第363話

「ったく、あいつは性懲りもなく又悪さしてんのかい。ボン!!一発かましてやりな!!」

『アイアイサー!ボン潜航しますぞ!!』

「シーも行くの~。」


ばしゃーん!!


水しぶきを上げながらボンの船体は海中に消えて行った。空を飛んでいる俺達には見えないが、細い影が白い糸を引き流らクラーケンに向かって進んでいくのが見える。あの魚の骨魚雷を使ったか。


ボン!ボン!ボーン!!


『GYAAAAAAA!!』


魚雷が命中したクラーケンは、痛みからかその巨体を海上に現した。いやでけぇなおい。15メートルくらいは在るぞ。


ざぱぁぁぁん


飛び出したクラーケンはそのまま俺達に向かって・・・・来ずに島に向かって移動を始めた。ってえっ!?なんで島の方に移動するんだ!?


『あー、ごめんそれ僕の所為。』

「何したんだ!!」

『領主にこき使われた仕返し?魔物を操る魔道具をちょちょいと改造して、操っていた魔物に狙われるようにしたんだ。海の魔物だから地上には出ないだろうと思ってたけど・・・。あっ上陸した。』

「馬鹿野郎!!大惨事じゃねぇか!!」

「ったく島の奴らはあいつに何をしたんだい?正気に戻そうと攻撃しても全く反応無かったよ。」

「私が説明しますわ。あとあのクラーケンはお知合いですの?」

「あいつが元々の島の守り神だよ。あたいらはあいつに何かあった時に手助けする係さ。」

「50年前の約束なの!」

『当時の領主との約定ですな。』

「「「「「「「「えーーーーーっ!?」」」」」」」」


衝撃の事実!領主は守り神を使役していた!!いや、それじゃああいつ倒せないじゃないか!!クラーケンは街を破壊しながら進むし一体全体どうすれば!?


「ってそんなの決まってるよな!クラーケンに付けられた魔道具を破壊するぞ!!」

「今なら地上に居ますし十分狙えますわね!」

「急がないと街に居る旅人がクラーケンを倒しちゃいますよ!」

「あいつが殺される所なんてあたい達も見たくないからね。手伝うよ。」

「シーも手伝うー!」

『お2人に後は任せてボンは隠れておきますぞ。』

「「ボンも来るんだよ!!」」


方針は決まり切っているが問題はその魔道具の場所だ。一体どこに付けられているんだ?


『うーん・・・。お腹の中だねぇ。』

「魔道具を飲み込んだから操られてんのかよ・・・。」

「昔っから食い意地張ってた奴だからねぇ・・・。」

『最初は私も齧られましたぞ・・・。』

「クラちゃんと会った時の事なの。」


骨しかない船まで齧るとかどんだけ意地汚いんだ?まぁそんな事は問題じゃなくて早く腹の中の魔道具を取り出さないと!


「という訳で行きなボン。」

『形が変わっただけじゃない事をお見せしますぞ!』

「やっちゃうのボン!」


ボエェェェェェェェェ!!


カーラの号令に気合を入れるボン。するとボーン・ダッチマン号に取り込まれた鯨の部分が大口を開けて鳴いた。そしてあっという間に骨の翼を広げて空を飛んだと思ったら、そのまま街を破壊しながら進むクラーケンに向かって突撃した!?


ずぶぅ!!


『GYAAAAAAAAAAAAAA!?』

「五月蠅いねぇ。腹の中の物取り出してやるんだから感謝しな。」

「拾い食いしちゃ駄目って約束したのに、その約束を破った罰なの!!」

『もうちょっとこっちでしょうかねぇ?』


ぐりぐりぐり


『GIIIIIIIIIAAAAAAAAAAAAAAAA!?』


うわっえぐっ!?船首に取り付けられている巨大な衝角で胴体部分を突き刺したと思ったら、そのままぐりぐりと抉り始めたぞ。


これには街を破壊しながら領主館を目指していたクラーケンも動きを止め・・・・てないな。逆に暴れまくって被害を増やしてる。ちょっ!住人が死ぬからストップ!ストーップ!!


「駄目ですわ!クラーケンが騒がしすぎて聞こえてませんわ!!」

「俺達は住人の避難誘導をするぞ!クラーケンが暴れてるのは・・・。攻撃判定だったら俺が受けるから回復は任せた!!マロ、あのイカの近くに降ろしてくれ!!」

「私達は住人の非難を最優先!他の旅人にも協力して貰える様に声を掛けますよ!」

「でもリダさん?僕達の話を聞いてくれるとは思えないんですが?」


確かに暴れるクラーケンの傍では旅人達があいつを倒そうと攻撃している。その傍から触手に吹き飛ばされて死に戻ってるみたいだけどな!!


『なら今完成したばかりの僕の魔道具使うかい?パパラパッパラー『人避け拡声器』~。この拡声器は『ジョーゴ、詳しい説明を聞きたい気持ちは在るわ。でも今はそれより島の人達の非難が先じゃないかしら?』ホーラの言う通りだね。それじゃあ。【みなさーん!!クラーケンから逃げて下さーい!!】』


本当にこの人はいつの間に魔道具を作ってるんだ?そしてその材料はどっから手に入れた?


完全に赤いメガホンな見た目の魔道具に向かって叫ぶジョーゴ。すると、メガホンがボロボロと崩れると同時に住人たちは何かに突き動かされるようにクラーケンから離れ始めた。っていうか怪我をしている人も、完全に致命傷を負っている人も動いてるんだが!?


『動いてる今なら回復が間に合えば魔道具の効果で助かるよ。魔力で保護されてるからね。』

「そいうのはやる前に説明して欲しいですわ!!<治癒>!!」

「他の旅人の人も住人を回復してくれてますね。」

「あっモフモフ倶楽部の人達だよパパ!あの人たちも回復してくれてる!」

「おっこっちに気が付いて手を振ってくれてるな。」


回復と住人の避難を行ってくれているみたいだ。助かるぞモフモフ倶楽部!!


「キュッ!」

「サンキューマロ!ちょっと行って来る!!<陽動>!!」


クラーケンの傍に辿り着いたマロから飛び降りながら俺はクラーケンのヘイトを稼ぐ!あの暴走状態はやはり攻撃判定だったみたいで無事に俺に攻撃が集中し始めた。


クラーケンの暴れる攻撃

触腕・剛腕・軟体・連撃・女王様・狂乱スキルが発動

ダメージ240ポイント

10連撃達成!!ダメージ+10ポイント

ダメージ250ポイント

狂乱の効果発動 与ダメージ2倍!

ダメージ500ポイント


ルドの防御

万想いの鎧・盾使い・両盾持ち・純潔・被ダメージ減少・ヘビィウェイト・盾強化・身体硬化スキル発動

身体硬化にHP100消費 ダメージ100ポイント無効化

スキルコンボ!!万想の鎧・盾使い・両盾使い・純潔スキル発動により<守護者の鎧>スキル発動

ダメージ200ポイント無効化 HPを100回復

食事効果発動 ダメージ-400ポイント

ダメージ-845ポイント

ルドのダメージ0ポイント


ゴゴゴゴゴンッ!!


「ぐおぉぉぉぉぉっ!?」


攻撃は無事に受けられたが、ヘビィウェイトを使っているにも関わらうず押し込まれる!?ノックバック効果も無効化しているはずなのにこれか!!


しかも攻撃をしたはずのクラーケンはそのまますぐに攻撃の体制に入ってるし!?


クラーケンの連続攻撃

触腕・剛腕・軟体・連撃・女王様・狂乱スキルが発動

ダメージ240ポイント

10連撃達成!!ダメージ+10ポイント

ダメージ250ポイント

狂乱の効果発動 与ダメージ3倍!

ダメージ750ポイント


「狂乱ってスキルは攻撃するたびに威力が上がるスキルなのかよ!?」


ルドの防御

万想いの鎧・盾使い・両盾持ち・純潔・被ダメージ減少・ヘビィウェイト・盾強化・身体硬化スキル発動

身体硬化の効果でダメージ100ポイント無効化

スキルコンボ!!万想の鎧・盾使い・両盾使い・純潔スキル発動により<守護者の鎧>スキル発動

ダメージ200ポイント無効化 HPを100回復

食事効果発動 ダメージ-400ポイント

ダメージ-845ポイント

ダメージ0ポイント


「いい加減そろそろ止まれ!!」

『もうちょっとで取れますぞー!!』


もうすぐで取れると言われてもこっちの方が持たんぞ!くっ!?もう次の攻撃が来た!!


クラーケンの連続攻撃

触腕・剛腕・軟体・連撃・女王様・狂乱・暴走強化スキルが発動

ダメージ240ポイント

10連撃達成!!ダメージ+10ポイント

ダメージ250ポイント

狂乱の効果発動 暴走強化スキルにより効果増大 与ダメージ10倍!

ダメージ2500ポイント


バギャンッ!?


クラーケンがいつの間にか真っ赤なオーラに包まれていた。そして、その状態で繰り出された攻撃を受けた俺は、両手に在った盾が粉砕されるのをスローモーションで見ている。


これって臨死体験ってやつか?クラーケンの触手が盾を砕きながらゆっくり迫って来る。そういえば初心者シリーズって耐久値無限じゃなかったっけ?壊れたりするんだなぁ。いやぁこれなら新しい盾を準備しておくんだったな。まぁ死んでもリスポーン地点に戻るだけなんだけど、ここで退場するのは何か悔しいぞ?


あっ、なんか白い光りが・・・・。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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