第311話

広場で見た誘拐事件の現場、その実行犯である黒づくめの旅人を追い掛けて路地裏に入った俺達。追いつけるかどうか心配だったが、路地の奥は行き止まりになっていて無事に追いつく事が出来た。


「さっさと妹を離しぃこのど腐れが!!」

「お姉ちゃん!!」

「妹を返して欲しかったら俺達のクランに入れ。さもないとずっと粘着してキルしてやるぞ?」

「こんのっ!人を脅さんと何も出来へん小便垂れの言う事なんか聞かんぞうちは!!」

「お姉ちゃん言葉が汚いよ・・・。」

「だったら妹はずっと俺達のアジトで監禁だなぁ。良いのかなぁ?もう一生一緒に遊べなくなるけどなぁ?」


黒づくめの男の言葉にたじろぐ青い髪の女の子。さてさて、そろそろ準備は整ったかな?介入始めますか。


「そりゃ無理ってもんだな。本当にそんな事をしたらGMコールで一発退場なのはそっちだろ?」

「げっ!?巨人!?」

「あっ!デカい兄ちゃん!!」

「あの時の巨人さん!!」

「よっ。また絡まれてるんだな。」


路地裏何て隠れる場所無いからなぁ、俺が曲がり角からのっしのっしと出てやるとそれだけで空間が狭まったように感じるはずだ。威圧感もあるだろうからなぁ。黒づくめの男は俺を見上げながらじりじりと後ろに下がり、壁に背中を付けた。


「今だ!!」

「えいっ!!」

「なっ!この餓鬼いつの間に!!」

「人質確保です!!」

「<結界>さぁ捕まえましたわよ!!」

「逃げようとしても無駄ですからね?いつでもあなたを殺せます。」


やった事と言えば簡単。シアには擬態で種になって貰ってアイギスに路地の上から落として貰った。種状態のシアは男の足元で元の姿に戻り、ピンクの髪の子を掴んでいる手を払う。


勢いで飛んだ女の子をリダが種族特有の身のこなしで頭上から落ちながら確保。取り戻そうとした男をルゼダの結界で隔離して、クリンが男の後ろから剣で脅す以上!!


「さてと、無事か?」

「あっはい!!ありがとうございます!!」

「本当に助かったわぁ。ありがとな。」

「この!!離せ!!」

「ルドさん、こいつ赤落ちです。」

「おうそうか。やっちまうか?」

「クランの話をしていましたわ。キルして牢獄に入れた後で守備隊に調べて貰った方が良さそうですわね。」

「じゃあそう言う事で、自分の行いを悔い改めなさい。エイッ!!」

「ぐほぉっ!!」

「リダお姉ちゃんやり過ぎ・・・・。」

「( ゚д゚)」


哀れ誘拐犯はリダの一撃を喰らって路地裏に赤い花を咲かせた。壁にめり込むとかじゃなくてその場で破裂するとかどんだけだよ。嫌逆か、相手の防御が弱かったのか。


その場で落ちたのは黒いローブとちょっとのマネだけだった。武器や防具が無い所を見ると強引な勧誘をしてキルされても問題無い状態にしてあったな。予想は当たっていたがまるで捨て駒だな。


「ほんまおおきにな。これで2度目やね助けてもろたの。」

「あー気にすんな。都合よく見えただけだからな。」

「それでも助けて貰った事実は変わりません。ありがとうございます。」


頭を下げる2人。関西弁を喋ってるのが青い髪の方で、ピンクの髪の子はちょっとおとなしい感じかな?武器とか見当たらないがどうやって戦うんだろうか。


そんな事を考えていると、ルゼダとクリンが2人に話しかけていた。


「あぁいう時はGMコールをすれば良いんですわよ。」

「後は未成年なら接触範囲と残虐表現の度合いが変えられますよ。」

「ほんまか!?どこで変えたらええん?」

「教えて貰っても良いですか?」

「もちろん構いませんわよ!!」

「まずは右下の方にある歯車のマークを押してですね。」


歳が近いのかねぇ。すーぐ仲良くなってまぁ。叔父さんその空気には入っていけないよ。


「ふふふ、ルドさんも気にせず会話に混ざればいいのに。」

「パパ遠慮してるー。」

「(。・∀・)つ♪」

「突くなアイギス!!別に遠慮してる訳じゃないから!!未成年の設定が解らないだけだからな!!」


最初から成人設定何だからそんな設定あるなんて今知ったわ!!


「これで設定完了ですわ!」

「おおきに!!これで変なのに絡まれんで済むわ。」

「そう言えば皆さんはどうしてここに?」

「あーそれは・・・。」

「クラン設立の為に勧誘しようと思ってな。広場に行ったらさっきの誘拐事件を見たって訳だ。」

「「それほんま!?」」


おわっ!?突然声を揃えるんじゃないよ!!おじさんビックリしちゃったよもう!


「驚かせてすみません。でも私達もクランに参加したくて・・・。」

「広場でどっかええ所ないか探してたら、あの変なのに妹が捕まってもうたんや。」


ほーん、彼女達もクランに参加したかったのか。これは都合が良いのでは?


そう考えたのは俺だけじゃなかったみたいで、他の皆の顔を見ると俺を見て頷いて返してくれた。


「なるほど、それで?いい所は在りましたか?」

「それがあらへんのよ。」

「どこも胡散臭い話ばかりでして。良さそうな所はリアルの情報を聞かれたりしまして・・・。」

「あー、出会い厨に当たったのか。」

「あいつ等仲良くなるまでは紳士的ですからねぇ。」

「まったく、そういう人達は何を考えていますの?出会いを探す前に自分の内面を鍛え直して欲しいですわ。」

「そうなんです!!」

「ほんま性根の腐った奴等しかおらんかったんよ。」


こりゃルゼダも同じような目に会ったな。話をしている時に滅茶苦茶顔顔を歪ませてるから、実体験からの話か。こういうのは自分で気を付けないと行けないからなぁ。仲良くなっても実際に会った事無い人にリアル事情は絶対話すんじゃないぞ?


「なら私達のクランに入りませんか?」

「助けた上で勧誘するってのは何か、加入を押し付けている様で悪いけどな。」

「僕達も次のイベント参加に向けてメンバーを増やそうとしていた所でして・・・・。」

「2人加入してくれればクランが設立できるんです。」

「あの、その子達は?」

「あぁ、この子達は俺の友魔だ。」

「その子達が友魔なんか?聞いてた話より人に近いんやね。」

「この子達が特別ですのよ?」

「エッヘン!!」

「(`・∀・´)エッヘン!!」


シアとアイギスはユニーク個体だからなぁ。他の友魔と違って勝手に外に出るわ、自由に動き回るわで心配になることも多い。まぁ自慢げに胸を張る2人は可愛いからスクショしとくけどな。これも成長記録に保存っと。


「この子も居ますわよ。」

「ピューイ!」

「あっ鳥さん!!」

「ロアって言いますわ。」

「ええなぁ、私達も友魔欲しいねん。」

「でも鈴が手に入らなくてですね・・・。」

「あぁそれで今度のイベントに参加したかったんですのね。」

「うん?商品に友魔の鈴何てあったか?」

「イベントの参加報酬がクラン人数分の友魔の鈴なんですよ?」

「鈴の入手先はまだ判明していないですからね。このイベントを機に鈴関係で何か進展させようって事でしょうねきっと。」

「その通りやで!!」

「だからどうしても今度のイベントに参加したくて・・・。」


なるほどな。それでイベントに参加出来そうなクランに入りたかったと。


「それで、どうでしょう?」

「うーん・・・・。どう思う?」

「良いんじゃないかな?この人達なら信用出来るよ。」

「女性も多いしな。」

「なら決まりだね?」

「「よろしくお願いします。」」


こうして初心者の旅人2人がクランに入る事になった。うん、それは良いんだ。良いんだけど・・・・。今更だけど2人の名前、まだ知らないんだよね。君たちの名前は?


「あっ自己紹介忘れてたわ。あたいはルリ。」

「私はベニです。よろしくお願いします。」


ルリとベニが仲間になった!!テレレレッテッテッテー♪


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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