第423話

さて、地上に戻るにあたり目下の問題は何だろうか?そう、それは空中大陸を囲っている嵐と遥か上空から降り注ぐ隕石だ。今回は重要人物としてクイナにも俺達と一緒に来て貰う関係上、絶対に撃墜される訳には行かないのだ。その為に出来る事は全てやっておかないとな。


「という訳で料理バフ盛って、俺の防御スキル全開で行こうと思うんだがどう思う?」

「良いんじゃないですか?私も微力ながらお手伝いしますし。」

「守りの補助なら私も出来ますわ。」

「僕も隕石の方は手伝えると思います。」

「うちの銃で隕石撃落としたる!」

「出来ない事を言わないほうが良いと思うよお姉ちゃん。私はクイナさんを守ってますね。」

「( ・_<)┏━ バキューン」

「アイギスも頑張るって。シアもパパの手伝いするよ!」

「本当に外の嵐を抜けられるやん?」


クイナが心配そうにしているが、一度は抜けて来ているから大丈夫だ。今回は前回の反省を踏まえて準備万端にするってだけだから心配するな。


さて、料理を作るとして何が良いかを考えないとな。今回の場合なら攻撃力と防御力の上がるバフ料理が良いのか?隕石は攻撃組に迎撃して貰って、俺は嵐と風に対処する感じか。まぁ最悪隕石が抜けて来ても受けきれるだけの堅さは欲しいな。


まず攻撃力を上げるなら肉料理が一番効率が良いな。魚料理でも上がるがクランハウスで行ったバーベキューで殆ど使ってしまったからなぁ。防御力の方も考えないといけないな。手持ちには防御バフを掛けられる食材が1つも残っていない。カニやエビは食い尽くされてしまったからな。この大陸にナッツ系が在ったりしないか?このゲームだと大体硬い=堅くなるバフを持ってる事が多くて、ナッツ系は手軽に防御バフを付けられるんだが。


「それなら農場で収穫した木の実を持って行って良いですよ?」

「おっ?本当か?それどんな木の実だ?」

「果肉は渋くて食べられないのですが、種の部分が非常に硬く中身を食べるんです。栄養価も高くて重宝してるんですよ?ちょっとそこのあなた、あの木の実を持って来て下さい。」

「畏まりました。」


シーラがメイドさんに命令して持って来させた木の実は完全にクルミだった。これだったら軽く炙って砂糖を焦したソースに絡めてキャラメルナッツが出来るな。魔力と防御力のバフが付けられて良いぞ。簡単に摘まめるしな。


「お肉はどうするんですの?」

「肉は何も持って無いんだよなぁ。」

「残った魚介類で攻撃力が上がる物は無いんですか?」

「基本的に水中呼吸や水中移動、それに移動速度が上がる奴しか残って無いな。」


青魚に近い奴しか残って無いんだよな。赤身の魚だったら攻撃力も上がるんだろうが、こっちも品切れだ。


「この大陸ってお肉はどうしてるんですか?」

「飼育用の鳥を飼っていますけど?」


鶏肉は攻撃力と素早さに補正が掛かる感じだ。これから移動するしうってつけだが、その鳥肉、元住人とか言わないよな?鶏の奥さんが旦那さんを調理しようとしてたし・・・・。


「あぁ大丈夫ですよ。普通に地上から持ち込まれた家畜です。私達とは関係無いですよ。」

「うっしならそれも使うぞ!あっ代金はちゃんと払うからな?」


せっかくだし鶏肉とクルミを合わせた料理を作るか。材料が決まったら後は調理するだけ。この城には調理場って在るのか?あぁもちろん在ると、じゃあちょっと貸してくれ。ん?あぁ道具は自前で持ってるから大丈夫だ。心配してくれてありがとうなメイドさん。


さてクルミはすでに殻を剥かれた物を買い取らせて貰った。クルミの殻は割るのが本当に面倒臭いから楽出来て良かった。代金はどうしたんだって?ニコニコ素材払いだよ。虫の素材で払った訳だ。皆は金で払ってたがな!


まず最初に取り掛かるのは冷ます時間も考えてキャラメルナッツにするか。材料はナッツと砂糖と水で出来るぞ!


最初にナッツをローストする。フライパンとかでも良いが、150度のオーブンで15分やるとセットするだけで良いから簡単だぞ。


次に鍋に砂糖と水を2:1の割合で入れる。簡単に言うと砂糖30gを入れたら水は15g入れる訳だ。


後は中火に掛けて煮詰めていく。色が付いてトロミが出てきたらナッツを入れて混ぜ、冷やしたら出来上がりだ。


「ん~、甘くて香ばしくて美味しいです。」

「本格的なキャラメルを作るなら牛乳とバターを使うレシピが在りますわよ。」

「まぁまぁ、手軽に食べられるから良いじゃない。」

「ルド兄の手際良すぎひん?」

「作り慣れてるんだろうねぇ。」

「パパお代わり!」

「あら、思っていた以上に美味しいですねこれ。手が止まりません。」

「(´~`)モグモグ (゚д゚)ウマー」

「研究のお供に丁度良さそうやん?」


俺も食べたいんだから少しは残しておいてくれ!今気が付いたがなぜシーラとクイナも味見している?特にシーラは女王なのに毒見とか必要無いのか?あっメイドさん様にも作って置いとくから後で食べてくれ。さてお次は鶏肉料理の方だ。今回は簡単に炒め物にするぞ!


用意するのは鳥肉と玉ねぎにクルミ、後はピーマンだ。調味料として酒にごま油と中華出汁にニンニクチューブと塩コショウだな。


全ての材料を一口大にカット!!切り方?適当で大丈夫だ!気になるなら玉ねぎは薄切りピーマンは乱切りにして置けばいい。


酒とごま油は同じ量を混ぜ合わせ、出汁は混ぜた酒の3分の1の量を入れる。リアルなら顆粒出汁でOKだぞ!ニンニクと塩コショウはお好みだ!


中火で鶏肉の両面にしっかりと焼き色を付け、出て来た油はもったいないけど捨てる!その後玉ねぎを入れて透明になるまで炒め、ピーマンとクルミを投入。ピーマンに火が入ったら調味料をぶち込みさっと絡めながら強火で仕上げの炒め!!これで簡単鳥とクルミの中華風炒めだ!ピーマンをパプリカにしてもうまいぞ!


「これはご飯が欲しくなります!」

「鶏肉の油を取った事で具材にタレがしっかりと絡まっていますわね。」

「玉ねぎとピーマンも美味しいですね。」

「クルミのカリカリが良い感じや!」

「鶏肉とかを一度油で揚げるのも美味しそうです。」

「パパお代わり!」

「意外と味がシッカリしていて美味しいですね。」

「(´~`)モグモグ (゚д゚)ウマー」

「共喰いじゃないと解っていても罪悪感が在るやん・・・。」


皆の評価も上々だな。クイナとシーラに関してはもう何も言うまい。食べちまってるんだから今更だしな。メイドさん用のも置いといて俺もさっさと食べるぞ!


巨人実食中・・・・・。


ふぅ、ご馳走様!さて、バフの方はどうなったかな?


被ダメージ-1000ポイント

与ダメージ+400ポイント

移動速度上昇

状態異常耐性

疲労回復

血液サラサラ

アンチエイジング


?こんな効能在ったか?後半3つの効果はリアルでの食材の効果だったはずだが、ゲームの中でも効果が在るのか?


「じょじょじょ、女王様!?」

「そのお肌は一体!?それにお化粧で隠していた目の隈が消えてます!」

「?どうしたのかしら貴方達?そう言えば心なしか体が軽いような?」

「女王様こちらをご覧ください!」

「まぁ!!」


うむ、俺にはどう変わったのか分からない。だが同じ女性目線でシーラの肌は若返ったようにピチピチになったらしい。目に隈が在ったって事は睡眠もしっかり取れて無かったんだろうか?最初に在った時よりも血色が良くなっている様にも見える。もしかしてこれが最後のバフの効果か?


「元々若々しかった姿に磨きが掛かってます!」

「つまりこれを食べれば私達も若返る事が・・・。」ゴクリッ

「日々の疲れも取れて美容にも良いなんて。」ギロリッ

「あー、何か企んでいるところ悪いがそれはバフの効果だから時間で切れるぞ?多分だが。」

「「「「そんなぁ~・・・・。」」」」


シーラとメイドさん達が肩を落として落ち込んでしまった。仕方ないじゃないか、食べ物のバフは効果時間が決まってんだから。それに1回食べただけで効果が持続する何てうまい話しはリアルでも無いぞ?ちなみにクイナは研究疲れが取れたと喜んでいた。


「まっそういう事ですわね。」

「ふぁ~っ!食べたら眠くなったから少し休憩しましょうか。」

「ふふふ、これでバフ効果の時間は伸びるんやで?つまり若返り効果も伸びるって事や。」

「しっ!余計なこと言ったらこの寝具取られちゃうよお姉ちゃん。」

「寝る前にしっかりと歯磨きしないと駄目だよ皆?」

「パパお代わり!」

「(`・д・´)コラ、ヤメタマエ!!」


こっちはこっちでちゃっかりホーラの寝具を使ってバフ効果を延長しようとしてるし・・・。かく言う俺も自分の分を出して横になろうとしてるんだけどな?何が在るか分からんしバフ効果は伸ばしておいて損は無いからな。


「では私もあなたと一緒に「<盾の障壁>!じゃっ!お休み!!」もうあなたったら恥かしがり屋さんなんだから。」


危ない危ない。身の危険を感じて障壁を張って良かった・・・。あっしまった!マロにも料理を食べさせないと!約束してた洗車もやってやらないとな。それが終ってから休むとするか。そう言えばクイナの奴は・・・いつの間にかソファーで寝てら。出発する時に起こしてやればいいか。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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