!マジックキャンサー社が最後に作った飛行魔道具やん!」
突き出された紙に書かれていたのは、マロの元になったバイクの設計図だった。しかもそこにはお爺さんの物で在ろうメモ書きも書かれていて。「巨人族に頼まれていた飛行魔道具がやっと完成した!」と記されていた。後はチョコチョコとしたメモ書きも見える。
ほうほう、エーテル機関は従来の魔道変換炉と違って手軽に乗れるが出力が落ちるのか。だから大型飛行船の動力炉としては力不足だと。
拡張性を持たせて色々な場面に対応出来る様に考えてたんだな。アタッチメントを付け替えて空も陸も水中も行けるようにしてあったと。ここら辺はアタッチメントを付け替えるんじゃなくて、ミュータントクレイの能力で姿を変えるって方法でマロに受け継がれてるな。
うん?乗り手の運転方法を学習してスピードの出し過ぎと事故を防ぐ機能が付いてたのか。もしかしてこの機能がマロの人格の元になったのか?
これを注文した巨人種はかなり大きな奴だったんだぁ。オプションは複数の人が一緒に乗れる物を希望したのか。だからサイドカーが傍に置いてあったんだな。
「どうしてこれがここに在るやん!さっさと理由を吐くやん!!」
「ぐえぇぇぇ!すこし落ち着け!首を絞めたら話し出来なくなるだろ!マロはルシファーの格納されていた場所で眠ってたんだよ!それを俺が起こして使ってるだけだ!」
俺がマロを見つけた状況を間接的に伝えると、クイナは少しだけ掴み掛かっている腕の力を弱めてくれた。
「じゃあなんでこんな事になってるやん!爺ちゃんの設計だと変形機構は無かったやん!」
「ボスのドロップ品をバイクが取り込んで今のマロになったんだよ!俺だって最初はビックリしたんだからな!」
「魔道具に命が宿ったやん?それは画期的な事やん!爺ちゃんの作ったエーテル機関の弱点を克服する事が出来るやん!そのアイテムは何処やん!!」
「もう使っちまって無いんだよ!」
実はちょっと残ってるが、それはマロにずっと持たせてある。元々マロが飲み込んだミュータントクレイだからな。あわよくばもう1回進化しないかなぁとか思っていたりする。
「まぁまぁクイナさん落ち着いて。」
「どうしてそこまで興奮しているのですわ?」
「何か理由が在るの?」
「さっき言ってたエーテル機関の弱点って言うのが気になるなぁ。」
「慌てているのはそこに原因が在るんですか?」
リダ達が声を掛けてくれたおかげでクイナがやっと手を離してくれた。そして、設計図をじっと見つめて理由を語ってくれた。
「爺ちゃんが死ぬ前に言ってたやん・・・。自分の作ったエーテル機関は未完成だったって。だからもし、使っている人が居たらこれ以上使わないように言って欲しいって、そう言ってたやん。」
「Σ(゚Д゚;エーッ!」
「マロは完成してなかったの?」
「きゅっ?」
そうなのか?最初の起動からずっと問題無く使用できているし、異常が在ったって感じは一切してないんだがなぁ?そこまで焦るって事は結構危険な事なのか?
「具体的にはどのような問題が在るんですの?」
「初回起動にエーテル機関で生み出されすエネルギーが少なすぎるやん。それでうまく他の機能にエネルギーが回せず、運転学習機能が暴走状態に陥るやん。そしてブレーキを使っても機関部に停止信号が届かずにずっとスピードを上げ続ける事になるやん。暴走したエーテル機関はそのままエネルギーを生み出し続けて、行き場のないエネルギーは最後に大爆発を起こすやん。」
「・・・・・起こしてませんけど?」
うん?暴走状態?最初に起動した時に止まれなかったのはもしかしてこれの所為か?でもその後普通に停車出来たが・・・。あぁ!その時にはすでにドロップを飲み込んだ後だったか!つまりミュータントクレイがマロの不具合を補正した?つまりそれが無かったら俺はシア達と一緒に大きな花火になって居たって訳か!いやぁ、あの時ボスのドロップを取り込んでくれて本当に良かった・・・・。
「きゅっきゅ♪」
「わっなんやん!」
「今はもう大丈夫だって言ってるみたいだぞ?これまでも結構マロに乗って来たが、爆発する事は無かったしな。もちろん暴走状態にもなってない。」
「きゅっ!」
「・・・・・。もしかして、変化した事によってエーテル機関が完成したやん?ちょっと見せて欲しいやん!!」
「地上に戻ってからの方が良いのでは?」
「もうアインさん達には連絡入れちゃってますし・・・。」
「今頃、遅い!言うて待ってるんとちゃう?」
「怒ったら多分怖いですよ!」
「急がないと駄目だよパパ?」
「((乂°∀°))ダメダヨー」
おっとそうだった。すでにアインには飛行船技師を確保したってチャットを送ってるんだった。首を長くして待ってるだろうから早く戻らないとな。だからいそいそとリュックサックから工具を取り出している所悪いが、ここでマロを分解しようとするのは止めてくれないか?
「・・・・・解ったやん。でも絶対に見せて貰うやん!爺ちゃんのエーテル機関が完成してるなら、これからの飛行船にも使えるやん!」
爺さんの後を継ぎたいらしいクイナは、そう言って取り出していた工具をリュックに戻してくれた。うん、本当にどこに入って居るんだろうな?
さてクイナが落ち着いた所でこれ以上問題が起きる前にさっさと出発するぞ!実はさっきからシーラの奴が俺達に着いて来ようとするのを、メイドさん達が必死で止めてくれているからな。
さぁさっさと乗り込んでくれ!クイナはサイドカーに乗ってくれれば良いから。爺さんの傑作の乗り心地を楽しみにしててくれ。全員乗ったか?確認はオッケーっと。それじゃあ出発!!
「待ってぇあなた~!!」というシーラの叫び声を無視しつつ、俺達はやっと空の上に飛び上がったのだった。
さぁてここからが俺の正念場だ!スキル全開で行くぞ!
ルドがスキルを発動
万想の鎧・双璧・エリアガード・金剛巨人体・純潔スキルが発動
金剛巨人体の効果発動 ルドのHPを500ポイント消費し受けるダメージを50%カット ルドの残りHP500
スキルコンボ!!万想の鎧・双璧・純潔スキル発動により<守護者の鎧>が発動 ルドのHPが300ポイント回復 ルドの残りHP800 ダメージ-500ポイント
続いて万想の鎧・双璧・エリアガード発動により<盾の障壁>スキルが発動 ルドの周りにダメージ-2310ポイントの障壁が発生
続いて万想の鎧・金剛巨人体・純潔発動により<巨人鎧>スキルが発動 巨人鎧の効果により5分間無敵状態となる。
これで準備は整った!勝負は5分間の無敵時間であの嵐を抜けられるかどうかだな。まぁもし無敵時間で嵐を抜けられなくても盾の障壁で攻撃は受け止められるはずだ。だから安全第一で飛んでくれマロ。
「きゅっ!!」
マロのメタモルフォーゼ マロは飛行形態に変身した。
ゴォォォォォォォォォ!!シュバーーーーーーッ!!
飛び去って行くルド達をシーラは女王の顔に戻って見送っていた。
「お早い帰還を。それまでは私も頑張りますので。」
何かを決意するようなシーラの横顔を、鳥人種のメイドたちは心配そうに見詰めているのだった。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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