第341話

鬼の居ぬ間に洗濯では無いが。大手クラン同士が縄張り争いの小競り合いをしている内に寝具店にやって来た俺達。しかし店内はどう見ても開店している状態には見えなかった。


「・・・・なぁ、本当にこの店だよな?」

「地図に書かれている店はここで合っているはずです。ほら間違いない。」

「なぁ、この店本当にやっとるん?潰れてるようにしか見えへんで?」

「うーん、これは俺の読みが外れたか?“寝具でバフが付く”っていい考えだと思ったんだけどなぁ・・・。」


俺が話し終わった後、なぜか店の中に冷たい白い霧が漂い始めた。薄っすらと店内を隠すその光景は、ボロボロな内装と相まってかなりホラーな光景に見えるた。


「お客様。ようこそいらっしゃいました。」

「どわぁっ!!」

「「「「「「お化け!!」」」」」」」


いつの間にか俺の背後にいた人物に全員が驚く。俺なんて耳元で直接囁かれたからか鳥肌がやばい!!顔を直接見た皆はお化けと言ってすぐ様に距離を取った。皆俺を見捨てたね?ひどい・・・・。


「失礼な、私はこのラーホ寝具店の店主で御座います。」

「ホラー寝具店?」

「ラーホ。ラーホにございますお客様。次に間違えたら呪いますよ?」

「ひっ!?」


店主の呪う発言を受けてリダはなぜか俺の背中に隠れた。俺まだ呪いは防げないから盾にしないでくれ!!本当に呪われたら困る!!


まぁ冗談はさておき、リダが俺の背中に隠れる際にやっと店主顔が見えた。くぼんだ目に痩せた頬、ボロボロの色の褪せたドレスを着た白い肌の女性だった。雰囲気も相まって本当に幽霊に見える。が、ちゃんとした生きた人間だ。名前の色が黄色だからな。中立の住人だ。


「あー申し訳ない店主さん。俺達は寝具を買いに来たんだ。良い物は在るかい?」

「・・・・・はぁ・・・・。寝具ですか?見ての通りです・・・・。」


俺の問い掛けに店主さんが指さした先には、さっき見えたボロボロの寝具の姿が。もしかしてと思ったがっやっぱりあれが商品だったのか。そりゃ誰も買わんわ。


「失礼ですが。こんな商品で良く商売できてますわね?」

「ほんまやで。こんなもん売ってもだれも買わんやろ。」

「さすがにこれは商品として見れないかなぁ。良くて雑巾の素材?」

「ボロボロー。」

「(゚д゚)(。_。)ウン」

「うぅぅぅぅぅ・・・。うわぁぁぁぁぁぁん!!」


仲間の言葉を聞いて泣き出す店主。まぁここまでボロ糞に言われたらなぁ・・・・。


「ぼんどうばぼっどぢゃんどじだじょうびんがあっばんべぶぅ~!!」

「はいはい、落ち着いて。泣きながらだと何言ってるか分からんから。ほら、これで涙を拭け。」

「ばい・・・・チーンッ!!」

「・・・・お約束をありがとよ。それはもう上げるわ。」

「こういう時ルドさんって優しいですよねぇ。」

「なんでそこでリダは俺を睨むわけ?」


とりあえず店主に落ち着いて貰って。店の奥の生活スペースで落ち着いて話を聞く事にした。テーブルの上には人数分のお茶(キッチンを借りて俺が煎れた。)を出して、店主の話を聞く。俺は椅子に座れないから皆の後ろで立ってるけどな。ボロボロ過ぎて俺の体重だとすぐにぶっ壊れそうなんだよ。


「それで?一体何が在ったんだって?」

「はい実は・・・・。」


店主さんもといホーラさんが話し始めた。でだ、簡単に纏めるぞ?

1年ほど前、遠方に住む婚約者から一緒に住む準備が出来たと連絡が在り。彼の到着を今か今かと待っていた。

だが到着予定の日に彼の乗った船からその婚約者が忽然と消えた。

私財を使い方々探し回ったホーラさん。だが見つかる事も無く、それでも諦められないホーラさんは店の金も使いこみ捜索を続ける。

だけど結局婚約者の彼が見つかる事も無く。使い込んだ金の所為でまともな材料が買えずに、泣く泣く商品の品質を落とさざる終えなくなり、出来上がった商品は全てがボロボロでクオリティも低く、店の人気がガタ落ちした。商品は売れなくなり、人も来なくなった店はボロボロになり、収入が無いから新たな商品を作ることも出来ずに店は倒産寸前なのだという。


「それって逃げられたんじゃないのか?」

「彼はそんなことしません!!その証拠にこれが在ります!!」


ホーラさんが胸から取り出したのはハート形のペンダント。だがハートは欠け、半分しかない。


「片思いで振られたって暗示?」

「違います!!これは彼が作って送ってくれた魔道具何です!彼が私を思っている限り、このペンダントの色が消えません!逆に私が彼を思っている限り、彼のペンダントから色が消えないんです!!ほら見て下さい!!まだちゃんと赤いままです!!」

「・・・・ペンキで塗っとるって落ちとちゃうよね?」

「塗ってません!!」


ホーラさんの言う通り、ペンダントにはめ込まれた宝石はその奥から赤い光りを放っている。だけどその光はかなり弱弱しく見えるのは気のせいか?


「・・・・光りの強さは生命力を現してるんです。彼が失踪してから徐々に光りが弱くなって行きました・・・・。このままでは彼が、彼が死んじゃう!!」

「はいはい落ち着いて。今慌てても何も出来ないでしょう?それよりも、そのペンダントは片方の在りかを示したりしないのか?」

「送られてきた彼の手紙には、私達のペンダントと対になる魔道具が在るって書いてありました。それが在れば、ペンダントの位置が解るとも・・・。でもそんな魔道具私は貰っていないんです。彼が私の居場所を知る為に使ってるからって。」

「なんともストーカーチックな話ですわね。」

「そうですか?ロマンチックじゃありませんか?どこにいてもお互いを感じたいなんてすごく良いと思いますけど?」


魔道具・・・・魔道具かぁ。この島のお宝はそのほとんどが魔道具か、関連したパーツだよな?俺達が偶然拾ってるって事は無いか?この宝石の色にすっごく見覚えが在るんだが?もしかして、あれを持ってるからイベントが起きた?いやこれ絶対そうだろ。


「ホーラさん?ちょっと俺達の拠点まで来てくれないか?」

「なっなんですか突然!!私の心は彼の元に在るんです!!体は自由に出来ても心は自由に出来ませんよ!!」

「そんな事するかい!!常識で考えろ!!こんな大勢見ている前で何ちゅうことを言うんだあんたは!!」

「ル~ド~さぁ~ん?」

「はいはい、リダ姉はすぐそうやって睨むの辞めよか?愛想尽かされんで。」

「リダ姉、話が進まないから我慢しましょうねぇ~。」


後ろで何やら黒い影が見えたが気のせいだったか。・・・・後で2人にはお菓子を作ってやろう。


「俺達の拠点にそれっぽい物が1つ在るんだよ。それを是非見て欲しい。だが生憎と拠点から持ち出すには島が物騒でな。そこで直接ホーラさんに来て欲しいって訳だ。」

「本当ですか?いやらしい事しませんか?」

「ホーラさん?その時は私が責任もってルドさんを潰しますから。」

「ねぇリダさんや?なんで目線を下げるの?何を潰すの?俺怖いんだけど?」

「まぁ私達が居るから安心して下さいまし。私達のクランは女性の方が多いんですのよ?」

「せやで!!心配せんでも今まで一回もセクハラは無かったしな!」

「だから一緒に来てくれませんか?」


仲間の言葉を聞いて考え込むホーラさん。そして、覚悟を決めたのか俺達に向かって頷いて返してくれた。


「もしそれで彼を助けられるなら。是非お願いします。」


ピコンッ♪

イベント限定クエスト『彼の行方を追え』を受注しました。

※このクエストは受けたクランが全滅すると自動的に失敗扱いになります。

※このクエストにはタイムリミットが在ります。タイムリミットを過ぎると失敗となります。

※他クランとの共闘は出来ません。自クランのみで攻略して下さい。

※このクエストは再受注できません。


なんか生えた。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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