第304話

「なっなんだこいつらは!!」

「ぎゃー!!蜂が!デカい蜂が襲って来る!!」

「この婆つえぇ!!」

「なんで銃が効かないんだよ!!」

「そんな玩具が通用する程わしは甘くないからねぇ。いぃ~ひっひっひっひ!!」

「ひぃぃぃ!!魔女だぁぁぁ!肝を抜かれて喰われるぅぅぅぅ!!」


魔女さんと蜂さんが合流して戦闘開始です!!密猟者達は突然現れた蜂と魔女さんに驚いて包囲を崩しています。攻めるなら今がチャンス!!


「よくやった忍者!!」

「さすが忍者!!卑怯な手を使えば世界一!!」

「卑怯とはひどい言い草に御座る!!これはそちらの姫の指示で御座るよ!!」

「そうなのルゼダちゃん?」

「そうですわ。最初に偵察に行かせる際に指示を出していましたの。」


ルゼダちゃんの話によると。戦闘前に近くで魔女さんと蜂さんが戦っているのは解っていたので、すぐに応援に来て貰える様に一度だけなら死亡を回避できるスキルを持った忍者さんを案内役として派遣したのだとか。完全に倒れている人が罠だと決めつけた作戦ですが、それが嵌っているので文句は言えないですね。


それにあのままだったらこちらに魔女さん達が来るのは大分後になっていたでしょう。そうなればメアちゃんは助かっても私達の全滅もあり得ました。これはルゼダちゃんのファインプレイです。


「さぁ、メアちゃんの守りは私に任せて敵を殲滅ですわ!!」

「やぁってやるぜ!!」

「今までの借りを全部返すわよ!!」

「蜂たちに被害出さないようにな!!」

「助けに来て全滅されたんじゃ後味悪いわよね!!」

「我等も!」「幼女の為に」「一肌脱ぐ!!」

「さっさと行けロリコン共!!」


混乱している密猟者達に襲い掛かる私達。もちろん私も全力でお相手させて頂きます!!


リダの攻撃

拳闘・蹴闘・格闘術・心義夢想・連撃・気功・内丹術スキルが発動

攻撃目標密猟者達。複数目標によりダメージポイントが減少

連撃10回達成。ダメージ10ポイント増加

ダメージ30ポイント×10


「ぐぇっ!!このっ!!」

「おい!!さっさとやっちまえ!!」

「無理だ!蜂と婆さんが邪魔で・・・・。」

「おやおや、可哀そうに無理矢理言う事聞かされてるんだねぇ。だったら解放して上げようかい?<ピュリフィケイト>」


私達が逆襲に出た事で焦ったのか、頭目であろう倒れていた人がワイバーンに乗っている人に攻撃するように指示を出します。ですが、蜂さんとお婆さんに邪魔されて自由に動けないワイバーン。しかも最後にはお婆さんの魔法がワイバーンに当たり・・・・。


「ぐるるるるるがぁぁぁぁっ!!」

「なっ!!なんで!?うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ぐしゃっ

「ちぃっ!あの馬鹿野郎が!!」

「どうするんだよ!!俺達の成果が奪われちまったぞ!!」

「ワイバーンだけ連れてさっさと引き上げれば良かったんだ!」

「お前等だって俺の意見に賛成してただろうが!!この森でしか取れない『黄金の蜜』を奪う事によ!!」


ワイバーンが背中に乗っていた密猟者を振り落とし、周りに居た他の敵を攻撃し始めました。私達の方には・・・来ませんね。どうやら味方と思っても良さそうです。


それよりも気になるのがあちらの会話です。一体どういう事なんでしょう?何やら仲間割れをしている様ですが?


「なるほど。どうやらこの人達の目的は、ワイバーンを連れ帰る事だったようですわ。」

「どういう事ルゼダ?」

「この森に住むワイバーンを意のままに操って戦力、もしくは誰かに売り飛ばすつもりだったんですわ。ですが自分達より強いワイバーンを手にしたことで欲が出た。そう言う事ですわ。」

「でもなんでメアちゃんの蜂蜜が狙われるのよ!!」

「メアちゃんのお父さんはレストランのコック。恐らくそのレストランで件の『黄金の蜜』が使われている料理が在るのでは御座らぬか?広く周知された物であれば、家族が持っていると考えるのも必定。さらにはメア殿は今回森の中で何度か蜂蜜入りの瓶を見せているが故に・・・・。」

「偶然それを目撃した密猟者に狙われたって事ね。」

「いたいけな幼女から物を奪おうとする等言語道断!!」

「奴等に裁きを!!」

「地に飲まれて死ぬが良い!!」

「「「我等の合体魔法!!<地喰い>!!」」」

「唯の地割れじゃない。っていうかそれが出来るなら最初からやりなさいよ!!」


ちょっと太った3人組の魔法使いの方々が密猟者達に向かって使った魔法は、地面を割りその中にドンドン人を飲み込んでいきます。そして、襲撃者の半分を飲み込むと何事も無かったかのようにその口を閉じました。


「この技は!!」

「我等のMPとHPのほとんど全てを使う!!」

「それ故に!!」

「「「これより後は任せますぞ!!」」」バタバタバタンッ


御三方は魔法を使い終わった後に急に倒れました。HPを見ると真っ赤に染まった1と言う数字と、バッドステータスである行動不能の表示が。そこまで全力で使わないと使えない魔法だったんですね。


「・・・・さっさと使えとか言ってごめん。後は私達がやるから!!」

「さぁ行きますわよお姉様!!」

「3馬鹿に食われた存在感を今取り戻す時!!」

「私達が力を合わせれば!!」

「その力は炎となります!!」

「「「<ファイアーロンド>!!」」」


メアちゃんを可愛がっていたお姉さん方が、3人で手を繋いで次々に炎の槍を生み出して密猟者を攻撃していきます。どうやらこちらの合体魔法の様で、次々に生み出される槍は丸で踊るように空中を舞って密猟者達を倒していきました。


一方、優勢な立場から劣勢に陥った密猟者達はと言えば・・・・。


「俺はもう逃げるぞ!!」

「こんな所に居られるか!!」

「お前等待て!!」

「逃がすわけが無いだろう?<セイクリッドシャワー>」

ぶぶぶぶぶーーーん!!

「<影縫い>に御座る!!」

「「「「「「「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」」」」」


一部の者達が逃走を図り、お婆さんの魔法と蜂の攻撃に加えて忍者さんの足止めのスキルによって残っていた人達が全員消えて行きました。残っているのはリーダーであろう人だけです。


「くっこんな筈じゃ!!」

「さぁ覚悟しなさい!!」

「まっ待て待て待て!!」

「待ちません!!」


リダの攻撃

拳闘・蹴闘・格闘術・心義夢想・連撃・気功・内丹術スキルが発動

攻撃目標密猟者頭目

連撃10回達成。ダメージ10ポイント増加

ダメージ60×2


「ぐべぁぁぁぁぁっ!!」

「ふぅ、これで終わりました!!」


最後に私が頭目を倒して戦闘は終了しました。ですが不思議な事に、他の密猟者の体は消えたというのに頭目の姿は残っています。もしや倒し切れていませんか?


そう思って周りを見回すと、消えたはずの密猟者達が縄でぐるぐる巻きの状態で纏めて座らされていました。どうやらクエスト上の演出の様ですねこれ。


「ふむ、こいつは大物を捕まえたね。この森の貴重な動物や魔物を捕まえては売り飛ばしていた大物だよこいつは。」

「この人達悪者?」

「そうだよお嬢ちゃん。と~っても悪い人達だ。でも安心おし。ここに居る奴等で全員のはずだから、森は平和になるよ。」

「よかったぁ~。お父さんも心配してたもん。密猟者の所為でお客さんが減ったって。」

「ふぇっふぇっふぇ。じゃあお父さんにもしっかりと伝えないとねぇ。わたしゃこいつらを連れて行くから、お嬢ちゃんがシッカリ伝えてくれるかい?」

「うん!!ちゃんとお父さんにお話しする!!」

「良い子だねぇ。」


お婆さんとメアちゃんだけで会話が進んでいきます。元気いっぱいに返事をするメアちゃんと見て、男性3人と女性3人が身悶えしていますね。その気持ちは分かります、とってもかわいいですからねメアちゃん。


「くるるるるぅ。」

「おや?どうしたんだい?」

「くるぅ。」

「あえっ?これくれるの?」

「おや、お嬢ちゃん良い物を貰ったね。それはバモンの実だよ。そのまま食べても爽やかな甘みが在っておいしいけど、お嬢ちゃんの父親なら料理に使うんじゃないかい?」

「ありがとうワイバーンさん!!」

「くるぅ~。」


私達を襲ってしまったお詫びと言う事でしょうか?ワイバーンがどこからか細長い木の枝の様な黄色い実を持って来てメアちゃんに渡していました。漂って来る匂いは・・・レモンでしょうか? でもバナナの様にも見えます。


「お礼にこれ上げる!」

「くるっ?くるるるぅ~♪」

「良いのかい?残り少ないんじゃないのかい?」

「大丈夫!!1つあれば良いから!!」


メアちゃんは瓶を1つ残して残りの蜂蜜を全部お婆さん達に渡していました。お婆さんと蜂さんは1つの瓶を半分に、ワイバーンには1本丸々渡しています。


「ありがとね。それじゃあお嬢ちゃん達、この先危険はないと思うけど気を付けて行くんだよ?」

「うん!!皆が居るから大丈夫!!」

「そうかいそうかい。それじゃあ、元気でね。」

ぶんぶんぶ~ん♪

「くるるるぅ~♪」


最後に挨拶をしてからお婆さん達は飛び立っていきました。あれだけの人数をぶら下げて飛ぶ箒を見て驚愕しましたが、元聖女なんですからそれくらい出来ますよね?


「お父さんのお店までもうちょっとだよ!!」

「きちんと回復してから行きますわよ。危険はないとは言え、最後まで警戒を緩めずに進みますわ!!」

「メアちゃんのお義父さん。どんな人か楽しみですぞ。」

「然り然り。」

「きちんとご挨拶をせねば!!」

「今のお父さんの言い方意味が違ったわよね?」

「ギルティです!!」

「メアちゃんをロリコンの手から守りましょう!!」

「某人前は苦手に御座る・・・。」

「まぁまぁ、頑張ったんだから最後まで一緒に行こうぜ。」

「そうだぞ。それに君には助けられた。良ければフレンドコードを交換しないか?」

「あっそれ良いですね!!」

「ボッチの拙者にとうとう友達が!!感無量に御座る!!」


わいわいと進む私達、その先には煙突から白い煙を上げているオシャレなカフェの様な建物が見えてきました。どうやらゴールはあの家の様です。


バーンッ!!


するとお店のドアが勢いよく開き、中から大きな影が出てきました。その影は毛むくじゃらで、体も大きく、鋭い目付きに顔には一本切り傷の様な傷跡があります。


ギロリッ


睨みつけられた私達は驚きと、感じる圧力で動けなくなります。そう、お店から扉を開けて出てきたのかなり強面の体の大きな熊さんでした。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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