第378話
さて、絶賛流され中の俺達である。今回はあの中ボスが居た部屋とは別の場所に流されてる様で、マップには新しい通路がどんどん表示されているぞ。
「全然水流が落ち着かないなぁ。」
「リダさんが全力で攻撃しましたからねぇ。」
「ごめんなさい・・・・。」
「ヾ(*´∀`*)ノキャッキャ」
「楽しいから問題無いよリダお姉ちゃん!」
「なにかおかしいですわ。どんどん流れが速くなってますわよ?」
「えっ?あっ!ほんまや!段々はやなってんで!」
最初から流されていたから気付くのが遅れたが、確かに俺達の体はどんどんと加速していた。このままじゃバラバラになっちまうな。
「カイト!縛る物を渡すからはぐれないように全員捕まえてくれ!!シア蔓を頼む!!」
「はーい!」
「解りました!!」
シアに蔓を出してもらい、それで全員の体を固定した。だというのに俺達の体はどんどん離れる様に動く。これはもしや・・・・。
「ルド兄さん!パーティーで別れる様に動いてますよ!」
「こっちのルートは分断在りなのかよ!」
「んぎぎぎぎぎ!パパ!蔓がもう持たないよ!!」
「ダンジョンギミックなんぞに負けんぞ!!俺の体に捕まれ皆!!カイトはその後に俺達の体をぐるぐる巻きにしてくれ!」
「はい!!」
ふはははは!!ここまでやれば強制的に分断など出来まい!お前の負けだダンジョン!!
「・・・・・ルドさん。何か考えました?前から何か来るんですけど?」
「わぁ~。大変切れ味の良さそうなお方ですわね。」
「あんなのに攻撃されたらシアの蔓何て簡単に斬れちゃうよぉ・・・・。」
「ルド兄のアホー!!余計な事考えるからや!!」
「すまん・・・・。」
そう、俺達の前に現れたのはとっても切れ味の良さそうな魔物だ。
太刀魚(イベントモンスター)
現実と同じ名前のその魔物は、まさに太刀そのままの魚だった。柄の部分に目と口が在って、鍔の部分が鰭に、後の胴体はまんま刀だった。そんな魚がかなりの数こっちに向かって来る。しかもイベントモンスターという事でこいつ等にHPの表示がない!!
「テッタ!!あいつらに歌で攻撃!!」
「ららら~♪さっきからやってるんですがダメージ無いですぅ・・・。」
「カイトは!?」
「流されてる状態じゃあの技使えません!」
「あっあかん!!ぶつかる!!」
ズバズバズバ!!
太刀魚は俺達には一切攻撃せず、体を縛っていた蔓だけを切断して去っていった。するとどうなるか?俺の腕力だけで全員を抱えてないといけなくなる。そして、強い流れの中で人の腕力なんぞは無にも等しかった。まぁこんな状態は途中から想定してたからな。何も問題はない。
「という訳だから下で合流しよう!健闘を祈る!!」
「なーがーさーれーるー。」
「(´∀`*)ノシ」
「何か在ったらチャットで連絡してくださいね。」
「ルドさん達も気を付けて下さい!」
「シアちゃんの回復力は私よりも弱いんですから。無理するんじゃありませんわよ!!」
「下でお会いしましょう!!」
「どっちが先に下に降りるか競争です!」
予定調和というかなんというか、ダンジョンの強制力によって俺達はパーティー別に分断された。しかも別れの言葉を言ったとたんに見えなくなるように通路に吸い込まれたんだぜ?完全に演出だよなぁこれ。さてさて、この先何が待ってますかね。あっ!やべ!なんでこんな所に岩が突き出して・・・。ゴンッ!!
ぴちょん・・・。ぴちょん・・・。
「う、ううぅ~ん?」
「あっやっと気が付きました?」
うあっ?なんでリダの顔がこんなに近くに・・・・。おっふ・・・。これが夢見る男のロマン、膝枕と言う奴か・・・。実際やると結構痛かったりするんだよなこれ。
「ルドさんずっと気絶してたんですよ?」
「パパ、ダンジョンに怒られたの。岩がにゅっっと生えたんだよ?」
「(。・∀・)σツンツン♪」
「アイギスちゃん、たんこぶ突いちゃ駄目ですよ。」
あてててて、そう言えば俺肉体ダメージによる状態異常は回避できないんだった・・・。頭に一発良いの貰って気絶してたんだな。
「それでここは?水の中じゃないみたいだが・・・。」
「私達、先に下の階層に来ちゃったみたいなんです。」
「ん?どういう事?」
「流されている途中で階段に飲み込まれちゃったんだよ。」
「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪」
なんでだ?こういう場合流された先で試練が在ったりとか・・・。あっそう言う事か。
「俺達はすでに中ボス倒してるから。」
「はい、だから先に下に辿り着いたみたいなんです。この場所は休憩ポイントになってますから。」
って事はテッタ達の方は今頃ボス戦って訳か。どんな相手なのか気になるなぁ。
「まぁ、そのうち合流すると思いますしゆっくりしておきましょう。チャットも送ってますから。」
「向こうは大丈夫そうなのか?」
「平気だって!」
うむ、まぁ疲れて出て来るだろうから何か準備しておくか。
一方、別の場所に流されたテッタ達は。
ルドさん達と別れた後、僕達は少し広い部屋の手前で落ち着く事が出来ました。まさかダンジョンが僕達を分断する為にあんな事までするなんて・・・・。
「うー、酷い目に遭いました・・・。このダンジョンに来てからこんなのばっかりです・・・。」
「ごめんよテッタ。僕の我儘の所為で・・・。」
「えっあっ!違うんです!カイトが悪いんじゃなくて、えっと。その。」
流れ着いた場所でテッタさんが愚痴をこぼして、それに反応してカイト君がしょぼんとしてしまいます。僕達はちょっと離れた場所でその光景を微笑ましく見てました。
「青春ですわね。」
「青春だねぇ。」
「アオハルやなぁ。」
「見ててこっちが恥ずかしくなるね。」
「「いや!これは違くて・・・・。」」
「息ピッタリです。」
お2人は恋仲じゃないんですかね?同じ事を言っただけで恥ずかしそうにしています。僕とルゼダだったら・・・・。そのまま何回も同じ台詞を言いますねきっと。それだけ相思相愛って事ですから。
「はいはい、恥ずかしがってないで奥に進みますわよー。」
「「恥ずかしがってなんか・・・はううう。」」
「まったく説得力無いでお2人さん?」
顔を真っ赤にしてもじもじするテッタさんとカイトさん。このままゆっくりと仲を深めて貰っても良いですが、僕達にそんな時間はないみたいです。リダさんからチャットが飛んできましたからね。
「どうやらルドさん達は先に下の階層に行ったみたいです。今連絡が来ました。」
「なんやて!!ずるいわルド兄さん!!」
「どうして先に行けたんでしょう?」
「それは簡単ですわ。あちらのパーティーはすでにボスを倒した人達だけですもの。逆に言えばこちらはまだボスを倒していない人が居る。その違いだけですわ。」
「つまり今僕達が見ているあの広場に入ったらボス戦になると?」
「確実にそうなりますわ。」
「それは又、先に行ったお2人さんが残念がりそうやなぁ。」
「もし食材が出たら分けて上げようね。」
意外と戦闘狂なんですよねあの2人。まぁルドさんは戦えないので戦闘狂とはちょっと違うかもしれませんが。
「さぁ、何が出て来るか分かりませんがここを抜けてルドさん達に追いつきますよ!!」
「美味しい物を作って待ってくれているみたいですわ。」
「戦闘開始やで!!」
「おー!!」
「頑張ります!!」
「これだけの空間を使う敵ってどれだけ大きいんだろう?」
意気揚々と広場に入る僕達。あっ先にテッタさんにバフを掛けて貰いましたよ!バフなしで突っ込む何て愚行はしません。
ズズーン!!
そして僕達の前に黒い影が舞い降ります。その胴体は長く、体はてらてらと輝き、その眼はこちらを打ち倒そうと意欲に燃えています。
「きゅあ~!!」
「「「「「「ウナギだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」」
僕達の思考は一瞬にして食欲で溢れてしまいました。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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