いざ空中大陸へ!!

第395話

炎と煙を吹きながら落下していくウィンドル。かろうじて舵は取れているのか、守備隊の訓練場。つまり地下ドックに向けて落ちて行く。


「おいおいおい、まずいんじゃないのかアレ!」

「ルド兄様すぐに現地に行きましょう!訓練場には多くの人が居る筈です!」

「アイン達の事も心配だしな。救助の為にも全員で行くぞ!!」


集まっていたメンバーは急いで訓練場に向けて移動を始める。俺達はマロに乗って先行したが、どうにも間に合いそうにない。ウィンドルはどんどん落下速度を速めて移動していく。


どぉぉーーーん!!


そして最後には爆発音と共に天まで届くような黒煙を噴き上げた。これは完全に落ちたぞ。


「マロ!現場に急いでくれ!!」

「きゅっ!!」


マロに急いでもらい現地に辿り着いた俺達。眼前にはそれはもう酷い状況が映し出されていた。


「地下ドックの入り口がボロボロですわ・・・。」

「爆発の衝撃でハッチが吹き飛んでるね。」

「まだ中から煙が立ち上っています!火災が発生したままみたいですよ!」

「周りに居る人達が消化活動してんで!」

「地下への入り口が崩れてしまって使えないみたいです。私達はどうしますルド兄さん?」

「俺は瓦礫の撤去をするからルゼダとシアは怪我人の回復優先。他のメンバーは消火活動の援護をしてくれ。アイギスは念の為に俺と一緒に来てくれ。」

「(`・ω・´)ゞ」

「シアちゃん、私達はあっちに!」

「分かった!!」

「僕達は消火活動に行くよ!!」

「ルドさんお気をつけて!!」

「誰も死んでへんとええんやけど・・・・。」

「その為にも救助活動頑張ろうお姉ちゃん!!」


シルも応援を呼んでくれてるはずだし、キリュウ達が到着したら救助速度は上がるだろう。それまでに俺達は出来る事をやるぞ!!


ウィンドル墜落は城塞首都全体を騒がす事件となった。救出は一度ログアウトが必要になる程に時間が掛かってしまった。大勢の人の助けを借りて、何とか怪我人は全員救助できた。何と今回の事故で死者数は0だ。


その理由はウィンドルが墜落する前に、アインから緊急連絡で訓練場から逃げる様に通知が在ったそうだ。だから残っていたのは全て旅人で、住人に死傷者が出なかったのは幸いだった。だがここに1人、大ダメージを受けた人物が・・・・。


「わ、私のウィンドルが・・・・。」

「あー、どんまいアイン。」

「元気出してぇー。」

「ドン( ゚д゚)マイ」


呆然と地下ドックの下に広がる残骸を見つめるアイン。アイン達は旅人だから死んでもデスペナを貰って復活するだけだ。マジックドール達は墜落する寸前に飛行船から降ろして全員無事。そう、損害はウィンドル唯一隻と言う訳で・・・・。


「いまキニス達が修復できるか調べてるんだろ?大丈夫だってきっと。」

「それでも直らなかったらどうする!?せっかく凄い発見をしてきたというのにウィンドルが無かったら意味がない・・・・。」

「凄い発見ってなーに?」

「(。´・ω・)???」


うむ、アイン達が何を探していたのかを考えれば簡単に答えに行きつくだろう。つまりその答えは!!


「空中大陸でも見つけたか?」

「なっなぜそれを!!」

「やっぱりか。」


ずっと探し当てるんだと息巻いていたからな。それがようやく見つかった矢先にウィンドルの墜落か、運が無いな。


「運とかそう言う問題ではない!!ウィンドルは撃墜されたんだ!!」

「そうなのか?飛竜にでも落とされたか?」

「ワイバーン如きに落とされるウィンドルじゃない!もっと上空から攻撃されたんだ!」


叫ぶように言うアインの言葉はそれはもう訓練場に響き渡った。つまり大勢の旅人の耳に飛び込んだ。空中大陸の存在も、上空に居る敵の情報もだ。


「おいおい、あの巨大な空中戦艦を落す敵が空に居るってよ。」

「空中大陸って本当に在ったのね。行ってみたいわ!!」

「確か文明がかなり発展してるって話だったよな?」

「これは誰かが言って技術を持ち帰れば巨万の富が得られるんじゃないか?」


ざわざわと騒がしくなる事故現場。その様子に迂闊な発言をしたアインは口をパクパクしながら失言をした事を反省していた。


「それで?一体全体どういう攻撃だったんだ?」

「・・・・・。はぁ、ここまで言ってしまったんだから仕方ないか・・・・。空中都市の存在する空域のさらに上空からの射撃だ。巨大な岩塊がウィンドルめがけて突っ込んで来た。」

「それなら隕石が偶然落ちて来たんじゃないのか?低い確率でも無くは無いだろ?」

「隕石が10個も20個も狙って落ちて来るのが偶然か?途中で軌道修正までする隕石が偶然?ありえない。」


まぁ確かに誘導迄されるんなら誰かの攻撃だわ。魔法攻撃と考える方が自然だな。


「空中都市からの攻撃じゃないのか?」

「空中都市も同じ攻撃を受けていた。あちらは見えない何かに遮られてダメージは受けていなかったがな。」


ふむ、空中都市は自衛手段を持っているという事だな。そして上空からの攻撃ねぇ・・・・。なぁ、俺何時フラグ踏んでたんだ?あの話を聞いた時からか?思いっきり聞いた覚えが在るんだが?


「ルドさん瓦礫の撤去終わりました?」

「あぁ、終わったぞ。」

「もう怪我人は居ないみたいですわね。」

「街に被害は無かったですよ。」

「爆発の影響は訓練場内で収まっとったで。」

「周辺に影響ありません!!」

「それで?これは一体全体どういう空気ですの?」


皆が報告がてら目立つ俺の所に集まって来た。今の今まで別行動だったからな。やっと他の場所も落ち着いたって事か。それでこの誰もかれもが聞き耳を立てている空気の原因はアインの発言だ。こっそり事故の原因を教えてやろう!


「・・・・・・どこかで聞いた話ですわねぇ。」

「それ完全に・・・・。」

「しっ!!皆まだ聞いてます!!話はクランハウスに戻ってからです!」

「そやな。今は迂闊な事言われへんで。」

「メガネさん達にも情報共有しないとですね。」


そうだな、この話はメガネ達も知ってるからな。アインも加えて詳しく話をするか。


「という訳で俺達のクランハウスで今後の話し合いをするぞ。アインも来い。」

「わだじのウィンドるぅぅぅぅぅぅ・・・・。」

「駄目だこりゃ。」


滝の様に涙と鼻水垂らして落ち込んどる。元気付けようにもウィンドルを修理してやる何て言えないしなぁ。せめて1人でも技師が居てくれれば・・・・うん?


「あぁそうか。空中大陸から技師を1人連れて来ればいいのか。」


俺達にはマロが居る訳だし、隕石攻撃も空中戦艦だったら回避は難しいだろうがマロなら余裕だろ?空中都市に行って報酬を払うから飛行戦艦を修理してくれと言えば直るんじゃないか?


「何っ!!そんな事が出来るのか!!」


あっやべ、俺の独り言をアインに聞かれた。


「私のウィンドルが直るなら何でもする!だからその技師を今すぐ連れて来てくれ!!報酬は弾むから!!その技師にもたっぷり支払うぞ!!」

「待て待て、落ち着けって。なっ?行くこと自体は可能だが空中都市に入れるかどうかも解らんし、そもそも技師を連れてこれるか分からんぞ?」

「それでもいいがらだのむぅぅぅぅぅぅ!!」

「わーかった分かったから!!だから引っ付くな!鼻水と涙をこすり付けるな!!」


俺もアインの事を叱れないな。あまりにも迂闊な事を言ってしまった。これだけ期待させといて連れてこれなかったら俺はアインに殺されるかもしれん・・・。まぁその時は復活するだけなんだけどな。


「もし直らなかったら住所特定してリアル凸してやる・・・・。」

「おまっ!そんな事止めろよ!!修理出来るか確約して無いんだからな!!」

「自分の迂闊な発言を悔やむべきですわね。」

「リアルルドさんは私が守ります!!」

「うちらは何も出来へんなぁ。」

「直せる事を祈るしかないね。」

「そこはかとなく不安だよ僕は・・・。」


背後に影を浮かべながら目を真っ赤にして怖い事を言うアイン。そんな事が旅人に出来る訳が無い!!いや出来ないよな?出来ないと誰か言って!!


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る