第402話
という訳でシアが交渉役です。俺?もちろん心配だからシアの後ろを着いて来たぞ。サイズは一般的な人のサイズにまで縮んでいる。野党共は残りのメンバーに見張って貰ってるぞ。
「たのもー。」
「それじゃ道場破りだぞシア・・・・。」
「こ、今度は何だ!!お前等一体何者だ!!」
さっきリダに殴り飛ばされた梟隊長が全身に包帯を巻いて腕を釣りながら出て来た。今更言うけど良く死ななかったな?
「悪い人倒したから引き取ってー。」
「はん!羽も無く飛べない奴の言う事等。」
「羽も在るし飛べるよー。」バサァ!パタパタ。
「はっ?」
「悪い人倒したから引き取ってー。」
透明な翼を出して飛び出したシアを見て嘴を広げて固まる梟隊長。元々目が大きいから驚いて見開いているの通常でこの状態なのか全く解らん。
「透明な羽だと・・・・まっまさかあなた様は王族の隠し子か何かで?」
「シアはシアだよー?パパの娘なのー。早く悪い人引き取ってー。」
「はっ!直ちに!!おいお前等!今すぐ動け!姫様に迷惑を掛けるんじゃない!!」
おや?シアの羽を見たら突然梟隊長が動き出したぞ?っていうかなんか震えてないかあの人。王族とかなんとか言っていたが・・・。ここの王族はシアみたいな羽を持っている?まぁ考えても解らんか。それにあの野盗共を引き取ってくれるだけでも助かるからな。
「ほほほ、他には何か御座いますでしょうか姫様?」
「姫様じゃないよ?シアだよ?うーんとね、じゃあ泊まる所紹介して欲しいなー。あっ皆で泊まれる所じゃないと駄目だよ?」
なんて考えていたらいつの間にかシアが宿まで手配してくれた!なんとも出来た娘だよこの子は。後で好きな肉料理一杯作ってやるからな。
「・・・・申し訳ありません。それは出来かねます。」
だけどもシアのそんな気遣いを事もあろうに断りやがったこの梟!!だけどその顔は何とも苦渋に満ちた物だった。おぉん?なんで駄目なんだよ。
「どうして駄目なの?意地悪?」
「ちっ違います!王族なら知っているでしょう?この大陸では空こそが全て。だからこそ飛べぬ者には何も与えられません。どのような方法でも良いのです。空を飛びさえすれば住人として認められます。」
ふむ。推察するに限られた大地しかないこの空中大陸はその大地に縋るのではなく空を飛んで人の迷惑にならないようにしているって事か?だから空を飛べない=地上に縋りつくごく潰しだという訳か。どんな方法でも空を飛べれば良いならマロの力を借りれば行けるか?
「それは別の生き物の力を借りても良いの?」
「その生き物がその者に忠誠を誓っているのであれば可能です。過去ペンペン族の若者がワイバーンを使役して勇者になって居ます故。」
ペンペン族?そんなの聞いた事無いぞ?まぁでも言葉の感じだとペンギンみたいなやつらの事だろう。そう言う事なら行けるな。マロ~。そろそろ起きたかー?
ぽんっ♪
「きゅっ?」
「おっ起きてたか。ちょっくら俺を乗せて飛んでくれるか?あぁ結界の中だけで良いぞ。」
「きゅっ!」
「なっなんと面妖な。そのようなワイバーンが居たとは・・・。」
残念だったな梟隊長。こいつはバイクだ。という訳でマロにライドオン!!ほーれ空を飛んでるぞー。
「これで良いの?」
「いえ、本当にそのワイバーンが主人に忠誠を誓っているか図る為に試練を受けて頂きます。」
「試練?それってなーに?」
「それは航空競技にございます。」
これだけじゃ駄目なんかい。最初から説明してくれよまったく・・・・・。それで航空競技?なんじゃそりゃ?
その後シアが色々と聞き出してくれた。航空競技とは空中に配置された障害物を攻略しながら行う空中レースの事らしい。空を飛べる者に取って順位を競う為の娯楽であり、自身の飛行能力を高める為の試練でもあるという。それに合格しなければ俺達は村や街に入る事すら出来ないんだと。
「それは何時開催されるのー?」
「今から準備をいたします。開催は9時間後となるでしょう。それまではその者達を村に入れる訳には行きません。どうかご容赦を。あっもちろん姫様だけでしたら最高級の宿を用意させます!如何致しましょう?」
「パパと一緒じゃないなら別にいいや。バイバーイ。」
「さっ左様ですか・・・・・。では9時間後に。まぁ飛べない物が我々飛行種に勝てるとは思えませんが。」
ずっとシアと話していたから腰が低かったが、最後にこっちを見て鼻で笑いやがった。ふーん、そんなこと言うのか。っていうかこいつ等鳥人種の癖にその中で飛べる飛べないで種族分けてる訳?ちゃんちゃらおかしいんだが?何が飛行種だよ。飛べても飛べなくてもただの鳥だろうがよ。9時間後にその嘴開きっぱなしにしてやる!!
「という訳でログアウトして休憩したらレースだ。絶対に負けんぞ!!」
「私自力で参加したほうが良いんでしょうか?」
「スタミナ持つならやってもええんやない?」
ベニはスタミナさえあれば自力で空を走れるからな。問題はそのスタミナをずっと消費するって事だ。
「スタミナを持続回復する料理とか在りましたっけ?」
「豚肉やウナギを使った料理だな。後は柑橘系特にレモンを使ったものがスタミナ回復効果が付いてたはずだ。それらを使った料理を食べて、レモンを使ったガムやグミを作れば持続回復行けるんじゃないか?材料なら在るぞ?」
「休憩終ったら下さい!」
「リアルと同じ効果が在るみたいだからな、梅干しとかが在ればおにぎりを作って簡単にスタミナ回復出来たんだがなぁ。すまんが梅干しが無いからさっき言ったので我慢してくれ。マロにも沢山用意しておくからな。」
「きゅっ♪」
さて、俺とベニはこれで良いとして他のメンバーはどうするかなぁ。聞いた話によると別の何かに乗って合格できるのは乗り物1体につき1人だけらしいし。
「あのう、ルドさん?そのレースってどれくらいの距離在りますか?」
「分からん。レースの全容は事前に教えられないそうだ。リダは何か在るのか?」
「あの、準備期間の間に道術っていうのを覚えまして・・・。実は私も空を飛べます。気力を消費しますけど。」
何とリダも空を飛べるという。そうだよな。空を飛ぶって言うのに墜落した時の事を考えない奴は居ないよな。それで教えて貰ったスキルの効果がこれ。
<道術>
森羅万象を使い色々な出来事を引き起こす術。顕現する効果により消費気力が変わる。
つまりこのスキルを使って風の力を引き出し、空を自在に飛ぶという。
「消費気力はどんなもんなんだ?」
「1時間飛行で50気力くらいでしょうか?気力を回復する食材とか無いですよね?」
「確か疲労回復と同じ食材で行けたはずだ。後は緑黄色野菜とかニンニクとかだな。黒ニンニクが壺に漬けてあるし、野菜ふりかけも作ってある。後はレモン味のガムとグミを持ってけばいい。」
「ありがとうございます!!」
「クリン、ルゼダ、ルリは何とか出来るか?」
「僕はこれがありますよ。」
そう言ってクリンが取り出したのは空を飛ぶための小さなグライダーだった。それは良いんだがどうやって飛び上がるんだ?
「爆弾をちょちょっと改造すれば高度は稼げますよ。後は落ちないように気を付けるだけですね。」
「ルゼダはどうだ?」
「結界と聖火を組み合わせれば何とか出来ますわ。MP回復が心許無いですけど・・・。」
「極楽島から持ってきた葉っぱは在るぞ。それでガム作ってやる。味は補償しないが。」
「仕方ありませんわね。」
他の野菜と合わせて何とか野菜ジュース・・・・は無理としても青汁くらいに抑えられる様にしてやろう。今は味の追及まで出来る時間が無いからな。効果最優先だ。残るはルリだな。
「一応うちもこんなの作って来たで。」
それは見た目はクリンのもっているグライダーに近い物だった。だが違うのは翼の後部に鈍い光りを放つ金属の筒が2つくっ付いている事だ。どうも何かの発射口に見えるが?
「噴射弾っていう、非を吹く弾を装填して撃ち出す場所やねん。けど制御が難しくてなぁ。やけど一応飛べるで。」
「それじゃレースに勝てませんわよ?私も怪しいですが。」
「ベニ、もし火種が在ったらここで改造できるか?」
「そら行けるけど窯が在らへんよ?どうするん?」
「それなら大丈夫だ。ついでにルゼダにもクリンと同じ様な飛行用の道具作ってくれ。俺も手伝うから。」
さてと、休憩した後は色々と忙しくなるぞ。死蔵していたスキルを使う機会だし、気合入れて行きますかね。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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