第391話

「これで全員か?」

「そうですわね。倒れていた人は全員回復しましたわ。」

「一杯走りました!」

「ベニに引き摺り回されたんやけど・・・・・。」

「シア達も頑張ったよ!!」

「( *¯ ꒳¯*)ムフー」

「キュッ!!」


魚人達を回復させて皆が戻って来る。旅人が居ればインベントリにビタミン剤を入れられるからな。あとは移動を何とかすれば良いだけだ。ベニはルリを連れて家の中や建物の影に居る人達の回復に走って貰い。シア達にはマロに乗って上空からビタミン剤を振りまいて貰った。乾燥したら屋根とかがベタベタになるかもしれないが人命救助優先だから許せ。あとで水撒いておくから。


「しっかし、賢者の結界は凄いな。岩に埋もれても健在とかどれだけ頑丈なんだ?」

「ですねぇ。まだしっかりと空を映していますし。」

「空気まで在って循環してるんだから本当に凄いよね。」

「そう言えばここにその賢者のアトリエが在りましたわよね?」


ルゼダの疑問にクロナミの方を全員が見る。家族との再会をカイトと一緒に喜んでいた彼は俺達の視線に気が付いた。


「なんだ?あの秘密の部屋の事か?あそこならまだ在るぞ。スキルブックもそのままだ。」

「そうなのか?資料として持ち出さなかったのか?」

「多少整理整頓はしてあるぞ?だがあの場所が海底都市で一番防衛力が高くてな。スキルブックをおいそれと移動できなかったんだ。」


確かに鍵がなければ開けられないし、場所は割れているのだから鍵が盗まれてもアトリエの入り口を封鎖するだけで良い。そう考えるとかなり防衛は簡単だな。そもそも出入り口が1つしか無いのに鍵を盗んで侵入してやろう!何て考える奴も居ないか。


「そうだ!!お前らが来たら王宮に案内する様に言われてるんだった!!いつの間にか消えやがって、ずっと待ってたんだぞ!!」

「そう言われたってなぁ。」

「あぁ、巨人の兄さんの事情は解ってるさ。さすがに俺達でもあの時は海上に様子を見に上がったからな。まぁ兄さんがあんなにでかくなったのにはビックリしたがな。」


おっと、俺がこの世界を守ったのが見られていたらしい。だったらほら、ここに来れなかった理由くらい解るだろ?


「あぁ、だから次に来た時にと言われてたんだよ。今回も助けて貰ったし、何か報酬が貰えるんじゃないか?」


ほう?いや別に報酬の為に助けた訳じゃないからな?うん、いや要らないのかって?いやいやいや!せっかくの善意だ。貰わないのは相手に失礼じゃないか!!皆もそう思うだろう?


「ルドさんルドさん。そろそろ現実を見ましょう?そっちにもチャットが飛んで来てるんですよね?」

「・・・・・・。そうだなリダ。そろそろ向き合うか。」


ピロン♪


金魚を倒して、あのワールドアナウンスが流れてから定期的に飛んでくるチャットになぁ!!


メガネ

【また何かやりましたか?詳細が知りたいです。】


アイン

【厄災を倒したのはルド達なんだろう?どんな相手だった?デカかったか?詳細情報求ム】


シチート

【ちょっとルドきゅん!!何て物に手を出してるのよ!貴方達にはまだ早いわよ!今すぐ帰って来なさい!!】


シル

【ルド兄さん?あなたは何に手を出したんですか?厄災何て未だかつて聞いた事も無い存在なんですよ?今すぐ戻って来て説明して下さい!!】


ファラン

【祖母が落ち着かずに困っています。早く戻ってきて説明をお願いします。】


コウサ

【ルドさんの料理が又食べたいです。家の子達も同じ意見みたいで、あんまり食欲が在りません。一度料理作ってくれませんか?あと厄災について何か知ってます?】


こんな感じのチャットが定期的に送られてくるんだよ。どいつもこいつもなぜか俺達が厄災を倒したと思い込んでやがる!!まぁ実際に倒したのは俺達なんだけどな・・・・。なんでバレてるんだろうか?


まぁチャットが来ても海底都市の住人を救助するのを優先していたから今まで返事をしていない。そろそろ返事をしないと直接こっちまで来そうだな・・・・。


ルド

【俺にもどうなってるか分からん。帰ったらクランハウスで事情を説明する。料理も出すぞ。】


うっし!これでしばらくは大丈夫だろう!!帰る前に料理準備しとかないとな・・・・。


「・・・・分かった。今連絡が来たぞ。全員王宮に来てくれとさ。もちろん行くだろ?」


俺がチャットに返信している横で、クロナミが王宮から来た兵士から連絡を聞いていたらしい。


「早く帰った方が良く無いですか?まぁ私はルドさんに着いて行くだけですが!」

「確実に私達が関与してるってバレてますわよ?放置して置いたら問題が大きくなりませんこと?」

「僕も早く戻った方が良いと思います。ここはカイトさん達に任せておけばいい訳ですし・・・・。」

「えー、うちはもうちょっとここ探検したい!」

「私ももうちょっとここを見てみたいです。」


むぅ、リダは中立として意見は半々か。偉いさんとの謁見とか面倒くさいし報酬だけもらえたり~。ちらっ。


「良いぞ。」

「良いのかよ!!」


なんと報酬を貰うだけでも良いらしい!最初から言ってくれよー。


「まぁあのアトリエの中に在るスキルブックを1冊だけになるけどな。謁見すれば3冊くらいは貰えるんじゃないか?」


ぐっ!スキル1つか3つかを選べと言うのか!!だが俺が返信を返してからいつ戻って来るのかを問い質すチャットが鳴りやまない!!一体どうすれば良いんだぁーーーー!!


「パパ。シアお肉食べたい。」

「良し、1冊貰ってすぐ帰るぞ。」


ズコーッ!!ヽ(・ω・)/ズコー


俺の言葉になぜかシア以外の全員がずっこける。なんで?


「それで良いんですの!?」

「あまりにも簡単に決め過ぎじゃないですか?」

「スキルやで?このゲームで一番重要な物を3つも貰えるんやで?それでええん?」

「そうですよ!!普通に考えたら貰うしか無いじゃないですか!!」

「じゃあ君達は偉いさんの前でちゃんと会話出来るんだな?いつもいつも俺が代表して会話してるが、今回はそうはいかんかもしれん。その時ちゃんと返答出来るんだな?」

「「「「「・・・・・・・。」」」」」


おいおい君達?全員揃って顔を背けるんじゃないよ!!


「まぁ早く戻って報告しないとシルの奴が怖いしな。1つ貰えるだけでも十分だろ?」

「その心は?」

「お偉いさんとの会話何て肩凝るしやだ。シアと同じで俺もそろそろ肉食いたい。以上!!」

「理由の8割は面倒臭いに偏ってそうですわね・・・・。」

「国の最重要人物と縁者なのにね。」

「ルド兄らしいなぁ。」

「決まったんなら早く行きましょう!!私達の方にも一杯チャット飛んで来て大変なんですよ!!」


さぁ方針は決まった!!早速アトリエに案内して貰おうか?


やって来ました賢者のアトリエ!!鍵はクロナミが持ったままだったよ。噴水が開き現れた扉を潜る。いやぁここも変わらんなぁ。中は大分変ってるけど。


「なんで賢者の偉業が石碑で置いてあるんだ?」

「半分博物館みたいになってるんだよ。スキルブックはこっちだ。」

「これまた頑丈な鍵ですわね・・・。」

「防犯の為に一応な。ほれ開いたぞ。」


さてと、実は俺は選ぶスキルを決めている。以前来た時は全く興味が無かったが、今ならば確実に役に立つだろう。そのスキルと言うのはこれだ!!


<調合>

素材を混ぜ合わせて様々な物を作りだすスキル。薬・調味料・爆発物・毒・なんでもござれ。

※旅人ルドは不殺の呪いにより攻撃力を持つ物は作れない。


不殺の誓いの所為で攻撃出来る物は作れないみたいだが。注目して欲しいのはここ!!調味料だ!!ハーブソルトとか、自家製の味噌とか、醤油なんかも作りたい!リアルで食べれば良いんだろうが、この世界でどんな効果が在るかも検証したいしな。あっ漬物漬けるのも良いな?


「皆選んだかぁ~?」

「選びましたー。」

「良いの在りましたわ。」

「僕も。」

「くぅ!!はよ試したい!!」

「だね!!」

「それは地上に戻ってからだな。カイトとテッタはどうする?」

「僕達はしばらくここに居ます。」

「また病気が再発しないか見てから戻りますね。」


まぁしばらく海底都市でゆっくり過ごしたいんだろうな。おっと忘れずにフレンド登録しとかないと。


「うっし、何か在ったら連絡くれ。マロに乗ってすぐ駆け付けるから。」

「キュッ!!」

「はい、その時はお願いします。今回はありがとうございました!!」

「テッタも、師匠には事情を説明しておくから気にするなよ?帰ったら厳しい修行つけて貰うように言っておくから。」

「あはは、お手柔らかにと伝えて下さい・・・・。」


さてと、スキルは貰ったしさっさと地上に戻るか。頼むぞマロ!そう言えば皆の貰ったスキルはどんなのだ?後で見せて貰うか。

 

毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る