第331話
時は少し遡り、ルドがゴルドン達とアニスの留学について話を始めた頃・・・。
「どこからどう見てもバイクだよね?」
「そうですわね。あれが浮遊機関?面白い形をしていますわねぇ・・・・。」
「触っちゃだめだよ!!これはもうシア達のだからね!!」
「(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。) ウンウン」
「触りませんわよもう!!」
「なんか魔法使いの映画で乗ってるシーンあらへんかった?」
「何回か乗ってるよね?確かにあれにそっくり!!」
アニスちゃんのこれからの話は私達にあまり関わりは無いだろうと、ルドさんが乗って来たバイクを見に来ました。他の旅人達も同じ事を考えていたようで、空飛ぶバイクに興味津々で見に来ています。近づいて調べようとしたり、あわよくば盗もうとする人達からバイクを守る為にシアちゃんが魔法を使って柵を作って止めていました。
「そういえば最後、バイクでボスを轢いたよね?」
「そうですわね?それがどうしたんですのクリン?」
「その経験値ってどうなったんだろ?ルドさんに入った?」
「ううん?パパは何も貰って無いよ?」
「シアちゃんは解るの?」
「うん!!シアはパパの友魔だから解るよ!!パパは何も貰って無いんだよ!!」
「(´―`*)ウンウン」
「アイギスちゃんも解るんやな。」
「じゃあ一体だれが倒した事になったんでしょうか?やっぱりウィンドルの人ですか?」
「いや、ボスのドロップ品は誰も手にしていないみたいだな。」
私達がボスのドロップ品について話していると、アインさんが話に入って来ました。ウィンドルはどうやら戦闘中に起こった不具合の修理で街の外に停泊しているみたいです。
「調べたんか?」
「ボスドロップが気になって聞きまわっている奴が居たんだ。どうやら今回のボスのドロップは参加者の誰も手に入れていないそうだ。」
それならボスのドロップ品は一体どこに?攻撃の威力が高すぎてドロップ品が消えてしまったんでしょうか?すると突然、私達の目の前でバイクが光り輝き始めました!!
「えっ!?一体何ですの!?」
「私ルドさん呼んできます!!」
「何が起こるか解らん!!総員今すぐに退避だ!!」
俺が光りの中心部に行くと、そこには木の柵の中で光るバイクの姿が!!皆は何が起こっても良い様に距離を取って様子を見てるな。
「何が起こったか解る奴はいるか?」
「いや、私達も何が何やら?シアちゃんがバイクを守っていたから余計な事をした奴はいなかったはずだ。」
「そうなのかシア?」
「うん!!だれもバイクに触って無いよ?」
「(`・∀・´)」
ならなんで突然光り始めたんだ?そう思っていると徐々に光りがある形を取り始めた。
バイクの前部分がググーンと伸び上がり、サイドカー部分が強く地面を踏みつける。背もたれの部分が後ろに流れ、胴体部分から翼の様な物が横に伸びた。
「ぎゃお!」
「ワイバーン?」
「クルルルル♪」
「おーよしよし、なんだこいつ!人懐っこいな!!」
「シアも!!シアも撫でる!!」
「σ(゚∀゚ )」
「順番な順番。ははっ!くすぐったいだろ!!」
「クルルルゥ♪」
姿を現したのは翼竜だった。体の大きさは巨人の俺が乗れるほどのサイズで、シアとアイギスも問題無く乗れそうだ。
その翼竜は俺を見つけると嬉しそうに近寄ってきて顔をこすり付けて来る。固そうな鱗に覆われているくせに痛くなく、それ所かヒンヤリした感じがちょっと気持ちいい。上機嫌なのか俺の顔を舐めて来てくすぐったい。
「かっかわ!!」
「いいなぁ翼竜。」
「なぁ、バイクが翼竜になるって聞いた事在るか?」
「いや?竜がバイクになるのは在るぞ?」
「私もあぁ言う子が欲しい!!」
周りで様子を見ていた旅人達が、安全だと思ったのか近寄って来た。大勢の人が寄って来る光景に驚いたのか、翼竜は大きな体を縮めて俺の背中に隠れた。
「隠れちゃっいました・・・。」
「怖がってるっぽいなぁ。」
「ならば、状況が解るまで各自復興支援に当たってくれ!!何か解ったら連絡する!!」
アインの号令で他の旅人達は渋々その場を後にしてくれた。残ったのはいつものメンバーとアインだけだ。
「さて、どうしてバイクが翼竜になったんだろうな?」
「元からこうじゃ在りませんの?」
「違うぞ。なっアイギス?」
「(((uдu*)ゥンゥン」
「じゃあ別に原因が在ると?」
「なぁ、お前何で姿が変わったんだ?」
「クル?クルルルルル・・・・。グエッ。」
「ちょっ!?大丈夫か!!」
「クルルルルゥ~♪」
「・・・・。大丈夫そうだな。」
俺が翼竜に問いかけると、突然翼竜は口から何かを吐き出した。心配になって近づくと、翼竜は元気そうに俺の体に纏わりつく。無事みたいで良かった・・・。
「パパ、これが原因見たい。」
「ん?どういう意味だ?」
「ルドさん、これボスドロップですよ!?」
「見た事のないアイテムですわね・・・。粘土かしら?」
翼竜が吐き出したのは茶色い塊、その表面は薄く虹色に輝いていた。最初は吐き出した為に付着した体液かと思ったが・・・。どうやらこの虹色は元々の物みたいだ。
ミュータントクレイ
使用者の思念によって変化する性質を持つ粘土。一度変化すると変化先は固定される。
「つまりこのアイテムでお前は翼竜になったのか?」
「クルル!」
「当たりみたいですね?」
だとしてもなんで翼竜?他にも変化先は色々あっただろうに。
「ちょっと聞いてみるねパパ!!」
シアが翼竜の聞き込みをしてくれる。そこはさすが精霊なのか、言葉が違っても意思の疎通は出来るらしい、アイギスで鍛えられたか?
「えっとね。この子空が飛べるままが良かったみたい。初めてパパと一緒に空を飛んで、楽しかったからって!だから途中で見た形を真似したんだって!!」
「翼竜なんていたか?」
「( ・_<)┏━ バキューン」
「あぁ、アイギスが撃ち落としてたのか。」
「クルルル。」
「パパに名前付けて欲しいんだって。」
「うーん、名前かぁ。そう言えばこいつは戦えるのか?」
「戦えないよ?姿は翼竜だけどバイクだもん。戦闘能力は無いみたい。」
「クル!」
友魔になった訳じゃないんだな。バイクの持ち主として俺を認識しているだけっと。さて名前だが、可愛い奴だしこれで良いんじゃないか?
「じゃあお前の名前はマロな。これからよろしく!!」
「キュッ!」
「気に入ったって。」
「ルドさん?その名前の由来は?」
「うん?こいつのバイクの姿がマローダーって奴にそっくりだったからそこから。」
「なんとも安直な理由ですわね・・・。」
「マローダーって略奪者って意味で、海外のバイク持ちからユーザーを奪うって目標を掲げたカッコいい名前なんだぞ?良いだろうが。」
「きゅー!!」
ぺかー!!
俺がマロの名前の由来を伝えると、マロの体が突然光り出して体がまた縮んでいった。すると数秒後には元のバイクの姿が現れた。バイクの前の浮遊機関には翼竜の目のマークが、胴体には翼の模様が描かれ、サイドカーには足の模様が入っている。そしてタンク部分にはアルファベットでMAROと書かれていた。
「おー、カッコいいな!!」
「突然戻ったのはどうしてでしょう?」
「恐らくまだ変化したてで長時間体を変えていられないんだと思いますわ。」
「なるほど、それはあり得るね。」
「なぁなぁ兄ちゃん。うちらも乗ってみたいんやけど?」
「あっお姉ちゃんが乗るなら私も!!」
「うん?なら乗るか?2人ならサイドカー1つで乗れるだろ?」
「はいはい!!私はルドさんの後ろが良いです!!」
「僕達はもう一つのサイドカーに乗る?」
「良いですわね。」
「と言う事でこれからもよろしくな、マロ。」
ブルルン!!
俺達の仲間に新たにマロが加わった。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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