第375話

「皆大丈夫か?」

「ぺっぺっぺ、うぇ~、ひどい目に遭いましたぁ~・・・・。」

「あのイカ、今度浜焼きにしてやりますわ。」

「大きなイカはかなりアンモニア臭くて食べられたもんじゃないって聞いたよ?止めといたら?」

「うー!!うー!!」

「誰かヘルプ!ベニが砂に埋まってもうた!!」

「あー楽しかった!!」

「((´∀`))ケラケラ」

「テッタ大丈夫?」

「なっなんとか大丈夫・・・・。死ぬかと思った・・・・。」


とりあえず埋まったベニは俺が引き上げて、ついでに砂を払い落として置いた。その間に皆も体に着いた砂を落して何とか起き上がったな。さぁて、クラちゃんのお陰でダンジョンの奥に海底都市が在る事が判明したから早速ダンジョンアタックだ!!シアとアイギス以外メンバーの顔に怒りマークが見えるが気にしないぞ!!やらかしたのはクラちゃんだしな。


「はぁ、仕方ありませんわね。あのイカには報復するのは次回にするとして、パーティーはどう分けますの?」

「そう言えば今旅人の人数が8人ですね。1パーティ6人までですから人数を分けないと。」

「俺がこのまま2人と組んでも良いが?」

「それでも良いですが残ったメンバーだけだとバランス悪く無いですか?」

「シアちゃんとアイギスちゃんをこっちに貰うとしても微妙ですねぇ。」

「テッタはんは盾職なんやろ?やったらルド兄とテッタはんで別れたらええんちゃう?」


まぁバランス的にはそうなるよなぁ。テッタとカイトは一緒にするとして・・・・。そうだな、リダと俺にシアとアイギスだけで行けるな。回復と後衛はシアとアイギスが出来るし、攻撃力はリダで良いしな。あとは2人のフォローに回って貰うか。


「そうだな、じゃあ俺とリダだけでダンジョンに潜るわ。シアとアイギスが居れば何とかなるだろ。」

「じゃあ私達はテッタさんのフォローですわね。」

「ルドさん達は本当に大丈夫ですか?もう少しそっちに人を回しても大丈夫そうですよ?」


まぁ心配なのも解るが今回重要なのはカイト達を最下層に連れて行くことだからな。ぶっちゃけ俺達がやられても何ら問題無いんだよ。だからカイト達の人員を手厚くした訳だ。じゃあなんでリダを取ったんだって?俺も出来たら海底都市に行きたいからだな。


「まぁ一緒に動くんだからほとんど関係ないんだがな。」

「まぁそうですわね。」

「どことなくフラグの匂いがしますね・・・・。」


考え過ぎだと思うぜリダさんや?まぁ分断されるような事が在っても大丈夫な様に考えてるから心配いらんよ。多分。


「とりあえずPTの組み換えは終わりましたよ。」

「すみません、よろしくお願いします。」

「頑張って皆さんの事を守ります!!」

「ダメージ受けてもちゃんと回復しますから心配いりませんわ。」

「うちらも頑張るで!」

「よろしくお願いします!!」

「わーい!探検だぁー!!」

「((o(´∀`)o))ワクワク」


PTは提案通り俺・リダ・シア・アイギスとカイト・テッタ・クリン・ルゼダ・ベニ・ルリに別れた。準備は出来たし早速ダンジョンに潜るとしますか!!


「大事な事忘れとんで。」

「ん?何か忘れてたか?」

「忘れたんですかルド兄さん?私達、食事バフが無いと途中で進めなくなっちゃいますよ?」


そうだった!!このダンジョン水没してるんだった!!仕方ない、ちゃっちゃと何か食べるか・・・・。インベントリに良い物が在ったはずだ。


タララッタッタッタタン♪タララッタッタッタタン♪タララッタッタッタッタッタッタッタッタッタンタッタン♪


はい、という事で今回の簡単バフ食事はとろろ昆布のお吸い物だ!リアルでも作れるから是非試して欲しい。


材料は簡単!市販のとろろ昆布と醤油だけ!あれば味の素をちょっと入れるとうまいぞ!ん?どこで手に入れたんだって?市場に普通に売ってたぞ。


では調理方法だ。と言っても超簡単!適度にほぐして千切ったとろろ昆布を器に入れ、醤油を少し入れてお湯を注いで軽く掻き混ぜるだけ。これだけで超お手軽とろろ昆布のお吸い物の完成だ!!お湯さえ沸かせば30秒掛からずに出来るぞ!


「あちちち。」

「さっき波を被ったので温かいのがうれしいですね。」

「体が冷えたからすっごい助かるで!」

「バフ効果が水中呼吸と水中移動だけなのが残念ですわ・・・・。」

「はふぅ・・・・。ホッとしますぅ・・・・。」

「おいしい!!パパおかわり!!」

「ダンジョンから戻ってからな。」

「(゚∀゚)ウマウマ」


お湯をインベントリに入れて置いて良かったよ。貴重な枠を潰してた甲斐が在ったってもんだ。シアがお代わりしたそうだが、どうせ中に入ったら海鮮素材を沢山手に入れるつもりだし無事に海底都市に辿り着けたらバーベキューにするからな。早くダンジョンに入りたいし今は我慢してくれ。


全員に水中呼吸と水中移動のバフを盛った後、しっかりとホーラさんの寝具で休憩(10分の仮眠で効果を発揮してくれた。)してバフ効果を延長しておいた。これで今日のログイン中にバフが切れて困る事は無いだろう。これで本当に準備完了だな。さぁてやっとダンジョンに入れるぞ!


という事で今はダンジョンの中だ。途中まで来た事の在るこのダンジョンはマップにしっかりと前回通った道と、あの中ボスの居た部屋が表示されている。そうそう、そのマップにこのダンジョンの名前がシッカリと記載されていた。その名は『海鮮洞窟』。出て来る魔物とドロップアイテムを考えるにピッタリの名前だと思った。


まぁダンジョンの名前は置いといて、前回最後に辿り着いた場所は中ボスが出た場所だ。ゲーム的に考えればその先に海底都市に繋がる道が在るはずなんだよな。


だからあの部屋まで一直線に行っても良いんだが、その前にテッタとカイトの戦闘能力を一度確認しておいた方が良いという話になった。丁度良くあの岩殻クラブが居る岩石地帯に差し掛かったしな。腕試しって訳だ。


「壁役として自信はありませんが。頑張ります!!」

「僕も出来るって事をしっかりとお見せします!!」

「フォローは任せて下さいな。」

「うちらも頑張るで。」

「一杯走ります!!」

「僕はもしもの時に待機しておくね。」


と気合十分な面々。全員が集まって作戦を話し合った後にフォーメーションを組んでいた。俺達はどうしてるのかって?ちょっと離れた場所で見学ですよ。まぁ何時でもフォローできるように準備はしているがな。


「まずはバフを付与して行きますよ!ガンガンガガン!!」


テッタの<城壁の歌>。<歌唱>スキルにより効果2倍。パーティーメンバーに被ダメージ-100ポイントの効果。ブレス消費10ポイント 残りブレスポイント990


「まだまだ行きます!!遥か昔昔の出来事~♪」


テッタの<師子王の凱旋>。<歌唱>スキルにより効果2倍。パーティーメンバーに与ダメージ+200ポイント 被ダメージ-200ポイント 激励の効果。ブレス消費100ポイント 残りブレスポイント890


激励の効果によりカイト・クリン・ルゼダ・ベニ・ルリのスキルリキャストタイムが短縮。


「攻撃力をもっと上げますよ!!立ち~上がれ~♪」


テッタの<オーラソング>。<歌唱>スキルにより効果2倍。パーティーメンバーに与ダメージ+200ポイントの効果。ブレス消費10ポイント 残りブレスポイント880


これエッグいよなぁ・・・・。これだけで自分と味方にかなりのバフ効果が付いたんだぜ?歌わないと使えないスキルの特性上、戦闘中に一気にバフを付けられないとはいえボス戦前とかに使えばかなり有用なスキルだと思う。なんせ現状でもダメージ+400ポイントに被ダメージ-300だぜ?スキルコンボを使えばさらに上がるってんだから俺以上にチートだろ。


「バフはこれくらいで良いですよね。じゃあ起こしますよー。ファーーーーーッ!!」


テッタの音波攻撃

<深呼吸><超超音波><歌唱>スキル発動

<深呼吸>の効果によりブレスポイント100ポイント回復 残りブレスポイント980

<超超音波>の持続ダメージ240ポイント ブレス消費10ポイント/秒 使用時間10秒 残りブレスポイント880


テッタが発した超音波は周りの岩に罅を走らせ、中に隠れていた蟹達にダメージを与える。それを見て慌てる他のパーティーの面々。うんテッタさんや。今更だがそんなに全力でスキル使って良かったのかね?君の声は今や超兵器と化してるぞ?ましてやここら辺の蟹は体力が非常に少ない。具体的には45~55くらいのHPしか無いんだぞ?戦闘中じゃないから防御行動を取る事もしない奴等にそれだけの高火力をぶつけたら・・・・・・。


隠れていた岩殻クラブの群れは消滅した。

オーバーキル!!ドロップ減少!!

何も残らなかった。


「あれー?」


あれー?じゃないが。良い所見せようと気合が入ってたんだろうがやり過ぎじゃい。さっきの作戦会議は一体何だったんだ?ルゼダ達が頭を抱えてるし明らかに作戦と違ったんだろう。だがバフを途中で止めなかった君達にも責任は在ると思うぞ?


辺り一帯の岩殻クラブを消失させたテッタが肩を落としながらトボトボと俺達の元に歩いて来る。


「気合入れすぎちゃいました・・・・・。」

「うん、次はバフを控えめにしような?」


あれだけのバフ詰んだらこんなダンジョンの初期階層の敵は消滅するわ。攻撃力をかなり上げられるのは解ったし、テッタが歩くマップ兵器と化しているのが判明したんだから次は気を付けような?


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


盾職と言う名の音響兵器テッタ。「私の声を聞けぇ!!」すれば大体の敵は消え去りますw それもこれも歌わせ続けたシスターが悪いんや・・・・・。

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