第403話
という訳でログインで御座る。おっと、すでにルリとベニが来ていたな。
「2人共早かったな。」
「鍛冶場も無いのに道具作るんやったら時間掛かるやろ?だからログインできるようになって速攻入ったんよ。」
「とか言っていますけど、どうやって鍛冶場を作るのか気になって落ち着かなかっただけなんですよー。」
「そんなのバラさんといて!恥ずかしいやんか!」
ちなみに、俺達は念のために持ってきたテントを使ってログアウトしたぞ。周囲の警戒はシアとアイギスに任せていた。俺達が起きた事を知って2人が戻って来たな。
「お帰りパパ。異常は無かったよー。」
「(`・ω・´)ゞ」
「おー、2人共ありがとう。さて、リダ達が来る前に準備しとくか。俺とベニ以外のメンバー全員に作りたいしな。」
さてここで疑問に思った人が居るだろうか?そう、アイギスはどうすんねんと。ふふん、アイギスは友魔なんだから鈴に入れて一緒に入れば問題無い!本来はシアもそうなんだが、向こうさんが王族と勝手に勘違いしているので最大限それを利用するのだ!まぁ後が怖いが勝手に勘違いしているのは向こうだし、シアはちゃんと違うよと否定しているのだから問題無い。ごねる様だったらその時の音声を録音しているからそれを流してやる。
「っと、そんな事は良い。材料は持ってるよな?」
「鉄くらいしか無いけどインベントリに入れてんで。インゴットで3ストック分在るけど?」
「297個ってどれだけ買い込んだのお姉ちゃん!!無駄遣いは駄目だって常々言ってるよね!!」
「必要なんや!!これから色々と作るのに必要なんや!だから堪忍して!!」
「まぁまぁ、おかげで材料に気を使う事無く作業できるんだから許してやれ。」
作るのはクリンが持っていたグライダーの改良版だ。その改良案はどうするんだって?それぞれのスキルに合わせて推進装置を作る感じだな。休憩しながら色々と考えて来たんだぞ?
「グライダー作るのはええんやけど、金属しかここには無いで?翼はどうするん?」
「それなら大丈夫だ。アイギスー。ジャイアントウルフの皮出してくれー。」
「( ´ ▽ ` )ノ (ヽ^◇^)ヽ□」
「めっちゃ大量に在るやん!!」
アイギスを呼んで皮を出して貰ったら茶色い山が出来た。ドロップ品は毛皮と皮に別れている親切設計何だよなぁ。毛皮が欲しくて狩りをしてるのに皮が連続でドロップした!!何て嘆きのチャットも在ったが・・・・・。あぁこの皮は鞣し加工もばっちり終わってるぞ。
「俺が修行中に2人が狩った奴だ。使っても良いんだと。」
「一杯取り過ぎて買取拒否されちゃったー。だから使ってー。」
「(((uдu*)ゥンゥン」
これなら翼としても十分使える。なんてったって防具になるくらい丈夫な革だからな。引っ張る力にも強いから早々破れる事も無いだろう。
「翼はこれで良いとして炉はどうするんです?お姉ちゃんは窯って言ってましたけど。」
「せやで!屋外で使うなら大型の炉なんて用意出来へんやろ?だから窯かと思ったんやけどそれも簡単に用意出来へんやん。」
「それはもちろんこういう風に作る。炉でも行けるぞ?<地面操作>」
俺が地面に手を触れて形を念じると、地面がボコボコと動き出して段々と形を作って行く。すると立派な煙突を備えた大きな炉が姿を現した。
「形は立派やけど耐熱性はどうなん?」
「ふふふ、地面操作は地面に含まれている物なら何でも操れるのだ。つまり、地面にさえ含まれていれば金属でも余裕で操作できる!!」
「「「なっなんだってー!!」」」(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー!! (`・д´・ ;)
まぁ操作できると言っても地面から切り離せない関係上こういう大型の物で地面に設置したままに出来る物しか作れないがな。パーツを作って地面から切り離せば良いだろうって?それが出来たら苦労はしない。地面から切り離した時点で塵になって地面に戻ってっちゃうのよこれ。“地面”操作なんでね、地面じゃなくなったら効力が消えちまう訳だ。後俺攻撃力持ってる系統は作れませんので。少しでも尖ってたり攻撃に使えたりしたら呪いで結局塵になっちゃうんだ・・・・。
「本当だ!炉の中が金属になってる!」
「これなんの金属なん?」
「知らん!!とにかく耐久性が高くて熱に強い物質を集めただけだ!!」
おれに金属の鑑定が出来ると思うなよ?
「お姉ちゃん解る?」
「うーん・・・・。なんや見た事無い金属やねんなぁ。赤い・・・いや金色?どっかで聞いたような・・・・・。あかん分からん!!」
「シアちゃん解る?」
「分かんない!!」
「(´・ω・`)」
おろ?シアでも分からないのか?そう言えば元々空中大陸は俺達が作ったんだったよな。こんな金属なんて在ったか?うーん、いつの間にか発生した謎金属なのか?調べたいがこの炉から取り外したら塵になっちまうしなぁ。まぁ条件は満たしているみたいだからこのまま使うか。
「炉はこれでええとして火はどうするん?」
「火なら簡単に出せる奴がメンバーに居るだろ?」
それはもうおあつらえ向きなスキルを覚えてる奴が居るじゃないか。
「あっもう炉が出来てるよ!」
「本当ですわ。」
おっと、良い所でクリン達が到着したみたいだな。
「おう来たか。早速で悪いがルゼダの聖火。炎の色が青色だが温度はどれくらいだ?」
「計った事が無いので分かりませんわ。」
「じゃあ試してみるか。この炉の中心解るか?ちょっと凹んでるだろ?そこに聖火を使ってくれ。」
「<聖火>これで良いんですの?」
「それじゃあルリ。この中に鉄を放り込んでくれ。」
「ほんまにうまく行くんかいな・・・・。」
さて、半信半疑な我がクランの鍛冶師。だけど理論上これで鉄は熱せられるはずだ。炎は青くなる程高エネルギーで炎の見えない部分が1600℃くらいになるって書いてあったからな!鉄の融点が1500℃だから余裕で熱せれるはずだ。
インゴットをヤットコで掴み、『本当にやるん?』とこちらを見て来たので『やるんだ!』と頷いで返してやる。そうしてやっと放り込んだインゴットは見る見るうちに赤く染まって行く。大成功だな!
「これでほんまに出来るとかおかしいと思うんやけど・・・・。」
「聖火は高温でしたのね。料理に使う前に知れて良かったですわ。」
「聖なる炎を料理に使おうとしないでよ・・・・。」
「でもこれで飛行装置の製造と改造が出来ますね!」
そう、金属が加工できるなら後は骨組みを作って皮を張るだけ。そして細々とした装置を作るだけだ。さぁ早速作業に取り掛かるぞ!!
まずインゴットから鉄の棒を作り出して三角形に配置する。三角形の頂点から少し下の部分に搭乗者の持ち手を付け、さらに後方に足をぶら下げるベルトを括りつける。三角形の部分に皮を張ってこれで完成!あとはそれぞれの推進装置を付けて行くぞ!
まずリダは風を直接操れるので最初から推進装置は無しだ!本人が居ないからこれで良いのか分からんが、もし必要でも後で取り付けられるから問題無い。
クリンは爆弾の爆発力を一定方向に噴射する様に四角い箱を持ち手部分に取り付けた。中で爆弾を爆発させ、その威力を推進力として使う感じだな。爆発範囲が広ければ広い程、推進力として長時間飛び続けるぞ!
ルゼダのグライダーに使う推進力は聖火を使って貰う。グライダーの後部に噴射口を1つ作ってそこから後方に向けて噴射し続ければ簡単に飛んだぞ?色々使えるんだな聖火って。
ルリの推進装置はお手製の噴射弾を使う物をそのまま流用した。だが改良してるぞ?まず噴射弾の発射口はグライダーの中心にある骨組みに組み込む形にした。そしてマガジン交換を運転席の目の前で出来る様に改良。射撃は運転席のトリガーで出来る様にした。ルリは旋回や急停止にも使おうとしていたらしいが、これは単純に推進力にした方が良いだろうという全員の意見で決定した。
念の為にベニの物も作ったぞ。ベニは空中を蹴れさえすれば進めるので、足をぶら下げるベルトを腰で固定するようにした。後は空中で足踏みすればそれが推進力になる。食料を食べる時に滑空出来る状態なら助かると思って作った。
さて、ここで皆は思うだろう。聖火で鉄を鍛えたら別の物になるのでは?と。その予想は大当たりだ!!
俺達は聖火で鉄を熱してグライダーを作っただろ?聖火と言うのは浄化の力を持った火の事だ。それで鉄を熱したらこんな物が出来た。
聖鉄
聖なる炎で鍛えられた鉄。浄化の力を宿し、大幅に耐久力が上がる。
うん、なんか出来ちゃった。そしてこの結果を受けて一番喜んでいるのが、最初にきちんと鉄が処理できるか懐疑的だった我がクランの鍛冶師だ。
「聖火で鍛えた鉄に浄化の力が付くんやったら弾丸にも付けれるやん!銃も強く出来るし今から作ろ!!」
「駄目だよお姉ちゃん!!もうすぐレースが始まるんだよ!そんな時間は無いよ!」
「ちょっとだけ!弾丸だけでもええから作らせてーな!!」
「時間が来たのではい終了。」
「あぁぁぁぁそんな殺生なぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・。」
このまま鍛冶をさせていたらずっとやり続けそうだったので、炉を地面操作で解体して強制終了させた。クランハウスで作れるんだから今は我慢しなさい!!
「すみません遅れました!!ってルリちゃんどうしたの?」
このタイミングでリダがログイン。崩れた炉の前で項垂れるルリと、引き摺ってでもレース会場に連れて行こうとするベニ。その姿に呆れている俺達を見てかなり混乱している様だ。
まぁ気にすんなリダ。レースが終ったら思う存分作らせてやれば解決するから。とりあえずまずはレースで生き残る事だな!!あっリダのグライダーも作ったから使ってくれな?使い方は・・・・。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます