第356話

「モグガツモグガツ!!」

「ガツガツガツガツ!!ッ!?」

「ほらオレンジジュースだ。もっと落ち着いて食え。料理はまだあるから。」

「ごくごくごく!!ぷはぁ!!ぐすっ・・・・ずびばぜん・・・・。」

「私達誰一人料理できなくて・・・・。」

「うめぇ・・・うめぇよぉ・・・。」

「泣くな。お前が泣いたら俺も・・・うぅぅぅ。」

「一体どれだけ食べてなかったんですの?」

「イベントが始まってからです・・・・。」

「2日間何も食べて無かった訳か。」

「まさか市場が閉鎖される何て思っても居なくて・・・・。」

「ひもじかったよぉぉぉぉぉぉ!!」


そりゃ腹も減るわ。まぁ1日くらいなら我慢出来ると思うが、それが2日となるとなぁ。リアルだと人間7日間は水だけで生きていけるらしいがここはゲームだ。スタミナが無くなったら急速な飢餓感が襲い掛かって来るようになっていて、旅人(プレイヤー)に食事を取るように催促してくる仕様だ。そんな中丸1日も耐えたんだからこいつら根性あるよ。まぁ匂い攻撃しちゃった後だし罪悪感がなぁ・・・。


という訳で俺達は現在庭で欠食児童よろしく飯をガッツいている連中の面倒を見ていた。そう、モフモフ倶楽部の面々である。


ルゼダとクリンがお札を渡したら料理が食べられると交渉した所、持っているお宝全部渡すから食わせて欲しい!!と言われた次第である。


涎を垂らす友魔を必死に宥めながら、自分達は今にも死にそうな顔をしててなぁ。さすがにお宝全部は可哀そうだし、ランキングトップは以前俺達『ティーターン』だったので、お札だけ貰って後は返却。家に呼ぶには現時点で信用しきれなかったから、モフモフ倶楽部とティーターンの拠点中央にある塀の所で料理を作って渡しているというのが現状だ。演技の可能性も在ったしな。まぁそんな不安は食事風景を見ていたら払拭された訳だが。


しかもこのモフモフ倶楽部、持っていた食料のほとんどを友魔に食わせて自分達はずっと我慢していたんだそうな。そんな友魔も主人の横で同じように飯をガッツいている。よーしよし、たーんと食べろよー。


「しかし本当に美味しいですね。リアル料理人ですか?」

「ん?いや違うが?」

「おい!!リアルの事を詮索するのは厳禁だぞ!!」

「あっすみません!!」

「あぁ、まぁ気にすんな。そんな重要な情報じゃないしな。それで?腹いっぱいになったか?」

「はい!!カレーとても美味しかったです!!」

「カツカレー最高だった!!」

「から揚げカレーこそ至高。」

「おまえら馬鹿か?エビのトッピングこそ最高だろ?」

「「「「あん?」」」」

「喧嘩しちゃ駄目ですよ?」

「野菜・・・・・うまい。」

「カツから野菜マシエビトッピングカレーとライスの大盛りお待ち!!」

「うわぁーい!!」

「何とか系の注文みたいでしたわね・・・・。」

「一番小さい子が一番食べるんだ・・・・。」


さらに山盛りになったカレーを塀の向こうに渡す。巨人の俺だからこそ、塀に阻まれずに直接やり取り出来たりするんだなぁ。他の仲間は塀の上に座って向こうを見てるけどな。さてここでモフモフ倶楽部のメンバーを紹介しよう。


クランマスターコウサ 白い髪に赤い瞳の女性兎獣人 連れている友魔はキックラビットだ。

サブマスターはトラジ。黄色に黒縞模様の茶色い瞳をした男性虎獣人。友魔はサイレントタイガー

ボタン 茶髪に茶色い瞳小さい豚鼻の女性猪獣人 友魔はダッシュボア

ロウクン 銀髪に緑の瞳の男性狼獣人 友魔はセージウルフ

ネコン 全身真っ黒の女性黒猫獣人 友魔はマジックキャット

タヌキチ 茶髪に特徴的な丸い尻尾の女性狸獣人 腹は出てないぞ? 友魔はシールドラクーン

チョウダツ 長身の白と黒のメッシュが入った髪をしている男性鳥獣人 友魔はキャリーオストリッチ

ヒアル 白い髪に黒い瞳の女性鳥獣人 友魔はガーガーガー


以上8人がモフモフ倶楽部のメンバーだ。そして聞いて驚け?全員職業が調教師だぞ。つまり全員友魔を強化して戦うテイマーだ。ちなみに一番大盛りを食べてるのがボタンな。ウリ坊みたいな見た目のくせして良く食うわ。


「あっこれ代金のお札です。でも本当に良いんですか?こんな古ぼけたお札で・・・・。今は食事の材料も買えないのに・・・。」

「あぁ良いんだ良いんだ。初日に市場に行ったとき3日じゃ食いきれない量購入してるから。」

「大量購入してくれたからって貰ったおまけの方が多かったですけどね・・・。」

「気前良いよなこの島の人達。」


南京錠くれた八百屋のおばちゃん然り、海鮮でエビを勧めてくれたおっちゃん然り、一杯食べそうだからとサービスをくれた肉屋の御夫婦然り、本当にいい人達だったよ。


「死んだみたいな顔してますけど生きてますからね?現に今こちらを興味深く覗こうとしてますからね?」

「結界のお陰で見えてへんけどな。」

「でも悪いですよ・・・・。タヌキチが葉っぱの代わりのこれなら変身できそう!!って言って拾って来た奴なのに・・・・。」

「結局変身できませんでしたけどね。」モグモグ

「はっ!!そのドーナツは一体!!」

「ん?おやつに作ったんだが・・・。コウサは要らないのか?」

「要ります!!」


もちろん友魔たちにもそれぞれの好みに合わせたおやつが在るぞぉ?まぁそんなに進めなくてもすでに食べ始めてるけどな。さて、呑気に食事させてるのは良いが君達は俺と戦うかね?おや?全員首を横に振ってますねぇ。いやぁ友魔が戦闘を拒否る何て事在るんだなぁ。(ニヤニヤ


「ルドさんルドさん。友魔と一緒に飼い主も首を横に振ってますから。完全に戦闘する気はないみたいですよ?だからそんな悪い顔しなくても良いと思います。」

「はい!!こんなにおいしい食事を出してもらって私達もう戦えません!!むしろ私を嫁に貰って下さ【ギロリッ】・・・・・。今の言葉は忘れて下さい!!」


迂闊な事を言ったコウサが虎の尾を踏んだ。成仏してくれ・・・・。いや、即座に撤回したから命だけは助かったか。ピンと立っていた耳がへにょりと垂れ下がってるけどな。


「ちなみにそれぞれの友魔の戦い方を聞いても良いか?いや、教えたくないならそれで良いんだが。」

「うちのうさちゃんは蹴りで戦います!結構威力在るんですよ?気配を探るのがうまいんです。」

「俺の寅丸はアサシンみたいな戦い方だ。音を消して相手の背後から襲い掛かる。罠とかを見分けられるな。」

もぐもぐもぐ「私のいのちゃんは」もぐもぐもぐ「突進が強いです。」もぐもぐもぐ「後鼻が良い。」もぐもぐもぐ

「某の銀狼は魔法を使って戦う狼で候。バフ、デバフ魔法が得意で御座候。」

「うちのミーちゃんも同じやけん。ミーちゃんは攻撃が得意やけんね。バリ強いとよ?」

「私のポンきちはお腹で敵の攻撃を受けるんですぅ。お茶らけて敵の注意を引き付けてくれるんですぅ。」

「私の手羽先は移動用兼運搬用の友魔だ。戦闘時にはその脚力を生かして私達を攻撃から守る。全員乗せられる程の体躯を誇るな。」

「私のシモーンちゃんは声で攻撃するんです。超音波で何でも壊すですよ。相手を混乱させたりも出来ますです。」


ふむふむ、壁1、前衛2、斥候1、後衛2、バッファー1、移動用1か。旅人は全員調教師だが友魔は普通のパーティーくらいの役割を持ってるんだな。しかも強化出来ると来てる。普通に戦ったら危なかったかこれは?


「お代わり!!」

「ボタン?あんまり食べ過ぎちゃいけないよ?」

「だって美味しいんだもん!!それにこの子も一緒に食べると思って・・・。」

「パパただいま!!」

「シア!!無事に戻ったんだな!」


いつの間にかボタンの横にシアが着席していた。無事に戻って来てくれてパパ嬉しいぞ!!抱っこしてやろう!!


「お帰り!食べたいものは無いか?好きな物作ってやるぞ!」

「うーんとね、じゃあシア野菜が一杯のグラタン食べたい!!あとこれ持って来たよ!」


おー!!シアの奴しっかりとウィンドルからお札を回収して来たのか!!これで回収したお札は9枚になった。残るは最後の1枚だ。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited


ちょっとこぼれ話

もともとモフモフ倶楽部は全員が普人種という設定でした。ルド君が「そんなにモフモフが好きなら獣人を選ばなかったのか?」という質問に「自分達がモフモフしていたらこの子達のモフモフを楽しめないじゃない!!」という返答を返すという話が在ったんですが。真のモフラーなら自分達がモフモフでも楽しめるよな?と思って削除しています。

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