第409話
ルドさんを追い掛ける私達はやっとフンコロガシからの爆撃を抜け、次のコースである洞窟が見える場所まで飛んでこれました。他に飛んでいる人達もどんどんあの洞窟に入って行きますね。
「やっと鼻が慣れてきました・・・。」
「早くお風呂に入りたいですわ・・・・。」
「絶対に匂いが付いてるよねこれ。」
「こんな事なら消臭剤をルド兄に作って貰ったら良かったなぁ。」
「そこはルド兄さんに頼るんだねお姉ちゃん?」
さて、酷い目に遭いましたが合体状態で進めるのはここまでの様です。洞窟の中は鍾乳石が林立していて、小回りの利かない状態では先には進めないでしょう。
「ほな分離して一緒に動く感じやな!」
「そうですわね、何か在っても一緒に居れば対処出来ますわ。」
「私とベニちゃんはグライダーをインベントリに入れてから行きますね。」
「どう考えても小回りが利く方が良いですもんね!」
「それじゃあ洞窟前で集合と言う事で。」
ルリちゃんがグライダーの合体状態を解除し、私達はそれぞれで空を飛び始めました。私とベニちゃんはスキルの力で自力で飛行し、グライダーをインベントリに入れます。ルドさんに作って貰ったレモングミを口に放り込みながら、私はスキルを発動させて風を身に纏います。
「良い感じですね。<道術>スキルは色々と使えそうです。」
「リダ姉お先に失礼します!」
私がスキルの使用感を確かめていると、ベニちゃんが先に空を駆けて行ってしまいました。私も負けられません!!
ベニちゃんを先頭に私、ルリちゃん、クリン君、ルゼダちゃんが続きます。洞窟の中は思ったよりも暗くなく、壁に生えたヒカリゴケの様な物が照らしてくれています。
「目の前に滝が在ります!」
「鳥人さん達は突っ切ってますね。ショートカットでしょうか?」
「回避するしかないで!グライダーで水なんか受けたら重みで飛べへんなる!」
「飛べなくなるならまだしも勢いに負ければ墜落ですわ。」
「幸い横に逃げられる道が在るね。そっちに行こう。」
私達はクリン君が見つけた脇の道を抜けようとします。ですがそこで思わぬ強風に見舞われました!
「うわっ!吸い込まれます!!」
「壁に穴が開いてますわ!この穴はもしかして・・・・。」
「KRYYYYYYYYYY!!」
そこには大きな花が咲いていました。穴だと思っていた場所は口だったみたいです。牙がずらりと生えて粘液を垂らしながら大口を開ける花の化け物です!
「名前はクイーンレイシア!HPは10万ポイント!」
「それってシアちゃんの元の種族では!?」
「足元に小さいのも居ます!」
「何て事ですの!ここはこの花達の巣なんですわ!!」
「KIIIIIIIIIIIIII!!」
クイーンレイシアが私達を捕まえようと蔓を伸ばしてきます。どうやら吸引と蔓の攻撃を同時には行えない様で、風の影響は無くなりました。
「今なら離れられます!」
「先に行きますわ!」
「うちも先に抜けるで!」
「リダさんとベニちゃんも早く!」
ドォーン!!
ボーッ!!
ボガーンッ!!
それぞれの推進機構を発動させて3人は早々に離脱して行きました。その間私とベニちゃんはクイーンレイシアの攻撃を引き受ける役をしています。これも空中で自由に動ける私達しか出来ない役目です。
「リダ姉も先に行って下さい!」
「でもベニちゃんが!」
「私なら大丈夫です!!“チャージ”出来てますしたから!!」
そう言ったベニちゃんの手には厄喰いが握られていました。そしてその砲口からはバチバチと紫の稲妻が走っています。
「・・・・解りました、先に行きます!!」
「はいっ!!」
纏っている風を足に集め、私は速度を上げて敵の攻撃範囲から離脱します。私が安全圏に逃げたのが解ったのか、ベニちゃんが照準をクイーンレイシアに合わせました。
「KRRRRRRR。」
「バイバイお花さん。」
ドォーーーーーーン!!
厄喰いがその身に貯めたエネルギーを開放して洞窟が一瞬光りに照らされます。この攻撃は決してあのクイーンレイシアを仕留めようとして放った物ではありません。この砲撃は離脱用、現に空中で踏ん張る事が出来ないベニちゃんは高速で私の横を通り抜けて行きました。
砲撃を受けたクイーンレイシア達も突然の事に動きを止めています。あれがルドさんが1人で止めた魔物暴走のボス・・・・。いつか倒して見たいですね。
スピードを上げて飛び続けていると、先に行ったグライダー3機とその後ろを走るベニちゃんが見えました。無事に追いつく事が出来ましたね。
「遅いですわよリダさん!やられたのかと思って心配しましたわ。」
「ベニちゃんが予想より飛んで行ったんで、追いかけて来ないか様子を見てたの!」
「ごめんねリダ姉ちゃん。やり過ぎちゃった。」
「そう言えばベニちゃんMPは大丈夫なの?砲撃を使ったって事は0になったんじゃないの?」
「ルド兄に貰ったグミ食べたから大丈夫!MPポーションも飲みました!」
「ほな先行こか。」
無事に窮地を抜けた私達は先を急ぎます。私達を追い越す鳥人や、逆に私達に置いて行かれる鳥人さん達の様子を見つつ、順調に洞窟の中を進んで居ました。すると、洞窟の奥から鳥人の男性の声が響いてきます。
「あっ♡あっ♡もっと、もっとー・・・・。」
ニタァ
「絞って、もっと絞ってぇ♡」
何を絞るんでしょうか?様子を見ようとしても何が在るのか全く見えません。男性の声が響いているだけです。もしやこれはホラーなのですか?お化けでも居るんですか?
「蜘蛛が居ますわね。」
「ビキニを着たお姉さんが乗ってるよ?」
「あれはアラクネだね。服を着てるのは・・・・多分年齢制限の措置かな?」
「つまりうちらには見えへんけど、ここでエロい事が行われてる?」
「・・・・たぶん?」
その言葉を聞いたらこの洞窟が凄く汚らわしいと感じる様になりました。いや、興味は在りますよ?在りますけどそう言うのは好きな人としないといけないと思います!!
「さっさと抜けてしまいましょう!!」
「そうやね。何か攻撃もされとるし。」
「?私達には攻撃飛んで来てないよ?」
「男性しか狙って無いからですわね。」
「わっ!ちょっ!なんで!僕!ばっかり!」
「クルルルル!!」
クリン君がアラクネの糸に狙われまくっています。もしこれで捕まってしまったら・・・・。もしやウ・スイ本のオネショッタァなるものになるのでしょうか?うーん、仲間をそんな目に合わせられませんね!
「という事で私達でガードです!!」
「ぱっと見クリンはんのハーレム状態やな。」
「付き合ってるのは私だけですわ!!」
「もちろん皆解ってるよルゼダ姉。」
「ご迷惑お掛けします・・・・。」
クリン君を囲うように飛ぶ私達。アラクネさんから凄い目で見られていますが、仲間を護衛しているだけなので。私にはルドさんが居ますから勘違いしないように!!
さて、出口が見えています。さっさとここを抜けてしまいましょう。
光りを潜り、外に出た私達が見たのは聳え立つ崖でした。どうやら出口は上空の様です。そこにはぽっかりと穴が開き、青い空が見えています。
「上昇しながら合体すんで!1つ分の出力やとこの崖超えるの大変やからな。」
「短い間だけの単独飛行でしたわね。」
「この後は合体していた方が都合が良いし仕方ないよ。」
コースとしては上昇して結界の傍まで行った後、急降下の後に村まで一直線に飛ぶだけです。それならば合体したほうが推力も上がってスピードが出ます。
「それでも出力心配やから、ベニとリダ姉は一番後ろで押してくれへん?」
「いいですよ!!」
「私も頑張ります!!」
「よっしゃアホウドリに合体や!」
私達が取りだしたグライダーを使ってアホウドリが合体。私とベニちゃんはアホウドリを後ろから押し始めます。ルゼダちゃんの聖火とクリン君の爆弾もかなり威力を出してくれていますね。
「さぁ一気に昇るでぇ!!」
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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