第362話
俺達はダンジョンから脱出して拠点に戻って来ていた。モフモフ倶楽部のメンバーは先に戻ってきているらしく、隣から賑やかな声が聞こえてきている。
「うし、これでお札が揃ったな。」
「あっ揃った?それじゃあ物質復元光~。」
ペカー
ジョーゴがスッと出て来て復元光を当ててお札を修復してくれた。うん、いきなり現れるのに慣れてきている自分が今一番怖い・・・。
「バッチリ直りましたわね。」
「サンキュージョーゴ。そう言えば何か在ったりしたか?」
「うーん、かなりの大人数がこの拠点を襲撃しようとしてきたよ。まぁ僕の魔道具とルドのアイデアのお陰で全員撃退したけどね。」
「私の店の近くで見た人達でした。お宝返せと言ってましたよ?」
うん、ヌルッとホーラさんも出て来たな。んでそいつら完全にドラゴンバスターの連中だろ。いつかは居場所がバレると思ったがもうバレたか。
「まぁもう遅いけどな。」
「盗んだお宝はお札に戻りましたものねぇ。」
「綺麗に直ってるよパパ!」
「☆-(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノイエーイ」
修復されたお札は、古い紙に赤いインクで模様が描かれている物だった。。その模様には、何やらお札を天に掲げて何かを呼び出す様子が描かれている。これがお札の使い方か?
「使い方解らないのパパ?じゃあシアが見せて上げる!<精霊の瞳>~。」
ぬおっ!!シアがスキルを使うとお札の上に情報が浮かび上がって来た!これはシアのやつ、重要な情報を抜いたな?
守り神のお札
古の巨大生物を呼び出す為のお札。呼び出す為には大量の食糧と儀式が必要。海岸にて大量の料理を用意し、無垢な子供に舞を躍らせ札を海に投げ入れるべし。
※シークレット情報
守り神を呼び出す為にそんな事必要ないピョーン♪ぷぷぷ、のちの子孫がまじめな顔して儀式を行うのが楽しみだ。無駄なのにねぇ~ぷぷぷ♪呼び出すには海に札を投げ入れれば良いだけなんだよなぁ。あの世から無駄な儀式をする子孫を見て笑って過ごすぞー。あっでも食い物用意してたらあいつらは喜ぶけどな。
「これ、シアが見てくれなかったら本当に無駄な儀式をやってた訳か・・・。」
「ずいぶんと性格の悪い人がお札を作ったみたいですわね・・・。」
「そんな事よりも早く儀式を行いましょう!クラーケンを倒すのです!!」
「リダさんの言う通りですよ。早く海に戻りましょう。」
そうだな、イベントも後1日で終わりだし急いでクリアしようか。
『この館に居る者に告げる!!お前達は領主館を襲撃し、重要な人物を攫った疑いが在る!!領主の命により捕縛の指示が出ている。大人しく投降せよ!!』
さぁ海に向かうぞと動き始めようとしたところでなぜかこんな大声が家の外から聞こえて来た。よく見ると兵士の恰好をした人が家の周りを囲んでいる。あちゃー、ジョーゴさんを助けた事もバレたか。まぁあいつらが使っている結界を使ってるんだからバレるか。
「まぁ投降するわけないがな。よろしくなマロ。」
「きゅー!」
「マロちゃんで飛んでいけばすぐに海ですもんね。」
「全員武装してマロちゃんに搭乗。海に向かいますわよ!!」
『準備できてるよ。』
『いつでも行けます!』
「食事バフはまだ半日持つが、念の為にこれ渡しとくな。」
「おー!わかめおにぎりやん!鮭も入っとる!」
「簡単に混ぜる奴じゃなくて、具材から作ってるの凄いですよルド兄さん。」
「まぁわかめっぽい奴と鮭っぽい奴だけどな。肉のしぐれ煮と卵焼きに浅漬けも一緒に入ってるから。腹が減ったら食ってくれ。」
「いつの間に作ったんですの・・・・。」
「ダンジョンの中でちょろっとな。まぁ蟹はイベント終わってからのお楽しみだ。」
うっし、じゃあ早速海に向かうぞ!!外に居る兵士と旅人がいい加減うるさくて我慢できないしな。
さすがに空を飛んで逃げるとは思っても居なかったのか、マロで敷地から飛び出した俺達を兵士達は茫然と見上げるだけだった。ドラゴンバスターの面々は俺達が空を飛べると知っているからか、武器を構えて攻撃してきたがそこはさすがマロ。するりと攻撃を避けてさっさと範囲外から脱出してくれたよ。
「マロちゃんの回避能力かなり高いですよねぇ。」
「風を読んで飛んでるみたいだからな。攻撃で起こる気流を感じて避けてるみたいだな。」
「あっもう海に着きましたよ!!もうお札入れちゃっても良いですか?」
「落ち着きなさいなクリン。その前にお客さんですわ。」
どぱぁぁぁぁぁん
一直線に海に向かって進んだもんだから結構な沖合まで出てしまっていた。すると、海中から白い物がマロを捕まえようと飛び出して来た。
「これがクラーケンの触手か。」
「かなり大きいですねぇ。マロちゃんの所まで伸びて来るんですから。」
「何を呑気に談笑しとんのや!めっちゃピンチやん!!」
「早くお札を海に入れましょう!!」
「今投げたら触手に張り付きそうだなぁ。マロ、急速離脱。触手の範囲外に出たら海面すれすれを飛んでくれ。」
「ぎゅっ!」
「マロ頑張れー!」
「ファイトォ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*!!!☆」
俺の言葉に気合を入れたマロは今までにない動きで次々に飛び出してくる触手を躱し、海面すれすれを飛行し始めた。いやぁ、かなりアクロバットな動きで触手を躱すもんだからシアとアイギスが凄い喜んでたな。まるでジェットコースターに乗ってるみたいな感じだったし。俺もちょっと楽しかった。
「うっし抜けたな。札を海に入れてくれ。」
『了解。』
『私が入れますわジョーゴ。守り神様、どうか島をお守りください・・・。えいっ!』
お札を持ったホーラさんが札を手に祈りを捧げて海に投げ入れる。海に入った札は次第に輝き始め、海の中に魔法陣を浮かび上がらせた。
『コーツコツコツコツ!!呼ばれて飛び出て飛び出しましたぞー!』
「飛び出て飛び出したってボンは同じ事言ってるの。」
「まったくいつもいつも騒がしい奴だよまったく。んで?あたいらを呼び出したのは一体誰だい?このボーン・ダッチマン号船長カーラ様の登場だよ!」
魔法陣から現れたのは、無数の骨で出来た真っ白な船とそれに乗る人魚とスキュラの2人。そう、ALO時代に遭遇した美人海賊カーラと人魚のシー、ゴーストシップのボンだった。
「って懐かしいなぁおい!!元気にしてたのか?」
「ん?ってルドじゃないかい!あんたら生きてたんだねぇ。」
「お久しぶりなの!」
『コーツコツコツ、皆様お元気そうで何よりですぞ。』
突然のカーラ達の登場に驚く俺達。そんな俺達の反応を見てジョーゴさん達も驚いていた。
『ルド君達が守り神様と知り合いだった何て・・・。』
『驚きです・・・。』
「なぁなぁ、兄ちゃん達この人達知っとるん?」
「美人さんと骨の船。凄いです。」
「こいつ等海賊でな。海に出た時に襲われた事が在るんだよ。まぁ撃退した後なんやかんやあって一緒に瘴気を倒す戦いをしてな。仲良くなったんだ。」
あの頃はアルバトロスに乗って移動してたなぁ。懐かしい・・・・。
「シーちゃん大きくなりましたねぇ!美人さんになりましたよ。」
「そうですわね。もう立派な人魚ですわね。」
「そ、そうかなぁ。えへへ。」
「カーラさんも変わりませんねぇ。」
「あたい達人魚族は寿命が長いって言ったろ?外見的に歳を取るのはまだ先だよ。」
カーラさんのいう通り、彼女は相変わらず抜群のプロポーションを誇り、下半身のタコも元気にうねっている。マスケット銃も健在だな。
シーは最初に会った時は子供だったが、今や立派な大人の人魚だ。まぁ一部はあまり成長しなかったみたいだが。それでも可愛らしかった顔が美人になっている。
ボンは相変わらず骨の集合体だ。船体がかなり大きくなっている様で、前に取り付けた飛行用の翼は数が増えて折り畳んだ状態で船体の横にくっ付いてるな。衝角に大きな角が追加されてるようにも見える。あとなんか動物的な形に変わってる?
『巨鯨族の骨を取り込んだ結果ですぞ!コーツコツコツ♪』
「骨の墓場にうまい具合に落ちてたもんでな。使わせて貰ってるよ。」
「ほう、そんな偶然が在ったんだな。」
「クジラだったころのロアの親戚かもですわね。」
それはあり得るかもなぁ。ロアの元の種族はジャイアントホエール。まんま巨鯨って意味だしな。
「そんな事よりあたい達に再開する為にあれを使ったのかい?あれは島の奴に何かあった時に使えと言って渡した転移の札だったんだけどねぇ。」
「おっとそうだった。カーラ船長にはクラーケンを退治して貰いたいんだよな。」
『そうです!!今島はクラーケンの所為で島民と観光客が閉じ込められて大変な事になってるんです!だから守り神様、どうかお助け下さい!!』
「うおっ!突然現れるからビックリするじゃないのさ!」
「カーラ船長は相変わらずちょっと抜けてるの。ちゃんと移動してる所見えてたのよ?」
『コーツコツコツ、外見に突っ込みを入れない所も抜けてると言えますぞ。』
「あんた達五月蠅いよ!!」
相変わらず賑やかな奴等だよ。談笑してた俺達が言える事じゃないが、ちょっと急いでくれませんかね?海中にある黒い影がこっちに迫って来てるからさ。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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