第346話

皆と合流した後俺達はあの宝玉が指し示す方向に向かって移動を開始していた。どうやらこの光は領主館ではなく、その後ろに在る山の方を指して居たみたいだな。今俺達は懸命に山登りをしている。


「しかしルドさんの予想が見事に命中しましたね。」

「寝具でバフが付くって奴か?確かにそうだな。」

「ALOの時は寝れば一定のバフが付く事しかありませんでしたわ。それがまさか寝具で効果が変わるなんて、思いも寄りませんでしたもの。」

『お役に立てたようで何よりです。』

「・・・・ホーラさんはどうしてもその格好で行くのか?」

『はい!!これには体力が減らないっていう効果も在りますから!』


そんな俺達の真ん中に居るのはジェイソ〇・・・・ではなく、フル装備を身に着けたホーラさんだ。自分も戦うつもりなのか、チェーンソーを持っていつでも動かせるように準備している。鼻息荒く彼氏の救出に取り組む彼女は、傍から見れば獲物を探す殺人鬼にしか見えん。


そのおかげなのか本来居る筈であろう魔物達は異様な雰囲気を感じ取って全くと言っていい程出てこない。おかげで安全に進める訳だが・・・・・。


「やっぱりあれ怖いですよね?」ヒソヒソ

「まぁ見た目完全に“アレ”だからなぁ。」ヒソヒソ

「なんでマスクに血の涙を描いたんやろ?」ヒソヒソ

「アレ、血の涙じゃなくて戦化粧の一種らしいよ?仕事を頑張るホーラさんに似合うからって追加したんだって。昨日寝る前にホーラさんが言ってたよお姉ちゃん。」ヒソヒソ

「マジか・・・。その彼氏の感性大丈夫なんか?」ヒソヒソ

『?どうしたんですか皆さん?そんな気の傍でコソコソして?』

「ん?何でもないぞ?」


さて、そんなこんなで宝玉の光りを頼りに一直線に進んでいる訳だが。途中シアが何か見つけたとか言ってリダとアイギスと一緒に取りに行ってる。あの反応からしてお宝だと思うんだが、何を見つけたのかねぇ。


「パパ在ったよー!!」

「ルドさんこれ見て下さい!!これ凄いですよ!!」

「(@_@;)」

「ん?何だその棒は?」

「これ棒じゃなくて一種の結界発生装置何です!!」

『見て下さい!!それにも彼のマークが付いてます!!』


アイテムを持って来たリダの話では、この棒は一本では機能せず他にも同じような棒を使って結界を作り出すモノらしい。使用方法は簡単、隠したい物の周りに棒を突き刺していくと、その内部の魔力を変質させて方向感覚を狂わせるという物。よっぽど奥地に入らなければ、この道具の効果ですぐに外に出されてしまうらしい。確かに棒の中程に例のマークが在るな。これもホーラさんの彼氏の作品か良く作れたなこんなの。


「しかもこれ、一本で100ポイント在るんですよ!!」

「は?」

「「「「「「「「はぁ~!?」」」」」」」」」


リダの衝撃の言葉に慌ててイベントページを確認する。いやいやこんな棒にそんな高いポイントが付いているはずが・・・・。


クラン『ティーターン』 お宝ポイント 242ポイント お宝数 15


イベントランキング 20位


「・・・・・マジか。」

「この棒ね。すっごい隠れてたんだよ?リダお姉ちゃんとアイギスは勝手にどっか行っちゃうし、取るの頑張らないと駄目だったの。」

「そうなのかリダ?」

「はい。シアちゃんの後を追い掛けていたはずがいつの間にか別の場所に向かってしまってまして・・・。最後はシアちゃんが蔓で私とアイギスちゃんの体を縛ってこの棒の在る場所まで誘導してくれたんです・・・。」

「(´・ω・`)」

「シアにははっきり見えてたから迷わなかったんだろうなぁ。」

「なぁなぁ兄さん。しばらくコレ集めへん?それだけで簡単に1位取れるやん。」

「そんなお宝を持ってなおかつホーラさんの彼氏を護衛しながら店に戻れるか?見た目あれだがホーラさんもお宝の塊なんだぞ?」

「・・・・・・・。お姉ちゃん、どう考えたって無理だよ。」

「複数クランに囲まれて倒されるのが落ちですわね・・・。」

「そうかぁ~。ええ考えやと思ったのになぁ・・・。」

「まぁ余裕が在れば後2~3本は手に入れても良いかもな。他にも沢山ありそうなんだろ?」

「シアちゃんが言うにはこの山全体を覆うように配置されてるみたいです。数にしたら100本は在るとか?」


それ、最後の戦場が領主館とこの山にならんか?この棒の事がバレて山でドンパチ繰り返す未来しか見えんぞ・・・・。


『そんな事より彼はこの奥に居るみたいです!!早く!!早く行きましょう!!』ヴォンッ!!ヴォンッ!!

「分かった!!分かったからチェーンソーを動かすな振り上げるな!!皆急いで奥に向かうぞ、結界装置が1個無くなったんだ。迷いの効果は薄くなってるはずだ!!」

「奥に行けるようにあと2~3本抜いてから行きますわよ。このままだとまだ迷う可能性も在りますわ。」

「ホーラさんが暴れ出す前に急いでやりますよ!!」

『ハァ・・・ハァ・・・・。』ドドドドドドド


居ても立っても居られないとでも言うように息を荒くしてチェーンソーを構えるホーラさん。もう完全にホラーなんよ。その恐怖に負けた俺達はそれはもう迅速に動いた!!シアの協力の元さっさと5本の棒をゲットしてやっと山の奥に入るのだった。


クラン『ティーターン』 お宝ポイント 742ポイント お宝数 16


イベントランキング 1位


宝玉の光りに従って歩いて行った先には、黙々と煙を上げる一軒家とその前に仁王立ちする男の姿が在った。いかにも門番です!!とでも言いたげな男はクビに大きな切り傷の痕が在る。他に目立つ物と言えば動物の毛皮で作ったズボンと服に、牙のネックレスと顔に斜めに走る3本傷がある事か?


「ルドさん。私達気付かれてます。」

「だろうなぁ。ずっと耳がピクピク動いてたし。」

「へっ?耳何て見えますか?髪の毛に隠れてません?」

「うん?いやずっと動いてるじゃないか。大きな“耳”が。ほらあそこ。」


俺の目には仁王立ちする男の髪の毛に隠れた垂れ耳がピクピク動いてるのが見える。あー、身長差で見えないのか。男の頭頂部辺りが見えると後頭部に流れている頭髪の違和感に気付けるんだがなぁ。俺以外全員身長低いし・・・。


ちなみに耳の形からしてあの男、兎の獣人だな。長い垂れ耳を隠す為に耳と同じ色の茶色い髪の毛を伸ばしていると見た。いやぁあれだけ鍛えてて、顔も俺に並んで厳ついのにその正体は兎。ギャップが過ぎるだろ。


「そんでもって多分そろそろ来るぞ。」

「なんで解るんですか?」

「ちょっと耳が浮いているから。後は・・・・。」


ロップの格闘攻撃

拳闘・覇気・格闘術・波動スキル発動

ダメージ150ポイント ダメージ貫通効果100ポイント


「格闘家の戦い方を俺が知ってるからな!!」


良くリダと模擬戦闘をしていたからな。初動を見極める力は大分鍛えられたぞ!!


ルドの陽動 ロップの攻撃対象はルドに固定された。


ルドの防御

盾使い・両盾持ち・万想の鎧・純潔スキル発動

スキルコンボ!!盾使い・両盾持ち・万想の鎧・純潔スキル発動により<守護者の鎧>が発動!!

ダメージ200ポイント無効化 HP0ポイント回復

相手の貫通効果によりダメージ100ポイント

食事効果発動 ダメージ-200ポイント

ダメージ0ポイント


ガインッ!!


「こいつ防御貫通持ちか!!」

「・・・・・。」

「喋らない、違うな喋れないか!!」

「っ!?」


ロップの格闘攻撃


「させませんよ!!今度はこちらのターンです!!」


リダの格闘攻撃

拳闘・蹴闘・戦闘術・心義夢想・連撃・軽業・気功・内丹術・闘気術・破戒僧スキル発動

スキルコンボ!!拳闘・蹴闘・心義夢想・軽業・気功・内丹術・闘気術の効果により<仙闘術(仮)>スキルが発動!!

ダメージ295ポイント


ロップの回避

縮地スキル発動

リダの攻撃は外れた。


「早い!!」

「もうあんなに遠くに離れてますわ。」

「くっ!追撃を狙ってたのに!!」

「兎だから脚力が高いんだろ。詰めてくる時も一瞬だったしな。」

「でも遠距離ならうちの間合やで!!」


ルリの銃攻撃

高速装填・銃使い・鷹の目・両銃持ちスキル発動


ロップの回避

縮地スキル発動

ルリの攻撃は外れた。


「あかん!!狙いが付けられへん!!」

「お姉ちゃんでダメなら私の槍でも駄目だよぉー。」

「ルゼダのスキルコンボじゃダメかな?」

「駄目ですわ。ある程度誘導はしますが、当たるまで追い続ける効果は在りませんもの。」

「・・・・・( ̄― ̄)ニヤリ」

「あいつなんかムカつきます!!」

「シアも攻撃する!!」

「’’`ィ (゚д゚)/ ( ・_<)┏━ バキューン!!」


シアの精霊魔法(樹)攻撃。 消費MP10

地中から蔓による攻撃。ダメージ10ポイント。


アイギスの腕部オートタレット(ガトリング)攻撃

節制スキル発動 消費MP0 消費が無い為倹約の呪いが不発。

フルバースト!!ダメージ500ポイント×2


ロップの回避

縮地スキル発動

シア・アイギスの攻撃は外れた。


2人の波状攻撃でも駄目か。こりゃ相手さんかなり強い人だな。果たして俺達で勝てるのか?


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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