第377話

「なぁなぁ、スキルの中にスキルがある様に見えるんやけどどうなってるん?」

「スキル発動時に使える技の名前が書かれてる感じかな?」

「攻撃や魔法を使う際はその名前が技名としてログに残るんですわ。」

「戦闘中に同じスキル名が続いたら、攻撃か防御か回復かで区別が付き難いからそうなってるんだな。それだったらシアの精霊魔法とかも細かく技名ついてても良いと思うんだけどなぁ。」

「技名が付くと技の効果が一目でバレますから、一概に良いとは言えないんですよね。」


まぁ確かに、対人戦とかだと相手にもどんな攻撃を受けたかっていうログが残る訳だしな。そこから対策を練られたり、妨害されたりする可能性もある訳だ。


「そんな事より早く先に行きましょう。次は僕の戦闘力を見て貰うんですから!」

「おっとそうだな。ステータスの確認も終わったから先に行くか。次からは水中の階層になるから期待しとくぞ?」

「はい!!」


カイトが手に持った銛を高々と掲げる。気合十分だな。確認の為に待たせちまったしさっさと次の階層に降りるか。


という事で階層を1つ降りて来た。前回はリダが全力攻撃をした事で生まれた海流に流されたんだよなぁ・・・・・。


「解ってると思うけど全力で攻撃するなよ?スキルが進化してるんだから慎重に攻撃するように。」

「やだなぁルドさんってば、私だって反省してるんですから。同じ失敗するわけないじゃないですかぁ。」

「リダおねぇちゃん?頭に旗が立ったよ?」

「(・∀・)つ🚩」


よしアイギス、その旗引っこ抜いて置いてくれ。さて、そんな馬鹿な話をしている目の前ではすでに戦闘が始まっている。この階層で雑魚的とは戦わなかったからな、どんな奴か気になるだろ?俺達も知らなかったから戦い始めて驚いたんだよ。テッタ達が今戦っている相手はこれだ!!


オクトトーピード HP100


名前のまんま魚雷の様に突っ込んでくるタコ。しかも突っ込んで体当たりを当てた後は足を広げて相手を拘束して牙で相手を齧るという2段構えの攻撃をしてくるぞ!!そしてすでに犠牲になった者がその辺を漂っている・・・・。


「あかん!!あかんて!!そんな所触ったら!うひん!絶対後でしばいたる!!あひん♡」

「ぬちょぬちょするぅ~!ひゃん!!変な所入らないで!!助けてお姉ちゃーん!」


事案である。小学生にタコが絡みつく事案案件である。まだ他にもタコがそこら辺をビュンビュン飛び回っていて、クリンもルゼダもフォローに回れそうにない。盾役であるテッタはと言えば、防御バフを掛けた後にヘイトスキルを使って戦闘開始早々にタコの山に埋もれた。これはどうにもならなさそうだしフォローが必要だなぁ。


「手出し無用ですよ!!行きますよ!<牙の絶嵐>!!」


カイトの牙攻撃

アングリーバイト・鮫肌・流渦潮・投擲スキル発動

スキルコンボ!!野生の体・鮫肌・アングリーバイト・ロマンチーニ機関・流渦潮・投擲スキル発動により<牙の絶嵐>スキル発動


水中発動により効果変動 スキル発動者を中心として敵だけを吸い込む渦が発生 継続ダメージ100ポイント 出血の追加効果


「ガァァァァァァァァ!!」

「おぉ!!タコだけがどんどん吸い込まれて行くぞ!!」

「はぁはぁはぁ・・・もう少しで乙女として死ぬ所やった・・・・。」

「まだべとべとしてる気がするぅ・・・。」

「はぁ・・・。数が多すぎですわ・・・。」

「テッタさんの歌の力を見誤ってたよ。あんなにヘイトを稼ぐなんて・・・。少しは受け持ったけどあの数はきついなぁ。」


まぁそのテッタが超音波で攻撃すれば一瞬で殲滅出来る相手なんだけどな。今回はカイトの戦闘力を見るって事で気を抜いてたら起こった事故って感じだ。


こうしている間にもどんどんカイトが作りだした渦にタコは飲み込まれ、やっとテッタの姿が見える様になってきた。あいつ、盾の間に体を隠して座り込んでるな。


「プハッ!!やっと解放されました!!吸盤が沢山で怖かったです・・・。」

「今度から歌の音量注意だな。」


テッタの話じゃまともな戦闘はここが初めてらしいし、徐々に慣れて行けばいいさ。


オクトトーピードの群れに100のダメージ

ジャストキル!!ドロップが増加します。

魚雷蛸の足 魚雷蛸の墨袋 魚雷蛸の胴体 魚雷蛸の干物 魚雷蛸の牙 魚雷蛸の卵


「ドロップが沢山出ました!」

「色々と使えそうですわね。なんで加工品が出てるのかは分かりませんが・・・。」

がじがじがじ「このするめ結構いけるで。」もぐもぐもぐ

「もうお姉ちゃん!蛸の干物はスルメって言わなんだよ?」


カイトと同じパーティーのテッタ達がドロップ品をゲットしたみたいだな。足も胴体も結構デカい。それを見て蛸飯・タコ焼き・酢の物のレシピが瞬時に頭に浮かぶ。いかんな、このドロップはテッタ達のだから貰うわけには行かんぞ。


「あの、どうでした僕の戦闘?」

「そりゃ文句なしだろ。」


あれだけ攻撃出来たら十分だろ。というかテッタもカイトも広範囲を殲滅する攻撃が強すぎる。2人共敵だけを選んで殲滅出来る技を持ってるからな。正直羨ましい限りだ。


「うちらはボスとかばっかり相手にしてるからスキルが偏ったんちゃう?」

「あー、それは在りそうですわね。」

「取得スキルはその人の行動で決まりますから。」

「そんな中でも沢山のヘイトを稼げるルドさんは凄いって事ですね!」

「引継ぎのお陰だろそれ。」


と、もう終わった気になって気を抜いていたのが悪かった。突然俺の後ろから猛スピードで突っ込んでくる黒い影に誰も気が付かなかったのだ。そしてその影は運悪く俺の近くに寄って来たリダにぶつかった。


ぶにゅん。


「ひゃん!」


通路の奥から来たオクトトーピードがリダの体に巻き付く。そしてそのままウネウネと体の上を動き回ろうとするではないか!!だから俺は親切心で、そう!紳士淑女が喜ぶような展開にならないようにタコを取ろうとしただけなんだ。


「動くなよ。よいしょっと。」ボロン。


さて諸君、ここで思い出してみて欲しい。リダの胴体防具はどんなのだった?そう、心貫仙道衣という衣服だ。そしてこの服はそのまま道着の様に体の前で衣を重ねて腰帯で縛って固定するという物だ。その道着にタコが張り付いていて、それを引っ張るとどうなるか?帯から道着が抜けておっぴろげになるのである。あえて言うが裸体では無いぞ?下着は固定でちゃんと装着されている。だが突然下着を他人によって白日の下にさらされたらどうなるか?聡明な諸君ならもうお分かりになるだろう・・・・。


「いぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ドパァァァァァァァアン!!


そう、全力で見た者を攻撃するのである。幸い見たのが俺だけだったから良かった(?)物の、あっという間にリダが顔を赤くした上に目がぐるぐると回り出した。嫌な予感に全力で防御した俺を誰か褒めて欲しい。あぁ一応パーティーメンバーだからダメージは無かったけどな。


そして、水で満たされた空間でリダが全力攻撃をするとどうなるか?それは前回の焼き回し。周りの水があっという間にその空間から排除され、そして戻って来たのだ。これ俺が悪いんか?ただ気を回しただけなのに・・・・。


「旗取ったのにねぇ?」

「(;´・ω・)ノ🚩」

「なんとなくこうなる気はしてたで?リダ姉はもう一回やるって。」

「お約束だもんねぇ。」

「あわわわわわ!皆さん結構落ち着いてますね!」

「テッタは僕に捕まって。これくらいの水流なら僕は平気だよ。」

「ありがとうカイト君。」

「もう、リダさん!せっかくのチャンスでしたのにどうしてそこで恥ずかしがるんですの!!所詮アバターなんだからそのままちょっと誘惑すれば良かったですのに!!」

「急だったからつい・・・。ごめんなさい・・・。」

「ルドさん、気を落さないで下さい。僕達ルドさんがセクハラ目的でそうしたとは思ってませんから。」

「ありがとうなクリン。今度は何処まで流されるだろうか・・・・。」


激しい水流に流されながら、俺達はダンジョンの奥に進むのだった。そうそう、問題を起こしたタコはリダの攻撃で跡形もなく消し飛んだよ。ドロップ?そんな物が出る攻撃力だと思うか?


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る