第374話

ログアウトしてから本当に4時間しか経ってないのかを確認し、間違いなく4時間しか経っていない事を確認した俺。その後は端末に連絡が来ていないかの確認と(何も連絡は無かった。)、食事とトイレを済ませ。軽くシャワーを浴びてから再度ログインした。


部屋の中では俺と一緒にシアとアイギスとマロが寝ていた。どうやら疲れて寝てしまったらしい。ぐっすり寝ている所を起こすのは忍びなかったが、この子達も極楽島に又行けるのを楽しみにしていたので泣く泣く起こしてた。


「ふみゅ~・・・・。ぱぱおかえり~。」

「(ノД`)・゜・。」

「きゅ~・・・・。」

「おはよう皆、さぁこれから極楽島に行くぞ?寝ている子は置いて行くからなぁ~。」

「起きた!!」

「(。+・`ω・´)シャキーン」

「キュッ!!」

「よしよし、皆偉いぞー。じゃあ準備して皆の所に行こうな。」

「はーい!!」「(^^ゞ)」「きゅっ!!」


リビングに行くと、まだ誰も来ていなかった。そこで俺は皆が来た時に飲めるようにコーヒーの準備を始める。収納からやかんを取り出し、水を入れてコンロの火に掛ける。お湯が沸くのを待つ間に豆を挽き、フィルターの上にそっと落とした。


ピーーーーーーッ!!


とやかんからお湯の沸く音がする。俺はゆっくりとそのお湯をフィルターに落とし、回しながら流しいれてコーヒーを抽出していく。うん、やはり豆から挽くと良い匂いだ。まぁゲームだけど。


「良いにおーい。」

「(´―`*)ウンウン」

「くるるるる。」

「落ち着く香りですねぇ。」

「ルド兄さんの入れるコーヒー楽しみやわぁ。」

「お茶請けは無いのかしら?」

「そこは自分で用意しようよルゼダ・・・・。」

「あっ私クッキー持ってますよ?皆さんどうぞ。」

「あら、ありがとうベニ。」

「僕達も何か出します?カップケーキならありますけど。」

「じゃあ私チョコ出すね。」


いつの間にか全員集合してる!?しかもおやつの交換会が始まってるだと!?俺も何か出すべきか?


「そんな事より早くコーヒー下さい!!」

「あいよ。豆は買った奴だから味は期待するなよ。」


という事でコーヒーブレイクだ。ログインして早々休憩するのはどうかと思うが、空腹度が若干減っていたからな。補給は大事。


「さて、一服した所で今後の事だな。と言ってもこのまま島に行ってダンジョンを目指すって事で良いか?」

「先に海に行って海底都市の事を確認するというのはどうでしょう?聞いたら答えてくれそうですし。」

「そう言えば休憩前にも言ってましたが海底の事が解る知り合いって誰ですか?海底まで行ける人って事は僕と同じ魚人種何でしょうか?」


突然引き合わせて反応を楽しみたい所だが、ビックリし過ぎて異常検知でログアウトしちゃうのも可哀そうだしな。先に教えとくか。


「イベントで知り合ったクラーケンだな。結構良い奴なんだぞ?」

「イベント最後に現れて、街を破壊したあのクラーケンですか?本当に大丈夫なんですか?」


テッタの疑問はもっともだ。だけど安心しろ、暴れていたのは領主が使った(というかクラーケンが勝手に飲み込んだ)魔道具が原因だから。


「大丈夫だよー。」

「( ´∀`)bグッ!」

「シアちゃん達の言う通り害は在りませんわよ。」

「そうですか。なら良いんですけど・・・。」

「まっ直接会って判断しても良いだろ。もしもの時は俺達で守れるし。」

「そうですね。オイタをしたら私の拳が火を噴きますし。」


リダの拳で殴られたらあのイカ死ぬんじゃないかなぁ・・・・。


「という事で片付けをしたら早速ポータルで島に行くぞ!島に着いたら最初にクラーケンに会いに行くって事で。」

「異議なし!!」

「大丈夫ですわ。」

「僕もそれで良いです。」

「うちもかまへんで。」

「右に同じく。」

「シアもオッケーだよ!」

「〇」

「よろしくお願いします。」

「案内をお願いしますね。」


という事で、食器類を片付けた後俺達はクランハウスの地下に向かった。そして極楽島行のポータルに飛び込んだ。あっという間に視界は真っ白に染まり、俺達はついさっきまで居た家の中に立っていた。


カイトとテッタをクランハウスに残して。


「あっやべ!パーティー申請してなかった!」

「早く戻って申請してきてくださいまし!!」

「ぷっ!くくくくっ・・・。2人共呆然として固まってそうやなぁ。」

「もうお姉ちゃん面白がらないの!!」

「急いで迎えに行ってください!!」

「すまん!!」


慌てて戻った俺は、ポータルのある部屋で呆然としながら突っ立っていた2人に謝罪をした後にパーティー申請をして再度ポータルに飛び込んだ。いやぁ、ポータルは使用権限を持っている人のパーティーに入ってないと使えないのすっかり忘れてたよ。


「という事で再度到着だ。」

「「「「「「ようこそ極楽島へ!!」」」」」」」


俺がカイトとテッタを迎えに行っている間になぜ全員がハワイアンな格好をして横断幕を掲げていた。サングラスに派手なシャツと白い短パンは何処から出した?ウクレレと帽子は?家の中に在った?それで俺の分は?サイズ的にない?そんなぁ~・・・・・。


「まぁそれはいいや。ジョーゴとホーラは?」

「丁度出掛けているみたいです。」

「書置きを見つけましたわ。」

「じゃあ俺達も書置きをして、先に海に行くか。」


という事で別荘から出て俺達は海岸を目指した。途中市場によって買い物をするのを忘れない。海産物とかここくらいでしか買えないからな。仕入れは大事だぞ?


そして海岸に着いた俺達はダンジョンの在る場所を目指して歩いた。ほどなくしてあの洞窟のある場所に到着する。


「ここに海底都市が・・・・。」

「やっとだねカイト君。」

「まぁ実際に在るかどうかは確認してみないとな。丁度後ろは海だし読んでみるか。って事でおーい!!クラちゃんやーい!!」

『はーい!』


ざっぱぁぁぁぁぁぁん!!


俺が海に精一杯の声で呼びかけると、元気な返事をしながら真っ白な巨体が海から飛び出して来た。この巨体の正体はもちろんクラーケンのクラちゃんである。命名はシー。決して俺が付けたんじゃないぞ?


『あーお久しぶりっすねぇ。今日はどうしたんで?』

「久しぶりって程時間経ってないけどな。ちょっとクラちゃんに聞きたいことが在って呼んだんだ。クラちゃんは海底都市って知ってるか?」

『知ってやすよ?』

「おっそうなのか。だったら聞きたいんだが、どこに在るか解るか?」

『あー、昔はこの島の下に在ったんですがねぇ。いつしか姿が見なくなったっすねぇ。』

「そっそんな・・・・。」

「カイト君・・・。」


クラちゃんの言葉にカイトがガクッと肩を落とす。それをテッタが肩を抱きながら慰める。姿が見えなくなったって事は無くなったって事か?あのデカい都市が突然消えるとは思えないが・・・・・。


「海底都市の滅亡か。」

『滅亡なんてしてないっすよ?先の神々の喧嘩で天変地異が起こったっすよ。その影響で海底都市は岩の下に埋まったんすよ。岩の隙間は在るし、今も海水は流れ込んでるんで、中の奴らは全員無事なはずっす。』

「本当ですか!!」

『だれっすかこの鮫?』

「海底都市の縁者だよ。里帰りしたいんだと。」

『あー、間違いないっすよ。海底都市の住人とはしばらく交流してたっすから。でも今は自力で潜るのは無理っすねぇ。俺っちが暴れてた影響で悪いのが近くに住み着いて、海底に向かう奴に噛み付くんすよ。今俺っちはそいつらを片付けてる途中っすね。』

「クラちゃんの力を借りても無理なのか?」

『数がかなり多くて俺っちも駆除に手一杯なんすよ。だから何かを守りながらはちょっと・・・。すまねっす。』

「いや大丈夫だ。無理言ってすまんな。あっと最後に、海底都市に繋がってるのはあそこのダンジョンで間違いないか?」


俺はダンジョンを見つけた場所を指さしながらクラちゃんに尋ねた。といってもこの島のダンジョンはあそこ一個だけしかないがな。


『間違いないっすね。都市の連中もそう言ってたっす。ただ中はかなり複雑になってるみたいでやすよ?出て来る魔物も天変地異の影響を受けて変化してるはずっす。』

「それは身をもって経験してるから大丈夫だ。情報ありがとうなクラちゃん。駆除の方は頑張ってくれ。」

『今度は海の中を案内できるように頑張るっすよ。アデュー。』


ザパァァァァン!!


クラちゃんは触手をピッっと振った後に飛び上がって海に潜って行った。多少の水しぶきは御愛嬌だ。ちょっと激しすぎる気もするがな。


「という事だから、どっちにしろダンジョンに行かないと駄目だったな。」


そう言いながら振り返った俺の目の前には、波を受けてひっくり返った仲間たちの姿が在った。うん、巨人の俺と普通サイズの皆だと波から受ける影響が段違いだったか。こりゃ後でクラちゃんが酷い目に遭うな・・・・・。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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