第357話

さて、お札は9枚まで揃った。最後の1枚を回収しに向かおう。


「それで?最後の1枚は何処にありますの?」

「ん?最後の1枚は海の方に在るぞ。」

「海ですか?」


そう、腕時計が指し示している方角が完全に海なんだよな。そんでもって今も動き回ってる。海岸を走ってたりするのかね?


「何か探し物ですか?私達もお手伝いしましょうか?」


おっと、塀の向こうで飯を食っていたコウサが手伝いを申し出てくれた。だがこれは受けても良いもんかどうか・・・・。


「あっ、ならそちらの拠点から出させて頂けませんか?こちらの拠点の出入り口は人で溢れてますので・・・。」

「全然大丈夫ですよ!」


そう言えば今も拠点に入ろうと時たま旅人が罠に引っ掛かってるんだよなぁ。飯作ってたら移動床を滑る旅人がたまに通り過ぎて行ったし・・・・。


「入口の方、まだたくさんの人がいたよ。住人も入ろうとしてたから止めて来た。」

「旅人さん達は聞く耳持って頂けませんでした・・・。」


ジョーゴとホーラが玄関先の現状を伝えに来てくれた。住人を罠で倒したら洒落にならないから止めてくれて良かったよ。


「それでどうすんだ?俺達が探し物手伝って良いのか?自慢じゃないが俺達の友魔、探し物はかなり得意だぞ?」

「ご飯の恩もあるのでぜひ手伝いたいですぅ。」

「一飯の恩義は返すで候。」

「御代わり!!」

「ボタンはそろそろ食べるの辞めなさい?」


確かに動物系友魔は感覚が鋭くて探し物が得意だと聞いた事が在る。うん、こう言ってるし今更裏切る何て事無いだろう。手伝って貰うか。


「パパ、グラタンまだ?」

「今出来た。ほら、熱いから気を付けて食べろよ。ボタンもこれで最後な。」

「「はーい。」」バクバクバク「「ご馳走様でした!!」」

「早すぎるわ!!」

「よく噛んで食べた方が良いですよ?」


野菜多めの大盛りグラタンを2つ、あっという間にぺろりと平らげる2人。モフモフ倶楽部の友魔達もお腹一杯になったのか寛いでいる。じゃあ飯を食った対価は労働で返して貰おうか。


「うっし、少し休憩したら探し物手伝ってくれ。探し物っていうのはさっき貰ったお札の欠片だ。」

「あのお札ですか?あれって一体何なんです?」

「うーん、話を聞かせてやりたいんだが・・・・。行くぞ?k;ひおぺwpqlgd@おいjkっしうおhsじおふs、mdじじょplfgぢそl。」

「うわっ!うわわわわ!!突然どうしたんですか!?」

「あーやっぱりか。」


懸念していた通り守り神の目覚めクエストに関する事を言おうとすると、セーフティが働くのか言語がバグる。俺は普通に話しているつもりなのに、聞き取る方ではまるで狂ったラジオみたいに聞こえるみたいだな。受注クランが決められてるし、変に語ってしまってクエストを受けてないのに強制的に参加する!!って事が出来ない様になってるっぽいんだよなぁ。


お札はお宝の1つになってるから物自体を伝える事が出来るって訳だ。ちなみに今言ったのは「お札は守り神を復活させるために必要で、この島の領主が旅人や住人を島に閉じ込めようとしている。」だ。


「クエストの一環か?言えないなら仕方ないな・・・。」

「でも探し物は分かりましたですぅ!お札を探せばいいんです!」

「お札ならポンキチのポンきちに任せて下さい!!匂いをバッチリ覚えてます!」

「おう、これから海に行くから頼むな。」

「僕達はこの家でのんびりさせて貰うね。」

「ジョーゴと一緒にここを守ります。」

「・・・・如何わしい事するなよ?」

「「するわけないじゃない。ヤダナァ・・・・。」」


完全に目が泳いでる訳ですが?何をするつもりだったんだ?ん?ナニをするつもりだったんだろ?人の家でやるんじゃねぇよ。


「さてと、それじゃあ片付けてちょっと休憩してから海に出発だ!!」

「「「「「「「「「「「「「「おーー!!」」」」」」」」」」」」」」


なお食事バフは上書きされた模様。うむ、最初のままでも良かったが、今回も良いバフが付いたぞ。


行動速度UP

攻撃力UP +200ポイント

防御力UP +200ポイント

状態異常無効

水中呼吸

水中移動

※ルドは攻撃封印の効果で攻撃力UP+0、防御力UP+400に変更。


効果時間20時間 


エビを食べた事で動く事に補正が入った。肉と出汁に使った貝、後は蟹コロッケのお陰で防御力もマシマシだ。野菜も多く食べた事で状態異常は無効に。そして一番驚いたのが、わかめスープを出したら水中呼吸と水中移動が付いた。これで海の中にも入れるって寸法だな。入るか分からんが。もちろん小休止の時もしっかりとホーラの寝具を使って休んでいるぞ!!バフ強化の効果はやはり捨てがたいしな。


「何気にルドさんの料理の腕前も上がってるの気が付いてます?」

「駄目ですわ。これ完全に効果が増えたのは寝具の所為だと思ってますわ。」

「獲得熟練度+2倍の効果で料理スキルが成長してるの全く気が付いてないね。」

「ほんま、たまに抜けとるんよな兄ちゃんは。」

「そこがルドさんの良い所でも在るけどね。」


皆が何か言ってるが良く聞こえんな?それよりも早く腕に乗ってくれ。塀を超えて向こうの拠点から出るぞー。


はい、そんなこんなで海に出てきました。えっ?襲撃は無かったのかって?他の旅人は襲撃所じゃなかった模様。うん、スタミナが減って飢え状態に苛まれている旅人はあちこちに転がってたぞ。何人か死に戻ってたし、今頃リスポーン地点大変な事になってそうだなぁ・・・。まぁそんな事は置いといて札の反応は・・・・こっちか。


「私達が最初に挟み撃ちをされた場所ですわね。」

「でもここにお札何てあったっけ?海と岩しかないけど?」

「反応はここを示してるんだけどなぁ・・・。なんでかぐるぐる回っててどこに在るのかさっぱり分からん。」

「そこは!!」

「「「「「「「私達にお任せを!!」」」」」」」


ここでモフモフ倶楽部がやる気を漲らせて前に出た。


「さぁ行くのですうさちゃん!!」

「隠れてる物を見つけろ寅丸!」

「匂いを探していのちゃん。」

「魔力を見逃すでないぞ銀狼。」

「変な魔力を探してねミーちゃん。」

「ポンきち頼んだです!」

「手羽先は待機だな。何か見えたら教えてくれ。」

「行くですぅシモーン。空から探すですぅ。」


おー、コウサたちの号令で一気に動き始める友魔達。いやぁ壮観ですなぁ。それぞれ得意な事でお札を探してくれてる。俺達も負けてられないな。


「俺達も探すか。任せっきりにはしてられないからな。」

「そうですね!!」

「久しぶりに出番ですわよロア。」

「くわーっ。」

「ロア太った?」

「・・・・最近あんまり出番無かったからですわね。沢山動いてダイエットですわ!!」

「友魔も太るんやなぁ・・・。」

「それじゃあシアちゃんとアイギスちゃんも?」

「私達は太らないよ!だって一杯運動してるもん!ねぇアイギス!」

「(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。) ウンウン」

「ほらほら、じゃれついてないでさっさと探すぞー。」


探すのは良いが動き回ってるのが気になるんだよなぁ・・・・。一体どこに在るんだ?


お札を探す事1時間強。その時、タヌキチが声を上げた。


「あっ!何かありました!!」

「おっ!見つけたか?」

「いえ、お札じゃないんです・・・。」


とりあえずタヌキチが居る場所に全員が集合した。するとそこには岩場に隠れてぽっかりと口を開ける洞窟の姿が。


「隠し洞窟ですわね。」

「しかも地下に続いてそうです。」

「地上を探しても全く見つかりませんでしたから、多分この中に在るんだと思います。」

「サンキュータヌキチ。それとモフモフ倶楽部もありがとな。こっから先は俺達だけで行って来る。」

「水臭いぜルド!俺達も手伝わせてくれ!」

「いやぁ、出来れば手伝って欲しいんだが。多分俺達が洞窟に入るか、目標を見つけるとお前達弾かれるぞ?」

「あっクエストのセーフティですか?」

「そうだな。」


試しに俺が洞窟の中に入ると、モフモフ倶楽部には洞窟が消えたように見えたらしい。他の仲間は洞窟が見えてるって事だし、これ完全にイベント用のフィールドって事だ。こんな場所良く見つけたなぁタヌキチは。いや見つけたのは友魔のタヌきちか。


「という訳でお前達はここまでだ。探してくれてありがとうな。」

「必ずお札を手に入れてきますね。」

「結果は報告しますわ。」

「僕達も頑張って来るよ。」

「ほんまおおきにー。」

「ありがとうございました。」

「じゃーねー。」

「(´∀`*)ノシ バイバイ」

「くえっ。」

「くっ!一緒に行けないのは悔しいですが、頑張って来て下さい!」

「「「「「「お気をつけて!!」」」」」」」


俺達はそのまま洞窟の奥に進むのだった。さぁて、何が居るかなぁ?


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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こぼれ話

タヌキチのタヌきちは能力で変化が出来ます。その関係上、変化している物を見抜く力が在ります。また、狸獣人のタヌキチも隠れている物を見抜く力が在って友魔にその力を貸す事が出来ます。つまり見抜く力の相乗効果+小さなバグの効果で洞窟を発見しました。本来ならクエストを受けた人にしか見えない洞窟なんですよね。バグ修正頑張れセカンドライフ社!!(なお面白いからとこの効果は正式に採用された模様。)

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