第413話
やっと王都の城門に辿り着いた・・・・。出来るだけドロップ品を集めながら進んでくるのがこれほど大変だとは思わなかったぞ・・・。
まず敵の数が多い!!敵が虫タイプだからなのか群れを作っているパターンが多すぎる!大体がシアの<爆裂種子>で吹き飛ばせるが、それだとドロップ品も消えちまうってんで地道に狩りをしていたんだよ。具体的にはリダが手加減スキルを入れた攻撃をして、アイギスが止めを刺す形でな。
<盾の障壁>に無数の虫がへばりつく光景は鳥肌物だったぞ。カサカサ動く足と動く腹部をずっと見せつけられて気持ち悪くなったし・・・。
まぁでも障壁に張り付いてくれたおかげで中から攻撃し放題だったからな。色々と素材を集める事に成功したぞ。
大将兜虫の角と甲殻に体液・暗殺天牛の顎と甲殻に体液・音速鍬形の顎と甲殻に体液・従軍蟻の蟻酸と甲殻に体液・爆音蝉の腹部と羽に体液とまぁ色々とな。えっ?飛べない奴が混じってるじゃないかって?蟻は羽蟻だったんだよ。
まぁドロップは全部リダ達が持っているんだけどな!!俺?俺は敵を倒せないからドロップ何てねぇよ。シアとアイギスは持ってるけどな。・・・・・こっそり分けて貰ってるのは内緒だ。本当に良く出来た娘達だよ・・・・クスン。
さぁそんな事は良いから王都で情報収集だ!!
「ルドさんがずっと1人で百面相してます。私ちょっと心配になって来ました・・・。」
「いつもの事だから大丈夫ですわ。ほらルドさん!早くしないと門が閉まってしまいますわよ!」
「マロに乗って空を飛んできたから目立ってるんですよ僕達。これ以上何かしたら王都に入れて貰えないかもしれませんよ?これ以上注目を集めないようにしてくださいよ・・・・。」
「そら無理やな!だってルド兄は巨人やもん。目立つなちゅう方が無理あるで?」
「確かにどこに居てもルド兄さんは目立ちますもんね。」
「パパは目印に丁度良いよ!」
「(((uдu*)ゥンゥン」
この大陸だと巨人は居ないみたいだしな。しょうがないから誰かが迷子になったら目印になってやるか。
さて、目の前の城門に目を向ける。上空から見た感じ城塞首都と同じ規模の城壁に囲まれた都だ。だが、城塞都市と違って内部にも壁が在って東西南北に分けられているみたいだな。その中央には高い塔を備えた城が聳え立っていた。パッと見だが、東が商業区で西が住居。北が富裕層で南が庶民層って感じに分かれてる。そんでもって庶民層の区画の近くに軍の駐屯地らしき物も見えたな。
まぁそんなことしなくてもマップにどこに何が在るかが表示されるんだけどな。なんてことをつらつらと考えていたら門の所に辿り着いていた。
「なっなんだお前等は!一体何者だ!」
「そこで止まれ!怪しい奴め、このエアリオンに何用だ!!」
門の所に居た兵士達に槍を向けられて止められました。はいはいお約束お約束。今迄こっちを見ながらも一緒に並んでいた人達まで露骨に距離取り始めたし、最悪戦闘になるの確定じゃねぇか。もうさっさと許可証出しちゃうか。
「ちわーっ!俺達地上から来たんですけど、飛行船技師を探しにここに来ました!別に争ったりしないので槍を降ろして下さーい。」
「ちゃんと最初に訪れた村でレースに勝ち、入場許可証も貰ってますわ。これが許可証になりますわ。」
身長を徐々に大きくして城壁と同じくらいのサイズになる。20メートルの城壁って低く無いか?いや高い方か。こちらは別に争う気は無いが、あっちがどう出るか分からないからな、体を大きくして下手に動けないように威圧する。
その間にルゼダがクリンを伴って門番の所に行き、許可証を出してくれた。さてさて、これですんなりと中に入れれば良いんだけどなぁ。
「・・・・ふむ、確かにこれは許可証だ。貴様等どこから盗んだ?」
「最初から盗人扱いですか。そんなに簡単に偽証出来るのですかこの許可証は?ちゃんと僕達の名前が入っていると思うんですが?」
「簡単に偽証出来るならこんな許可証全く意味が在りませんわね。それに許可証自体を疑うという事は、自分達は許可証が偽物でも本物かどうか確認が取れない無能な兵士だと言ってる事はお分かりですの?」
「ぐっ!」
「そんな無能な兵士さんにちゃんと説明してあげますわ。この許可証はきちんと村の守護をなさっていた兵士の方から譲り受けた本物ですわ。もちろん確認を取って頂いて結構です。それでも確認も取らずにこの許可証が盗まれた物であるというのなら、私達が盗人であるという証拠を貴方達に提示して頂かなくてはなりませんが?」
おっと、あんまりな対応にクリンとルゼダが軽くキレてるな。この2人実は一番怒らせたら怖いんだよ。何てったって2人が理詰めで迫って来るから。俺もなぜか歳の差婚について小一時間話し込まれたから気持ちは解るぞ!えっ?話の内容が全然違うじゃないかって?まぁその話は良いんだよ!それよりちょっと暴走気味だから2人を止めないとな。
「この2人の言う通り確認して貰っても良いぞ?この先の村に居る梟の隊長からレースの景品として貰った物だ。決して盗んだ物じゃない。」
「・・・・少し待て。確認を取る。」
頭上から覗き込むようにそう言われて、門番の片方が門の横に在る扉に入って行った。あぁそこが詰所になってるのか。あっちなみに兵士達はカラスと鷹だぞ。なんとなく頭脳担当と戦闘担当で組んでいると解る配置だ。中に入って行ったのはもちろんカラスの方だな。
「確認が取れるまでそこで待て!偽証だったら唯じゃおかんからな。」
「はいはい、大人しく待ってますよ。2人共ちょっと離れるぞ。他の人が入り辛いだろうしな。」
「解りましたわ。」
「すみませんルドさん、僕達熱くなっちゃって・・・・。」
「まぁ一方的に盗人呼ばわりされたんだから怒るのも解る。そのお陰と言っちゃなんだがきちんと確認取ってくれているんだから待とうじゃないか。」
という訳で俺達は門の横に避けて確認が取れるのを待つ。その間に兵士との遣り取りを遠巻きに見ていた他の人達が鷹に確認されてどんどん中に入って行くな。
それにしてもこの城壁決して高い方じゃないのに何で誰も空から入らないんだ?まぁそんな事をしたら防犯上まずいのは解るが、それが飛べる奴なら入りたい放題だろうに。
「パパ、ここにも外と同じ結界が張ってあるよ?」
「そうなのか?」
「うん!アイギスも見えてるよね?」
「(・∀・)ウン!! (・∀・)つ〇」
「なるほど、城壁に沿うようにドーム状に結界が在るのか。それで誰も入れないんだな。」
「これも女王様が張っているんでしょうね。」
「外と中に2枚も結界張るとかその女王さんは凄い力持っとるなぁ。」
「どんな人なんだろうね?」
そんな事を話しながら待っていると、門の内側が何やら騒がしくなってきた。門番の鷹も門の内側に向かって敬礼してるし、だれか偉い人でも来たのか?おっ詰所からカラスが出て来たな。
おん?カラスの兵士が何やら門の中にペコペコ頭を下げてるな。こりゃ確実にお偉いさんが来てるな、慌てて俺達の方に文字通り飛んでくる。
「きききき、貴様等一体何をした!!」
「いや何もしていないが?そんなに慌てて一体どうした?」
「じょじょじょっ。」
「何だ?漏らしたか?」
「違うわ!!女王様が来られている!貴様らに会いにな!!」
おっとー?噂していた女王様のご登場ですか?厄介事の匂いしかしねぇ・・・・。
「絶対に!ぜーったいに粗相なんてするなよ!女王様の機嫌を損ねたらこの大陸は終わりなんだからな!!」
「我儘な女王様なんですの?」
「皆に持ち上げられ過ぎて性格捻じれたん?」
「高飛車で自分の思い通りにならないと暴れ出す人なのかなぁ?」
「物語とかだと良くあるよね。」
「ツンデレだったら救いは在るんですけどねぇ。」
「貴様等不敬だぞ!女王様はそれはもう素晴らしい方だぞ!本当だぞ!!」
必死に言う所が又怪しい。
「怪しぃ~。」
「( ¯•ω•¯ ) ジトー」
「うっ!本当だからな!だから不敬な真似は・・・あぁ!もう来てしまわれた!!」
カラスが慌てた様子で門の方を振り返っている。俺達もそれにつられて門の方に視線を向ける。
そこには女性が立っていた。眼を瞑ったままこちらに歩いて来る。白いワンピースを身に纏い、緑色の長髪を風にたなびかせ、腰や肩、そして頭に緑の蔓を巻いている大人の女性が。その女性の背中には10枚の透明な羽が光りを放ちながら広がっていた。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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