第415話

空中大陸を収める女王の正体がALO最初の魔物暴走で親父に倒されたクイーンレイシアだと判明した。いや一体どうなってるんだよ!!


「それは聞くも涙、語るも涙のお話なのです・・・・。」

「パパは知らないよね。長い時間を生きてる植物は死んだときに精霊になる事が在るんだよ?多分ママはじぃじに倒された時に精霊になったんだと思う。」

「もうシアったら、すぐに正解を言ってしまっては面白く無いじゃないですか。」


プンプンと怒りを露わにする女王。いや、そんな簡単に精霊になるか?シアの場合は特殊進化して精霊になったんだぞ?特別なアイテムが必要なんじゃ無いのか?そもそもこいつは暴食花だから村を襲ったんじゃなかったっけ?


「あれは世界の歪みの影響を受けて暴走しただけですよ。特段村の人を食べたいから襲った訳じゃ無いんです。だって森には沢山獲物が居たでしょう?」

「もしかして女王様は暴走状態で村を襲おうとした所を止めて貰ったから感謝しているのですか?それでさっきルドさんの顔を見て「やはりあなたでしたね。」と言ったんですね?」

「そうです。それに私を倒すときに使われたスキルが家族を思う気持ちから出来ていた物でした。その攻撃を受けた私はその家族愛に撃たれ、人を愛する事を知りました。そして死の間際に、最後までボロボロになりながら私の事を必死に受け止め自分の命を捨ててまで他者を守ろうとしたこの人の事に好意を持ってしまったのです。何度でも諦めずに私の攻撃をその身に受け、私の全てを受け止めきったこの人に・・・。」


いやまぁあの時は旅人だから本当に死ぬ事は無いって思って頑張ってたからな。っていうか女王様語りながら頬を染めてクネクネするな!!俺あんたが死んだ原因を作った人物なんですけど?


「それがどうしました?精霊となる為にそろそろ植物の体を捨てる時でしたのでその手間が省けて喜んだのですが?それ所か人を愛する気持ちを教えて頂いて大変感謝しているのですよ?」

「普通の精霊は愛をしらんっちゅう事なん?」

「そうですよ。元の体を捨て精霊になった者は元の体の性質を強く引き継ぐのです。暴食花で在った私があのまま精霊と成れば、大喰らいで怠惰なおデブ精霊になっていたに違いありません。今ほど力も強く無かった事でしょう。」


ほえ~。このゲームの精霊ってそういう扱いなのか。シア以外の精霊に出会った事が無いから全然知らなかったな。


「体を捨てるって事は特殊進化直前だったって事なんですかねぇ?」

「女王様自身もそう言ってますし、間違いないですわね。樹齢も相当長かったんじゃありませんの?ルドさんの話ではかなり大きな花だったと聞いてますわよ?」

「そう言えば村の柵に使われていた蔓はどれもこれもとても強かったですねぇ・・・・。攻撃を全て受け止めて自己再生もする蔓何て強すぎますもんね。あれは長い間成長を続けたからこその力だったんですね。」

「(@_@;)」

「まさかこんな所でママに会うとは思わなかった。又会えて嬉しいよママ!」

「ふふふ、久しぶりの親子の再会ですよ!こんなに大きくなって・・・。パパの言う事ちゃんと聞いてますか?ご飯はちゃんと食べてますか?」

「うん!!パパに沢山食べさせて貰ってるよ!パパの料理はとーっても美味しいんだよ!」

「まぁまぁ、それじゃあ後でママにも作って貰いましょう。」


女王様に抱き着くシア。女王の方も嬉しそうにシアを抱き上げている。うん、良い話だなぁ・・・・・。ってまだ聞きたいことは残ってるんだって!


「待て待て待て!女王様があのクイーンレイシアだって言うのはまぁ一旦納得しよう。シアが後継者だっていうのは何でだ?それとどうして地上で死んだはずなのにここにいる?」

「後継者なのは文字通りこの子が私の子供だからですよ。まぁ結界を通り抜けた際に同族が来た事は知っていましたが、直接会ってやっと娘だと解ったんですけどね?後継者が必要な理由ですが、空からの攻撃をずっと受け止め続けた所為で私の力がかなり弱って来ているのです。このままでは結界の維持も出来ずにこの大陸は近々墜落させられてしまうでしょう。そうなると地上にも多大な影響が出てしまいます。ですからこの空中大陸を守るというお役目を我が娘に託したいのです。」


確かにこれだけの質量を持った大陸が地上に落下したら、たとえしたが海だったとしても津波が発生して海岸沿いは大きな被害が出るだろう。陸地だったら言わずもがな、そこに在るものは全部潰されちまうな。


「ここに居る理由ですが、地上を彷徨ってあなたを探していた時に蘇った空神様から空中大陸に植物を広げて欲しいとお願いされそのまま居ついたからですよ。ここの植物も又、私の子供同然ですので見守って行きたいと思ったんです。」


おう・・・。そう言えば空中大陸を構成した土地は荒れた大地や岩塊が多かったもんな。それなのに今の空中大陸には植物が広がっているのを不思議に思っていた。その理由が女王様が神様から頼まれて動いてたからって訳か。うん?俺を探して地上を彷徨ってた?俺ってほとんど城塞都市に居たはずだが?


「愛を知った事で生まれ変わるのに時間が掛かってしまい、私が今の状態になった時にはすでにあなたは世界中を飛び回ってましたよ?ずっとあなたが活躍している場所を聞いて移動している最中に空中大陸にスカウトされたんです。その所為で今まで一度も会う事が出来ませんでした。ですから今あなたが来てくれた事を心から喜んでいるんですよ?」


俺が世界中を飛び回っていた時と言えば・・・。王都に行けるようになった時ぐらいか?つまりシーラ王女はそれくらいの次期に生まれ変わったのか。それで俺を探している途中で空神にスカウトされて空中大陸に来たと。


「それで自分が育てた植物たちを守る為に、厄災に閉じ込められた空中大陸を結界で覆った訳だな?」

「この地に住む人々の事も空神様からお願いされてましたよ?ですから全てを守る為に結界を張ったのです。私達植物の精霊は癒しと成長、そして守りに強いですから。シアも成長すれば同じような結界を張れるようになりますよ。あなたと一緒に居るのも守りに強いという部分で相性が良かったからですもの。」

「いやシアの場合捕食や攻撃の方が得意だぞ。思いっきり攻撃に偏っている気がするんだが?まぁ癒しの使えるが。」

「それはあなたと一緒に居て貴方と一緒に戦いたいと強く願って成長したからです。さすがパパですね。娘の可能性を信じて将来の選択肢を広げる何てとても素敵だと思います。ますます私の伴侶に相応しい!」

「だぁー抱き着くな!くっつくな!胸を押し付けるな!!」


眼をキラキラさせて抱き着いて来るんじゃないよ!それに蔓を体に巻き付けて来るな!言外に逃がしませんよって言ってるだろそれ!!部屋の中に俺達以外が居なくて本当に良かった・・・。こんな所を見られたら既成事実として本当に結婚させられかねん!


「つまり、厄災をどうにかすれば結界を解除出来て。女王様の力も回復出来るんですよね?」

「えぇ、そうですね。」


おっどうしたリダ?さっきからずっと黙ってると思ってたがこの暴走女王を止める手が思いついた?だったらさっさと言ってやってくれ!そして俺を助けて!


「結界を維持する事が無くなれば、シアちゃんが後継者になる事も無く。ルドさんがあなたと一緒にならなくても良いんですよね?」

「まぁそうですね。それが出来れば、ですが。」


ふむふむ、つまり厄災を倒しちまおうって事か?でも俺達だけだとあの嵐の相手は無理だぞ?それに目視していないがもっと上空に隕石を落してる奴が居るんだ、そっちはどうするんだ?


「だったら飛行船技師を紹介してくれませんか?女王と言われているんですから所在は知っているでしょう?技師さえ紹介して下さればそれですべての問題が解決します。」

「あらあら、そんなにこの人を取られたく無いのかしら?」

「えぇ、それはもう。」


なぜか途中で女王が俺の体を離してリダと内緒話を始めた。何か2人の眼から光線が飛んでバチバチと火花が散っているように見えるんだが?なぁ皆は2人がこうなった理由解るか?


「リダさんがこんなに束縛系だとは知りませんでしたわ・・・。」

「そう?これくらいならルゼダもやってると思うよ?」

「私はそんな事してませんわ!」

「ええなぁ、こんなに思われてるなんてルド兄は幸せ者やなぁ。」

「本人全く気が付いて無いみたいだけどね。それにルド兄さんを好きになる人は皆癖が強いよね。ストーカー気質と言うか肉食系?どんな手を使っても逃がさない!って人が多いと思うんだけど。どう思うお姉ちゃん?」

「変な女に好かれる星の元に生まれたんちゃう?傍から見てる分には面白いからええやん!」

「早く誰かとくっ付けば落ち着くと思うだけどなぁ・・・。あっでも1人を選んだら後ろから刺されちゃいそう。やっぱり現状維持が良いのかなぁ。」

「朴念仁なの!」

「(`・д・´)コラ、ヤメタマエ!!」


おっおう、こっちはこっちで内緒話をしてるな。・・・・・・なんか俺だけハブられてないか?ちょっと悲しいんだけど?


「良いでしょう。問題を解決して下さると言うのであれば飛行船の技術を研究している人を紹介します。で・す・が!万が一を考えてこの人とシアは私の方で預かります!」

「なんでそうなるんですか!!」

「貴方の策がうまく行かなかった時の保険です。あなたが空の脅威を排除する準備をしている間、シアには私の技を継承して貰うだけですよ。その間シアが寂しくないようにパパにも協力して貰うのです。それともあなたは娘と父親を無理やり引き離しても良いと言うのですか?」

「ぐぬぬぬぬ、さっさと紹介して下さい!すぐに空の問題を解決して見せます!!」

「ふふふ、そう焦らずともゆっくりして下さっても良いのですよ?あなたのお手並み拝見ですね。」


おっと、話が纏まったのかリダが女王さんから手紙を受け取っている。たぶんあれが飛行船技師の紹介状なんだろうな。そして・・・・、なぜか女王さんが「もうあなたったら、いつまでも女王と呼ばずにシーラと呼んで下さい。」・・・・シーラが俺の傍に来たんだが?


「待っててくださいねルドさん!その食人植物からすぐに助けだして見せますから!!行くよ皆!」

「はっはいですわ!」

「ルドさん頑張って!!」

「ルド兄の事頼むでアイギス?」

「2人の事しっかりと頼むね?」

「(`・ω・´)ゞ」

「えっ?はっ?ちょっ?なんで俺を置いて行くんだ!一緒に連れてってくれ!」

「あなたはこっちですよー。うふふふふ、シアは妹か弟どっちが欲しい?」

「?どっちでも良いよ?」


なんか笑いながら不穏な事言い始めた!皆ヘルプ!ヘループ!!こいつからは師匠と同じ匂いがするから助けてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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