第340話
さて、バフ効果が在る(と思われる)寝具を手に入れるためにレアっぽい南京錠を使うのかどうか?皆が頭を悩ませている所で御座い。
「僕は使っても良いと思うな。本当にバフ効果が在るなら今後有利になるよ。」
「でも本当に効果が在るか分からないんですわよ?それに魔道具にしたって修理用のパーツが無いと意味が無いかもしれませんわ。」
「なぁなぁ、悩んでいる間に1人が店に行って話を聞いて来るってのはあかんの?お宝は冷蔵庫に入れて置けばええんやろ?」
確かに悩むくらいなら本当にそんなアイテムが在るかを調べる方が良いだろう。今回のイベントの仕様が無ければそれで良かったんだけどなぁ。
「お姉ちゃん忘れたの?イベント期間中に倒された時のデメリット。」
「倒されたら4時間のインターバルを経て復活するんやろ?それくらい覚えとるよ。」
「ルリ。ちゃんと思い出せ。4時間のインターバルで“復活する場所”はどこだった?」
「うん?そりゃ最初にこの場所に来た初期地点・・・・・あっ。」
「そう、初期地点ですわ。あのポータルの在った場所に復活するんですのよ?一度倒されたという事はそこまで強い相手ではないと判断出来ますわ。つまり相手の邪魔をしたいクランの格好の餌食だと思いませんこと?」
「リスキルされるやん!!」
「そう言う事ですか。だから皆で一緒に動きたいんですね。」
「一緒なら俺が守れるからな。」
山の側面に作られた街、その中にある俺達の拠点からは海岸が結構な範囲で確認できる。その中には初期地点もばっちり入ってるんだなぁこれが。そしてその場所では今も絶え間なく魔法や攻撃がされているのかちかちかと光ってるんだわ。あんな場所に復活したら即座に死に戻るだろ。複数ならともかく1人で死んだら絶対に助からんぞ。
「人数の多いクランの下部クランなのか。妨害目的のエンジョイクランかはわかりませんが良くやりますねぇ。」
「無敵空間を作ってない運営が悪いとか言ってそうです。」
「まぁそういう訳で今単独行動する危険は解って貰えたか?」
「十分解ったわ・・・・。ほならどうするん?」
「ここは南京錠を使ってでもやっぱりみんなで動きたいんだがどうだ?」
「そこまで重要ですの?私はそうは思いません。ルドさんの料理バフで十分だと思いますわ。料理スキル持ち何て数えるほどしか居ませんのよ?」
ルゼダの言う通り。今のALO2では料理スキル持ちは数えるほどしかいない。それはこのゲームを遊んでいる旅人達が戦闘にばかり意識を向けているからだ。中には生産特化でキャラを作った人も居るが。その人達も鍛冶や調薬何かのスキルを獲得し、料理なんてほとんど見向きもされていない。なぜなら料理スキルを持つ旅人から料理を買えば事足りたからだ。材料費の関係もあって料理を売る場合の金額上限が薬や武器と違ってかなり低い。儲けが無いからからわざわざ料理スキルを取る奴も居ないって訳だ。
「それだけでかなり有利は取れてますわよ?」
「だけどなぁ、動けるうちに色々と動いた方が良いと思うんだ。特に俺達の場合は他のクランと違って明確な弱点がある訳だしな。」
「・・・・・人数の差。ですわね。」
「そそ、他のクランしかもイベントラインキング上位陣はクラン上限人数一杯迄人を入れてる。それだけ動ける時間も数も差が出てる訳だ。妨害や邪魔をするのに人手を割ける大人数クランと違って、少人数の俺達は日数が進む程に動けなくなるんじゃないかと思ってな。」
「お宝の所持数が増えるとそれを守る為に動けなくなると?」
「後半になると島に隠れてるお宝も減って争奪戦が過激になる・・・・。防衛の為には人数で負けてる僕達は個々の能力を高めるしかない・・・・・ですか。」
「せっかくのイベントだ。1位目指して動きたいじゃないか。それにバフの相乗効果が見込めるなら、拠点防衛が1人で足りるかもしれない。そうすれば動ける人数が増えて1位を取れる確率が高くなる。負けても良いんだ。なら逆に勝つために動ける時に動かないか?」
さて、俺の提案は博打の提案だ。勝利すれば結構な力が手に入る。失敗すればイベントは失敗に終わるだろう。どちらにしても最初の目的をクリアしている俺達ならば楽しめるんじゃないか?そう思うわけだ。果たして皆もそう思ってくれるかどうか・・・・。
「良いですわね。少人数が1位を獲る。かなり面白そうですわ。」
「そうだね。僕達はすでに2つのクランを潰してる。持っているお宝の完成度からかなり力の在るクランだったんじゃないかな?その2つを潰したんだから。バフを貰えれば人数で勝る上位陣に迫れるかも。」
「やってやりましょう!!多くの人数が居て安心しきっているランキング上位クランに一泡吹かせてやりましょう!!」
「うちも賛成や!!うちらの目的は達成しとるんやから、後は楽しまな損やで!!」
「私も賛成です!!せっかくならクランハウスで友魔と戯れたいです!!」
「お家が手に入ったらシアもうれしい!!」
「σ(゚∀゚ ) °˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°」
「よしっ決まりだな!それじゃあ南京錠を使って寝具を手に入れに行くぞ!!目指せイベント1位だ!!」
「「「「「「「「えいえいおー!!」」」」」」」」
こうして俺達はイベント1位を狙って動き始めた。まずは寝具屋に向かって前進だ!!あっその前に飯食おう。少しでも保険を掛けて置かないとな。
飯を食って減った体力を回復してから俺達は街に繰り出した。ちゃんと冷蔵庫には南京錠を2つ、付けてきている。まぁ集めたお宝が取られても問題無い。なぜならば今もシアがその眼を使って集めてくれているからだ。
「パパ、又お札在ったよ。」
「こっちは家具ですね。良いですよコレ!!マッサージ機みたいです。」
「こっちはパーツだね。これは何だろうか?」
「ツボみたいなものを見つけました!!」
「なんか蝋燭みたいなの拾ったで。」
シアが見つけた物を手分けして片っ端から拾っていく。すでに拾ったお宝は5個だな。ポイントもそれに合わせて増えている。マッサージ機は修理しないと追加ポイントは入らないっぽいな。
クラン『ティーターン』 お宝ポイント 142ポイント お宝数 14
イベントランキング 90位
「ランキングは変動なしか。」
「他のクランもパーツ集めに奮闘しているみたいですね。」
「人数多い所は防衛もしっかりしてるみたいや。全然変動してへんで。」
「20位以下はかなり激しく変動してます。私達だけが全く動いてませんけど。」
「奪い合いが起きてるんだろうなぁ。」
さて、そんな争奪戦が繰り広げられている島で無事に買い物出来るのか?俺達は絶対に無理だと結論付けた。だが以外にも目的の店周りは平穏を保っていた。
「絶対絡まれると思たんやけどなぁ。」
「なんでこんなに静かなんでしょう?」
「原因はあれなんじゃないか?」
俺が指差した建物は大きな5階建ての建物だった。俺達の拠点が2階建てな事を考えるとかなり大きな建物だろう。その建物の上には、龍とそれをとらえる槍のマークが描かれている。
「大手クランの1つ、ドラゴンバスターですか。」
「ここはあのクランの縄張りって事やね。」
「反対側にも同じような建物が在りますよ?」
「つまりこの場所は大手クラン同士が集まっている中立地帯って事ですわね。」
「初日でお互いに潰し合わない様にしているって事ですか。」
「縄張り争いはやってるみたいだけどな。」
表通りは平穏そのものでも、一歩裏路地に入ればそうでは無いらしい。見える範囲で同じ服装をしている者同士で争っている場所がちらほらと・・・。少人数での小競り合いで収まっている今だからこその光景なんだろうな。おっと目の前の敵に夢中な内に退散退散っと、俺達は別にお宝を奪いに来た訳じゃないですよーっと。
「よし、今の内に寝具を買おう!!店の中にだれも居ないみたいだしな!!」
「監視していた人達がこの店に入るのを不思議そうに見てますわね?」
「どこも寝具の効果に気が付いてへんのやろか?」
「それとも、寝具にバフ効果が無かったとか?」
「それは店に入ったら解るだろ。すいませーん!!」
旅人達の懐疑的な目線を受けながら店に入る俺達。店の中は薄暗く。棚に飾られている寝具もボロボロ、魔道具何か置いている様には見えなかった。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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