第353話

全開のモノローグでサクッと拠点に帰ったと言ったな!!あれは嘘だ!!大手クランがそう簡単に逃がしてくれると思ったか?俺は思ってたよ!!


「いたぞ!!あっちだ!!」

「我等『ドラゴンバスター』からお宝盗んで逃げられると思うんじゃねぇぞ!!」

「ヒャッハーッ!!盗人は拷問だ!盗人じゃなくても拷問だ!!とにかく拷問だぁ!!」

「あんたそのキャラは普通に引かれるからやめた方がいいよ?」


絶賛俺達は大勢の旅人に追われている!なんで居場所が解るんだよ!!」


『あー、彼らの付けてるメガネ。僕が作った看破のグラスだね。精霊の目程じゃないけど隠れてる物を見つける効果が在るよ。』

「ルドさん!盗んだお札に発信機らしきものが!!」

『それも僕が作った奴だね。いやぁ、有効活用してくれた何よりだ。』

「その所為で今絶賛追われてるんですけどねぇ!?」


どうやら取得したお宝の中に普通に有用な物が在って、それをお宝が盗まれた時用に使っていたみたいだ。大手だし元々イベントランキングトップだったんだからそれくらい気が付けよ俺!!迂闊過ぎるだろ!!


「駄目ですルドさん!この先でも待ち伏せです!!」

「先回りされてますよ!」


先行して逃げ道を探してもらってたクリンとルゼダが、すでに逃げ道がない事を教えて来る。絶対絶命じゃないか!?


「兄さんどうするん?」

「私達ここまで何でしょうか?」

「ぐぬぬぬぬぬ、何か何か手は無いのか・・・・。」


追ってから逃げつつ方法が無いか考えるが、全くと言っていい程に何も思いつかん!!そうだ!!こういう時こそ助けてジョゴえモン!!


『さすがに僕でもここから都合よく全員助かる方法は無いかなぁ。』

「さすがのジョゴえモンでも無理かぁ・・・。」

『ごめんね?』

『ジョーゴが謝る必要は無いのよ?こうなったら私が身代わりに・・・・。』

『そんな!!君が身代わりになるなんて!なら僕が捕まるから君は逃げてくれ!!』

『そんな事出来ないわ!!』

『僕だって!!』

「今全員が助かる方法を考えてるんだからその寸劇止めろ!!」


ってこんな事してる間にも追ってがすぐそこまで!?やばいやばいやばい!一体全体どうしたら良いんだ!


「空飛ぶ乗り物さえあれば!!」


キュポーン


「キュッ?」

「「「「「「『『翼竜!?』』」」」」」」


呼んだ?とでも言いたげに首を傾げながら現れたのは翼竜。そしてその姿を見た俺はハッとした。こいつの事すっかり忘れてた!!


「マロ!!今すぐ俺達全員を乗せて飛んでくれ!!」

「きゅっ!!」

「よっしゃ!!マロライド形態だ!!」

「きゅ~♪」


鳴き声と共にマロの体が光り輝き、いつかのバイクの姿に変わる。俺は即座に運転席に乗り込み、全員を無理やりサイドカーに乗せた。


「行くぞマロ!!テイクオフ!!」


ブロローン!!


「はっ!突然の事で驚いて固まってしまった!!お前ら攻撃だ!!あのバイク事落せ!!翼竜を落したとなればドラゴンバスターでの地位も上がるぞ!!」

「あれって翼竜って言って良いんですかね?今は完全にバイクですけど?」

「翼竜にも変身出来るんだから翼竜で良いんだよ!!竜を狩って名を上げるぞ!!」


やっべ!!マロの翼竜形態を見たドラゴンバスター達になぜか火が付いちまった!!


「急げ!!急げマロ!!」

ブォォォオォォォン!!


ドラゴンバスター達からの殺気を感じ取ったのかマロはすぐに空中に飛び出した。結構な速度に体を固定してなかったメンバーが慌てて座り直す。ふぅ、結構な急発進だったな。誰も落ちなくて良かった。


「逃がすなー!!攻撃を続けろー!!」

「マロ、急いで攻撃範囲から離脱。拠点に行ってくれ。」

ブロン?

「あー、拠点は・・・あそこだ。あの建物。解るか?」

ブロロン!

「よし、それじゃあ頼むな。」

「さっきも言いましたが、ルドさんのコミュニケーション能力はおかしいですわよ?」

「非生物とも会話出来るとかどうなってんのや?」

「それはアイギスちゃんで鍛えられてんでしょう!!」

「(`・∀・´)エッヘン!!」

「「「「いや、それは無理在るだろ。」」」」


敵の攻撃がビュンビュン飛んでくる中、マロは綺麗に攻撃を回避しながら飛行を続ける。


何やら横が騒がしいが何か在ったか?もしや誰か落ちてたとか忘れたとかか!?いや全員居るよな?


マロの登場から変身、その上で強制的に乗せられたジョーゴさんとホーラさんはサイドカーの中で放心してるし。反対側のサイドカーに乗った皆はさっきからワイワイと盛り上がってるし。うーむ?まぁ何かあったら話が来るだろ。


おっと!!ちょっと遠回りして拠点の場所を誤魔化しとかないとな。またやらかす所だったぜ!


「あっじゃあお札に引っ付いてた機械も投げときますね。これ1つで30ポイントしますが。」

「拠点が襲われたら目も当てられないから頼む。所でジョーゴさん?結界か何かを張る装置ない?拠点に人が入れない様にしたいんだが?」

『うん?なら森の結界を使えば良いんじゃないかな?5本も在れば家の敷地くらいはカバー出来るよ?』

「なら戻ったらさっさと設置だな。調整の方は頼む。」

『解った。』


さてと、これで一息つけるか。食事バフも付け直したいし、献立何にするかなぁ?


ドラゴンバスターの面々を遠回りする事で撒き、拠点には歩いて戻って来た。さすがに空を飛んでたら一発でバレるだろうからな。


そして戻って来た拠点の中はと言うと・・・・。


「見事に荒らされてるなぁ。」

「必要な物はインベントリに入れて置いて良かったですね。」

「個人の部屋には入れなかったみたいですわ。さすがにプライベートルームに入られたら困りますもの。」

「ゲーム内で何が出来るって訳でもないけどね。」

「さて、じゃあ先に片付け・・・の前にジョゴえモン!!『物質復元光照射装置』で壊れたもの直してくれ。その間に棒立てて来るから。」

『ジョゴえモンって何だい?まぁ言われたら直すけどね・・・・。はい直ったよ。結界装置の調整も一緒にしよう。』


結界装置を立てるのは地面に突き刺すだけなのですぐに終わった。調整もジョーゴさんがバーコードリーダーの様な機械をかざしてピッ!で終わった。本当に調整したの?


「逃げて来る途中で君達のデータは入力済みだからね。後はこの結界装置にそれを覚えさせるだけだよ。これで、この敷地に入れるのは私達と君達だけになった。領主も側近も、兵士でもこの中には入れないよ。」

「そりゃ有難い。これで拠点の守りは万全になった訳だ。」

「他にもこんなのが在るよ?使うかい?」

「おっ、良いな。それじゃあこれをこうして、こいつをここに置いて・・・・。」


防備に関してはジョーゴが持っていた魔道具も使ってかなり色々と弄って来た。おかげで

拠点に強固な守りが付いた。しかも復元光線のお陰で壊されてた南京錠まで直ったからな。宝箱に又鍵が掛けられる。


「それでこれからどうするんですの?」

「お札の回収は最優先だな。そんでもって1つ残念なお知らせだ。」

「残念なお知らせ?それは何ですかルドさん?」

「どうやらお札の1つは空中に、正確にはウィンドルの中に在る。」

「「「「えっ!?」」」」

「飛行船の中ぁ~?」

「((o(´∀`)o))ワクワク」


さっきマロに乗って空を飛んでた時、腕時計の反応が大きくなった。そしてその反応を追い掛けて視線をめぐらすと、かなり上空に飛ぶウィンドルの姿が見えたんだよなぁ。バッチリ魔力の矢印はそっちを指してた。


「ウィンドルの方はマロに手伝って貰って潜入は出来る。だが、乗り込んだら即バレるんだよなぁ・・・。」


そもそもが強化されたレーダーで接近はすぐにバレるからな。近づくのもほんの数秒になるだろうな。


「ジョーゴさんにまた隠密マントを作って貰うのは駄目ですの?」

「あれを作る為の材料が無いんだ。」

「だそうだ。取り寄せ袋も同じく材料不足で追加は無い。」


この2つが在ればそれ程苦労しないが、さすがにお助けアイテムが無制限に使えたらヌルゲーになってしまう。そこは運営も考えてるんだろう、材料が島では手に入らない様になってる。


「じゃあどうするん?奪うにしても相手のテリトリーの中やで?」

「ちょっと心苦しいんだが、シアに頑張って貰おうと思ってな。」

「シアちゃんに?どうするんですか?」

「シアの擬態を使う。」

「でもシアちゃんの擬態は植物限定では?」

「そう、シアの擬態は植物限定だ。だからこそ、入り込む余地がある。」


“どんな”植物にも擬態できるシアならではの方法で潜入出来るんだ。もちろん保険の為にジョーゴさんから譲って貰った魔道具を沢山持たせるぞ!!俺が一緒に行けないんだから備えは在り過ぎても困らないからな!!


「頼めるかシア?」

「うん!皆の為に頑張るね!!」

「うっし、作戦は出来るだけ早い方が良い。シアをウィンドルに送り届けた後は、俺達は別のクランを攻めてお札を回収するぞ!」

「クランの規模も解らないのにそんな事言って良いんですか?」

「クランの規模なら解ってる。なんせお隣さんだからな。」


そう、お札を持っているクランは隣にいる『モフモフ倶楽部』なのだから。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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